はじめに
生物はみな動きます。筋肉の運動のような個体レベルの運動のみならず、細胞レベルでは細胞分裂や細胞内物質輸送など、動物、植物を問わず、生命活動に必須の運動を行なっています。これらの運動の原動力となる役者は、ATPの化学エネルギーを運動という力学エネルギーに変換するモータータンパク質です。それらは下等な菌類や単細胞生物から高等生物にいたるまで共通の分子構造をもっています。しかし、モータータンパクがどのようなシナリオに基づいて働くのはまだ明らかにされていません。 当研究室では、モータータンパク質の運動のようすを分子レベルで直接見ることを中心に、遺伝子操作、構造解析、顕微操作などの技術を用いて、生化学、分子生物学、細胞生物学、生物物理学といった幅広い視野から、細胞運動の分子メカニズムを研究しています。<暗視野顕微鏡で観察した再構成運動系>
キネシンをスライドグラスに吸着させ、微小管とATPを流し入れて微小管の滑り運動を観察したもの。約1.0 μm/sec.