基礎生命科学グループ
阿部 光知 教授(植物分子遺伝学・植物発生学)

https://plant-genetics.wixsite.com/website
mabe@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-4337 Fax: 03-5454-4337
15号館316
詳細
植物は、動物とは異なる巧妙な仕組みによって、「植物らしさ」を実現しています。私たちの研究室では、植物独自の生物現象に焦点を当て、分子遺伝学を中心とした多彩な手法を駆使して、その仕組みを解き明かすことを目指します。なかでも、
1)環境の変化に応じて花を咲かせる仕組み
2)環境に左右されずに表皮細胞を分化・維持する仕組み
に注目し、オリジナリティー溢れる研究を世に発信していきます。
【現在進行中の主要な研究テーマ】
1.環境の変化に応じて花を咲かせる仕組み
植物は、環境からの様々な情報を利用して花を咲かせる適切なタイミングを決めています。なかでも、日長の変化に応じて花を咲かせる「光周性花成」現象は、古くから知られる生物現象であり、電照キク栽培などの形で産業利用されてきました。光周性花成において不可欠な存在が、花成ホルモン「フロリゲン(FT)」です。花を咲かせるのに適した日長条件下の植物では、葉でフロリゲンが作られます。フロリゲンは維管束篩部を通って茎頂分裂組織へと運ばれ、フロリゲン複合体を形成することで花芽形成を開始します。我々は、フロリゲンそのものの機能や、フロリゲンを「作って」「運んで」「受け取る」仕組みを解き明かそうと挑戦しています。
2.環境に左右されずに表皮細胞を分化・維持する仕組み
茎頂分裂組織の最外層(L1層)特異的に発現するホメオボックス型転写因子 (PDF2, ATML1)は、表皮細胞分化において不可欠の因子です。私達はこの2つの転写因子に注目し、L1層特異的な遺伝子発現、つまり表皮細胞分化の分子的基盤を解き明かすことを目指しています。「表皮」は、植物に3つしかない組織系の1つで、植物が生きていくためには必須です。したがって、表皮細胞の分化と維持には、環境に左右されない自律的な仕組みが関わっているはずです。その仕組みを探り当て、分子的な理解を深めるために、様々な実験手法を使って研究を進めていきます。
新井 宗仁 教授(タンパク質デザイン・AI創薬・生物物理学)

https://folding.c.u-tokyo.ac.jp/
arai@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6751
16号館623B
詳細
タンパク質を究めて、医療や産業に応用する: 私たちは、医療や産業に役立つタンパク質の新規デザインを目指して、実験と理論の両方の研究を行っています。特に、AIを駆使した最先端のタンパク質設計法を用いて、がん、ウイルス感染、アレルギーなどをターゲットにした創薬を目指しています。また、バイオ燃料などの有用物質を効率的に生産できる酵素の開発にも取り組んでいます。さらに、タンパク質のフォールディング機構などの基礎研究も行い、革新的なタンパク質デザイン法を開発します。これからの生命科学には実験と理論の両方が必要であり、当研究室ではそれらの両方ができる人材を育成します。AIによる発展が目覚ましいタンパク質デザイン研究に、一緒に挑戦しませんか? 理論研究の未経験者も歓迎します。
1.医療や産業に役立つタンパク質をデザインする
【目標1 医療への応用】がん、ウイルス感染、アレルギー等に関わるタンパク質間相互作用の阻害薬を開発する。
【目標2 産業への応用】バイオ燃料などの有用物質を効率的に生産できる酵素を開発する。
【目標3 その他】①細胞内の物質を定量するためのセンサーの開発、②光遺伝学に利用可能なタンパク質の設計、など
【手法】ノーベル賞が授与されたタンパク質の構造予測AI(AlphaFold)や、画期的なタンパク質設計法(Rosetta、RFdiffusion、ProteinMPNN)などを駆使して有用タンパク質を理論的に設計後、実験で検証する。
2.タンパク質のフォールディング問題を解く
多くのタンパク質は特定の立体構造を形成(フォールディング)した後に機能を発揮します。その仕組みは未解明であり、「第二の遺伝暗号解読問題」と言われていますが、我々は最近、その仕組みを予測できる理論の開発に成功しました。次にやるべきことはたくさんあります。まず、この理論を用いて全タンパク質のフォールディング過程を予測し、そのデータベースを構築します。次に、それらのデータを深層学習することで、タンパク質が形をつくる仕組みを予測できるAIを開発します。
さらに、この理論を発展させて、タンパク質の結合反応や酵素反応の速度などを統一的に予測できる理論を現在開発中です。これらの理論は、画期的なタンパク質設計法の開発にもつながり、創薬などへの応用が期待されます。
市橋 伯⼀ 教授(⽣命システム作って進化させることで理解する)

http://webpark2056.sakura.ne.jp/
ichihashi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel/Fax: 03-5465-7307
駒場IIキャンパス T棟303
詳細
物質からどうやって生命が生まれたのかは、人類に残された最も大きな謎のひとつです。私たちは、人工的に進化する分子システム(人工細胞)を作ってみて、実際に目の前で進化させてみるという合成生物学的なアプローチによりこの謎を解こうとしています。これまでに私たちは、世界で初めて遺伝情報を持ち自発的に進化する人工細胞モデルを作りました。このシステムを長期進化させると寄生体が発生し、共進化することにより複雑な複製ネットワークが自然発生することを見出しました。現在、さらなる進化実験をしつつ、進化途中の集団の解析により、進化という現象をこれまでにない解像度で理解しようとしています。さらに逆に細菌などの天然の細胞を単純化して人工細胞に近づける試みや、様々な遺伝子を組み合わせて、自律増殖可能な人工細胞の構築も行っています。これらの研究により生命と非生命を隔てる条件を明らかにできると考えています。
これらの研究では純粋な学術的な価値だけではありません。人工細胞を使うことで、生物を使っていては得られないような酵素を人為進化させられたり、現在生物を使って行っている有機物質の生産を将来はより安定で効率のよい人工細胞で置き換えることができるようになるでしょう。人工細胞技術は次世代のバイオテクノロジーになると期待しています。
生命や進化の原理を理解したい人や、人工細胞テクノロジーに興味がある人はぜひ一度見学に来てください。
<現在進めているテーマ>
- RNA、DNA自己複製システムの進化実験
- 複雑性や多様性が進化する条件の探索
- 機械学習による進化しやすい場所や方向性の予測
- マイコプラズマを実験進化でさらに単純化させる
- 増殖する人工細胞の開発
太田 邦史 教授(ゲノムダイナミクス・分子細胞生物学・構成的生物学)

http://www.ohta-lab.c.u-tokyo.ac.jp/
kohta-pub@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5465-8834
15号館309B
詳細
私たちの研究室では、生物の多様性のもつ意義や、多様性獲得の機構について研究を行っています。キーワードとしては、DNAの再編成や組換え、クロマチン構造・エピジェネティクス、ノンコーディングRNA/ノンコーディングDNAがあります。これらに関わる実験を幅広く行っています。
DNA再編成の観点では、生物多様性の基本になる減数分裂組換えの開始制御機構を長年明らかにしてきました。現在は、染色体高次構造と組換え開始因子の関係を分子レベルで調べています。クロマチン構造・エピゲノムの観点では、昆虫の大顎形態の表現型変化におけるエピゲノム制御の役割を解析しています。また、長鎖非コードRNA(lncRNA)を介した遺伝子活性化・エピゲノム制御の機構を調べています。
応用研究もいくつか行っていて、ゲノムシャフリング技術TAQingシステムを用いた酵母や植物のゲノム改良、新規CRISPR-Cas9を用いた哺乳類細胞の遺伝子治療実験、免疫細胞における抗体遺伝子のシャフリングを用いて抗体の性能を改良する技術の開発などを行っています。
研究手法としては、分子生物学・細胞生物学や遺伝学的手法に加え、次世代シークエンサーを駆使したゲノムワイド解析、生化学的手法、コンピューター・シミュレーションなど数理学的手法などを用いて研究を行います。
(具体的な研究内容)
1. 減数分裂期DNA組換の分子メカニズム
2. 昆虫などの表現型多様性とエピゲノム制御
3. lncRNAを介した遺伝子発現やエピゲノム制御機構の解明
4. 新規のゲノムシャフリング技術を用いた醸造酵母・植物などの性質改良
5. CRISPR-Cas9を用いた新規ゲノム編集・遺伝子治療技術の開発
6. 抗体遺伝子の人工進化による抗体エンジニアリング
加納 純子 教授(分子遺伝学・分子生物学・染色体生物学)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/jkanoh/
jkanoh@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6759
16号館606B
詳細
染色体は遺伝情報の担い手であり、生命活動の根本を統御する構造体です。染色体の末端に存在するドメイン「テロメア」は、生命を維持する上で非常に重要な役割を果たしています。テロメアは、“分裂寿命時計”と比喩されるように細胞老化や寿命と密接な関係があるだけでなく、染色体構造の維持や種の保存においても必須の機能を果たしています。また、テロメア隣接ドメイン「サブテロメア」は、テロメアとは対照的に機能解析があまり進んでおらず、いわば“染色体の未開の地”ですが、ヒトの様々な病気やゲノム進化との関わりが示唆されつつあります。当研究室では、分子遺伝学、分子生物学、細胞生物学、次世代シークエンス解析など様々な手法を用いて、テロメアやサブテロメアを介した染色体機能・高次生命現象(生命維持、ゲノム多様化、進化、ヒトの病気発症、老化など)の制御メカニズムを探る研究を行っています。まだ誰も知らないことを自分の手で発見してみませんか?
【現在の主要テーマ】
1)テロメア結合タンパク質はどのような機能をもっているのか?
2)テロメアと他の染色体ドメインとの間にどのような機能連係があるのか?
3)真核生物の染色体はなぜ環状ではなく線状なのか?なぜテロメアを持つのか?
4)サブテロメアの特殊なクロマチン構造はどのように形成され、どのような機能を持つのか?
5)サブテロメア領域の不安定なDNA構造はゲノム進化や生物多様性にどのように貢献しているのか?
6)ヒトと進化的に最も近い大型類人猿(チンパンジーなど)の特殊な染色体末端構造は、進化やヒトとの区別にどのように貢献してきたのか?ヒトをヒトたらしめるものは何か?
北⻄ 卓磨 准教授(神経科学・記憶と空間認識の回路機構)

https://www.kitanishilab.org/
tkitanishi@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5465-7563
3号館007
詳細
脳は、膨大な数の神経細胞がお互いに情報をやり取りすることで機能を発揮します。私たちの研究室では、海馬や、海馬に接続するさまざまな脳領域を対象として、記憶や空間認識などの高次脳機能を実現する神経回路機構を解明します。具体的には、げっ歯類 (ラット・マウス) の生体脳において多領域にわたる電気生理計測をおこない、大量の神経活動データを収集します。そして、収集したデータに時系列解析や機械学習を適用し、神経活動の動態を読み解きます。また、光遺伝学・ウイルスベクター・仮想現実環境などを用いて、高い時空間精度で神経回路に介入します。くわえて、新しい実験手法を開発し、脳に適用します。こうした研究を通じて、私たちは、脳の動作原理を探求しています。
[現在の主要研究テーマ]
1. 海馬の神経情報表現を生成する分子・細胞・回路機構の解明
2. 感覚入力を海馬の情報表現へと変換する回路機構の解明
3. 海馬から他領域への情報伝達ルールとそのメカニズムの解明
4. 脳情報の分配・統合・演算を明らかにする新技術の開発
5. 機械学習による脳情報解読法の開発と応用
6. 超大規模脳計測法の開発
佐藤 健 教授(生化学・細胞生物学)

http://kensato01.c.u-tokyo.ac.jp/~kensato/
kensato@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6749
16号館723A
詳細
真核生物の細胞内は、小胞体、ゴルジ体、リソソームなどの膜で囲まれたオルガネラ(細胞小器官)が発達し、それぞれのオルガネラが独自の機能を担って細胞の機能を維持しています。細胞が正常に機能するためには、細胞内で合成される数万種にもおよぶタンパク質が、各オルガネラへと正確に運ばれる必要があります。そのため、各オルガネラ間は直径50-100 nmの「輸送小胞」と呼ばれる小さな膜小胞を介して物質や情報のやりとりを行う小胞輸送と呼ばれるネットワークによって結ばれています。また、小胞輸送は膜成分のやりとりを伴うため、オルガネラの形や大きさを正常に保つ上でも重要な役割を担っています。
当研究室では、小胞輸送の中でもとくに分泌経路における小胞輸送の役割に焦点をあて、タンパク質合成が行われる小胞体からの輸送小胞形成と、その過程におけるタンパク質の分子認識と選別輸送のメカニズム、さらに小胞体とこれに連続した核の形態形成について分子レベルで解明していきます。
材料としては、最先端の分子細胞生物学的手法を自由自在に利用できる出芽酵母を主に用います。方法論としては、バイオイメージング技術を用いた可視化解析により小胞輸送の分子メカニズムの解明を試みます。また、小胞輸送に関わる生体膜現象を人工膜小胞に再構成し、その機能を試験管内、あるいは顕微鏡下で人工的に再現して解析を行うことにより小胞輸送の分子機構とその意義の理解を深めていくことを目指します。
研究テーマ
・バイオイメージング技術を用いた小胞輸送の可視化解析
蛍光タンパク質を用いることにより、酵母細胞内での小胞輸送関連タンパク質の分子動態について解析を行います。
・試験管内再構成系を用いた輸送小胞形成、タンパク質選別輸送機構の解明
精製タンパク質と人工膜小胞を用いて輸送小胞形成反応を試験管内で再現して、タンパク質選別輸送の分子メカニズムの解析を行います。
・小胞輸送が関わる小胞体、核の形態形成機構の解明
小胞輸送因子が関与するオルガネラの形態形成について、特に核や小胞体の形態形成に関わる現象について分子レベルで解析を行います。
佐藤 守俊 教授(生命現象の光操作技術・ケミカルバイオロジー)

http://satolab.c.u-tokyo.ac.jp/
cmsato@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6579
16号館504B
詳細
佐藤守俊研究室では、様々な生命現象を光で(光を操作する人間の意思で)自由自在に操作するための全く新しい技術の開発を行っています。さらに、この基盤技術を用いて、ゲノム編集や遺伝子発現、細胞内シグナル伝達などを生体内で自由自在に操作するための技術を開発しています。佐藤研究室が開発した技術により、生体に光を照射して、ゲノムに書き込まれた遺伝子情報をピンポイントで書き換えたり、様々な遺伝子のはたらきを狙って起動することが可能になりました。佐藤研究室では、このような新技術の開発に加えて、例えば、脳の神経細胞の遺伝子を光で操作してそのはたらきを詳細に解明したり、がんや神経疾患,遺伝子疾患を含む様々な疾患を光を使った全く新しいアプローチで治療できるようにすることを目指して,研究を行なっています。
上述の光操作技術の開発は、タンパク質の分子設計に関するあらゆるアプローチやアイディアを駆使して行なっています。生命現象の光操作技術の開発や、光操作技術を応用した脳科学・幹細胞科学・ゲノム編集に関する研究、および光操作技術に基づく医療技術の開発研究に興味をお持ちの方は、佐藤までお問い合わせください。
末次 憲之 准教授(植物分子生理学・植物光生物学)

https://plant-photobiology.wixsite.com/website
suetsugu@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6638
15号館309A
詳細
植物は太陽光の光エネルギーを利用して光合成を行い生活していますが、動物とは異なりその場から移動できません。そのため植物は、光合成に必要な光を効率よく利用できるように、周囲の光環境の情報(波長、強さ、方向など)を敏感に感知する様々な“光受容体”を介して、多種多様な光応答反応を誘導することにより、常に変動する自然の光環境に適応できます。私たちは、光屈性、葉の展開、葉緑体運動など光を効率よく利用するための反応を制御する青色光受容体キナーゼ“フォトトロピン(phot)”を研究対象としています。私たちは、フォトトロピンが制御する光応答反応のうち“葉緑体運動”を精力的に研究しています。研究材料は、モデル植物シロイヌナズナとゼニゴケを用いています。
【主要な研究テーマ】
1.葉緑体運動における信号伝達の解明
葉緑体は、光を効率よく吸収できるように弱い光に向かって集まり(集合反応)、強すぎる光からはダメージを避けるように逃げます(逃避反応)。これらの反応は、葉緑体上における細胞骨格 “アクチン繊維”の葉緑体上における重合に依存します。これまで、多くの新規因子が同定されましたが、光により活性化したフォトトロピンから発せられ葉緑体に到達する“信号”の実体は不明です。これまで同定された多くの機能未知因子を、様々な実験手法を駆使して詳細に解析することにより、未知の信号の実体を明らかにします。
2.葉緑体運動における動力発生機構の解明
葉緑体運動に必須なアクチン繊維(右写真)は葉緑体上のアクチン重合タンパク質により重合されることが最近わかりましたが、重合・脱重合の詳細なメカニズムや、葉緑体アクチン繊維によってどのように葉緑体の動力が発生するかはわかっていません。アクチン重合タンパク質と、キネシン様タンパク質を含むそれ以外のアクチン繊維の制御に関わる因子の詳細な解析により、アクチン繊維に依存した動力発生機構を明らかにします。
3.キメラ光受容体ネオクロムの研究
一般的に葉緑体運動は青色光により誘導されますが、一部のシダ植物や接合藻類ではフォトトロピンに赤色光受容体フィトクロムの光吸収ドメインが融合したキメラ光受容体ネオクロムを持つため、青色光だけでなく赤色光によっても葉緑体運動が誘導されます。ネオクロムはフィトクロムの特徴である赤色光・遠赤色光可逆性により迅速なキナーゼ活性のオン・オフを実現しています。現在ネオクロムの基礎的研究と応用的研究を行っています。
瀬尾 秀宗 講師(タンパク質工学、抗体工学、創薬、免疫学)

http://www.ohta-lab.c.u-tokyo.ac.jp
hidetakaseo@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5465-7653
アドバンストリサーチラボラトリー303(2)
詳細
抗体は、我々の体内にウイルスや細菌などが侵入してきた際に我々自身が作り出すタンパク質ですが、同時に試薬や診断薬、医薬品としても利用されています。特に抗体を用いた医薬品(抗体医薬)はその高い効果と安全性から癌や自己免疫疾患などに対する治療薬の主流となっています。
鳥類の抗体遺伝子は相同組換えで多様化しており、鳥類免疫系の培養細胞であるDT40細胞の抗体遺伝子座では、この相同組換えが弱いレベルで起きていることが知られています。我々は、染色体構造による相同組換え制御機構に関する基礎研究の過程で、染色体を弛緩する活性を有する薬剤であるトリコスタチンA(TSA)でDT40を処理すると、相同組換え頻度が顕著に上昇することを見出しました。この現象からモノクローナル抗体を迅速、簡便に取得可能な技術(ADLibシステム)を着想し、その開発に成功しました。ADLibシステムは、従来法では3ヶ月程度を要したモノクローナル抗体作製を最短10日程度で取得可能な技術で、従来法では抗体取得が困難だった抗原に対する抗体取得実績もあります。これまでに、ADLibシステムを用いて複数の抗体医薬品候補や診断薬が開発されています。また、オリジナルのADLibシステムはニワトリ抗体を産生しますが、抗体医薬品候補となるヒト抗体を直接取得できる「ヒトADLibシステム」の開発にも成功しました。
我々の主な研究テーマとしては、抗体医薬開発プラットフォームとしてのADLibシステムをベースにした抗体エンジニアリング研究に加え、それらの研究過程から得られた知見を元に、相同組換えの制御機構やB細胞の分化に関する基礎研究も展開しています。
<主要な研究テーマ>
1) 次世代抗体医薬である二重特異性抗体(二種の抗原を同時に認識する抗体)医薬品を迅速、簡便に作製する新規技術の開発
2) 抗体の抗原に対する親和性(結合能力)を向上させる新規技術の開発
3) 抗体遺伝子多様化メカニズムに関する基礎研究 4) B細胞受容体シグナル伝達に関する基礎研究
※広域科学専攻の大学院生の募集は行っていません。
武内 秀憲 講師(植物生殖遺伝学・植物分子細胞生物学)

https://takeuchi-flower-lab.jp/
hidetakeuchi@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6776
16号館628A
詳細
有性生殖は、オスとメスの細胞が出会い、遺伝情報を合一させて次世代へと命を繋ぐ過程であり、多段階の雌雄間コミュニケーションによって制御されています。同種同士での受精を保証する精密さと、変化の余地を残す柔軟さを併せもっており、種の維持と変化において重要な役割も果たしています。私たちは、被子植物の有性生殖の研究を通じて、種のアイデンティティーが維持・変化する原理を理解するとともに、操作技術を開発して新しい植物改変(育種)法を創出することを目指しています。具体的には、オスとメスの細胞が出会うための仕組みである「花粉管受精システム」と、出会った後の仕組みである「雌雄染色体の維持」の研究を現在進めています。シロイヌナズナを用いた分子遺伝学・生理学・ライブイメージングなどの解析技術を基盤とし、ゲノム編集やケミカルバイオロジーなどの先端技術も組み合わせて、多角的な視点での研究を展開しています。また、多様な植物種も実験に用いて、分子システムの進化を実証的に理解することにも興味をもっています。
(1) 花粉管受精システム
・花粉管細胞の挙動を制御するリガンド-受容体シグナリングの解明
・被子植物の花粉管の機能革新に関わる因子の解析と進化動態の解明
・種特異的な雌雄間コミュニケーションの分子基盤の理解と操作
・花粉管受精システムを利用した植物の形質改変法の開発
(2) 雌雄染色体の維持
・植物の受精時における染色体の安定維持機構の解明
・半数体・倍数体・異数体の誘導技術の開発による、植物の生存力理解と人為改変法の創出
谷崎 祐太 准教授(分子生理学・形態形成学)

https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tanizaki/
tanizaki@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6628
15号館301A
詳細
当研究室では、動物モデルを活用した比較生物学的な視点からホルモンがどのようにして身体の器官を作り、バランスを保つかを研究しています。特に、造血に関わるサイトカインや甲状腺ホルモンに注目し、その働きを理解することによって、生物学、医学分野への貢献を追求しています。
私たちは造血研究を通して器官形成及び生体恒常性の維持におけるホルモン機能の役割について理解することを目指しています。体内を循環する血球の数は、造血制御系によって私たちの一生を通じて厳密に調整されています。造血は動物種や年齢によって異なる場所で行われ、それぞれ異なる仕組みが存在します。しかし、造血は単に造血サイトカインの働きだけでなく、様々な器官からの影響を受けるため、造血制御機構は未だ多くの謎が残されています。当研究室では、ツメガエルを中心としたモデル動物を利用することで効率よく造血制御の仕組みを解明しようとしています。特に、甲状腺ホルモンによる肝臓や骨髄での造血環境の形成や、造血幹・前駆細胞に対する制御機構の研究、造血サイトカインによる胎児の造血制御研究に注力しています。国内外の研究者と協力しながら、ホルモンの役割についての理解を深めていきます。
【主要な研究テーマ】
器官形成におけるホルモン機能の研究
・造血に関連する器官(肝臓、骨髄、脾臓、小腸)の発生における甲状腺ホルモン機能の解明
ホルモンによる生体恒常性維持機構に関する研究
・鉄代謝における甲状腺ホルモンの分子制御機序の解明
・血球分化におけるエピジェネティクス制御機構の解明
坪井 貴司 教授(分泌生理学・神経科学・内分泌学)

https://lci.c.u-tokyo.ac.jp/
takatsuboi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5465-8208
15号館318
詳細
私たちの体は、体内外の様々な刺激を受容して、神経伝達物質やホルモンなどのメッセージ物質を分泌します。これらメッセージ物質は、記憶学習、愛着や食欲を調節するだけでなく、体温や体液量、そして血糖なども調節します。メッセージ物質の分泌を制御する薬剤は、分泌不全によって起こる様々な疾患の治療薬候補となります。そのため、メッセージ物質の分泌反応の詳細な制御機構に関する研究は、精神疾患や摂食障害、糖尿病などの発症機構の解明や新たな治療法の提供という観点からも非常に重要です。
当研究室では、メッセージ物質の「分泌反応」によって制御される生命現象について、「蛍光タンパク質センサーの開発」や「細胞から個体までを観察できるイメージング技術」を用いて解析しています。特に、メッセージ物質の分泌機構の破綻によって起こる認知症や自閉スペクトラム症といった精神神経疾患や糖尿病や肥満症といった代謝性疾患の発症機構の解明を目指しています。
【主要な研究テーマ】
1.「第2の脳」である腸と脳の機能連関を探る
消化管のメッセージ物質の分泌に腸内細菌がどのように関与するのか、また動物の行動や代謝にどのような影響を与えるのか解析しています。
2.蛍光タンパク質センサーの開発
細胞内シグナル伝達や代謝状態、分泌反応を可視化するための蛍光タンパク質センサーの開発や光により酵素活性を変化する技術の開発を行っています。
3.精神神経疾患や代謝性疾患の発症原因を探る
蛍光タンパク質センサーと動物の体内を直接観察できる生体顕微鏡や微小内視鏡技術を組み合わせ、認知症や自閉スペクトラム症、糖尿病や肥満症の発症原因を探っています。
野本 貴大 准教授(薬物送達学・がん治療・光線力学療法・中性子捕捉療法)

https://sites.google.com/view/nomoto-lab/home
nomoto-t@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6586
3号館202A
詳細
悪性腫瘍は世界中で主要な死因となっていますが、この数十年でピンポイント放射線療法や高密度焦点式超音波治療などの高度な医療技術が開発され、標的の悪性腫瘍を殺傷しながら正常組織への損傷を最小限に抑えることができるようになりました。一方、これらの手法は画像診断によって構造を明確に特定できる腫瘍にのみ適用でき、多発性・びまん性の腫瘍には適用できないという課題があります。
このような難治性の腫瘍に対する治療法として、薬物と外部エネルギーを組み合わせ細胞レベルで治療することが可能な光免疫療法、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)、光線力学療法(PDT)に代表されるケミカルサージェリーが近年大きな注目を集めています。2020年にBNCTが世界に先駆け日本において保険適用され、ケミカルサージェリーは免疫療法に続く第5のがん治療法としても期待されています。しかしながら、これらの技術に使用される薬剤の開発は停滞しており、適用できる腫瘍の種類は限られています。したがって、ケミカルサージェリーを普及させるためには標的部位に薬物を選択的に送達するための新しい技術が必要です。
私たちの研究グループはこの時代背景に先駆けて高分子化学を基盤とした薬物送達技術の開発を行ってきました。当研究室では薬物送達学を主軸として、ケミカルサージェリーの発展に資する薬剤の開発を行うとともに、医薬工学にとどまらない広域の異分野融合研究を行い、革新的な次世代医療モダリティを創出することを目指した研究を進めています。現在は主に下記の研究プロジェクトが進行していますが、これら以外にも様々な研究構想があります。医療技術の研究開発に興味をお持ちの方は是非ご連絡ください。
<現在進行中の研究プロジェクト例>
・効率的なBNCTの実現を目指した新規ホウ素製剤の開発
・精密PDTの実現を目指した光増感剤送達システムの開発
・薬物代謝に着目したドラッグデリバリーシステムの開発
・ケミカルサージェリーに伴う免疫応答等の腫瘍微小環境の研究
・鉄イオンに着目したがん治療法の研究
・新規創薬関連スクリーニング技術の開発
長谷部 政治 講師(動物生理学・神経科学・時間生物学)

https://neurohasebelab.wixsite.com/my-site-3
mhasebe@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6111
15号館307A
詳細
どのようにして動物は様々な環境に適応できたのか?
-神秘的な神経システムを科学する-
地球上の動物は、刻々と変化する様々な環境変化に対し、驚くべき程柔軟に対応し、上手く環境に適応しています。それでは、柔軟な環境適応を支える体内のメカニズムは一体どのようになっているのでしょうか?当研究室は、様々な環境に適応し、地球上の生物種の50%以上を占める昆虫を主な実験モデルに用いて、柔軟な環境適応を可能にする神経システムを「科学する」ラボになっています。
「脳に興味がある」、「昆虫を用いた研究を行いたい」、「体内時計や休眠・発育の研究をしてみたい」といった方は、いつでもお気軽にご連絡ください。
1.休眠を誘導する微小脳システム
昆虫の柔軟な環境適応を支える生体システムとして、生存に適していない環境下で発育・生理活動を休止させる休眠があります。昆虫の小さな脳内でどのように環境変化に応じて休眠誘導が適切に行われているのか?、に関する研究を進めています。
2.体内時計を用いた季節読みより機構
温帯地域では、季節に応じて外部環境が劇的に変化するため、野外の生物は季節を正確に読みよる必要があります。季節を知らせる1日の日の長さ(日長)情報をどのように正確に読み取っているのか?、概日時計を中心としたそのメカニズムを解き明かします。
3.発達段階における体内リズム駆動の生理学的な意義
体内で約24時間を刻む概日時計は様々な生理現象に関与しています。この概日時計は発達段階のいつから時間を刻み始めるのか?、そして概日時計の振動開始が発達にどのように関与しているのか?、その謎に迫っていくための解析を進めています。
晝間 敬 准教授(植物微生物相互作用・植物病理・植物栄養・マイクロバイオーム)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hiruma/
hiruma@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6631
15号館303B
詳細
植物は、周囲の多種多様な微生物との相互作用を通じて自身の能力を覚醒させることで、様々なストレス環境で生育・生存しており、微生物は植物にとって欠かせない存在です。一方で、微生物の中には植物を加害してしまう病原菌も含まれていることから、植物は病原菌の感染は適切に抑える必要性があります。さらには、微生物も植物を巧みに制御することで植物環境に適応していると考えられます。私たちの研究室では、植物と微生物との相互作用を植物・微生物がどのように互いに制御し、自身の環境適応能力をそれぞれ最大化させているかを理解することを目標に研究を進めています。
<現在進めている研究>
1. 共生菌による貧栄養環境での植物生長促進機構の解明
2. 比較ゲノミクス解析を通じた共生菌と病原菌の対照性を生む分子基盤の解明
3. 共生糸状菌とそれが誘引する根圏細菌群が集団として示す協調的な植物生長促進機構の解明
4. 共生糸状菌が持つ休眠二次代謝物クラスター群の機能の網羅的解明
道上 達男 教授(分子発生生物学)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/michiuelab/
tmichiue@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6665
3号館310
詳細
単一細胞である胚が、どのように発生し複雑な器官や臓器を持つ成体へと成長するか、という初期発生のメカニズムについては、未解明のトピックスがまだまだ多く存在します。私たちの研究室では、アフリカツメガエルの初期胚を用い、組織の“境界”がどのようなメカニズムによって決定されるかについて研究しています。特に注目しているのは、脳・脊髄のもとになる神経板をはじめとする神経領域の境界で、この決定機構を明らかにするため、いくつかのアプローチによって研究を行っています。
(1) 神経領域の辺縁部に位置し、末梢神経などに分化する「予定プラコード」に着目し、これがどのような仕組みで誘導されるかを知ることで、初期胚の神経領域の境界規定機構に迫りたいと考えています。そのため、関連する遺伝子、あるいはシグナル伝達機構の役割を調べています。
(2) 胚は神経領域が決められる原腸形成期、細胞単位で大きく移動します。この時、細胞には張力が発生し、結果として細胞の形状も変化します。ただ、神経領域に位置する細胞とそれ以外の細胞では、おのおのの運命に従って張力や形状も違っていることが予想されます。我々は、FRET現象を利用した張力センサープローブを胚に導入することで、胚全体にかかる張力を細胞単位で計測し、その結果、神経領域と表皮領域との間に張力の違いがあることを明らかにしました。現在は、新しいプローブの開発を行うとともに、胚の各領域で張力の違いを生む根拠について、主として細胞骨格・細胞接着装置に着目し、分子レベルで解析しています。また、細胞の形状をデータ化し、その特徴をコンピュータ上で解析することで、細胞形状情報のみから神経・表皮領域の違いを明らかにする研究を行っています。この研究では、理論科学的なアプローチも積極的に活用しています。
(3) それ以外にも、幹細胞を用いた細胞分化・誘導のメカニズム、あるいは細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たす遺伝子についても研究を行っています。
矢島 潤一郎(バイオナノ/マイクロマシン・リバースバイオエンジニアリング)

https://researchmap.jp/yajima_junichiro
yajima@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6745
16号館630B
詳細
生命の基本単位であるマイクロマシン(細胞)では、ナノマシン(タンパク質)が3次元空間で協同的に働くことが必要です。ナノマシンにより構築された分子ネットワークは、その構造や状態をダイナミックに変えて、移動・分裂・センシング装置となり、マイクロマシンの機能を創発させます。当研究室では、タンパク質・細胞小器官繊毛・細胞個体の挙動を、最先端の光学顕微鏡により3次元空間でイメージングし、同時に、生体分子間の相互作用に起因する力を精密に定量します。さらに、構成的アプローチによって、タンパク質を基盤とした分裂可能な人工細胞を創製し、細胞型生命システムの再構成を行います。「みて・ふれて・はかって・つくる」リバースバイオエンジニアリングにより、ナノマシンの動作原理や、細胞骨格などのソフトマター分子によって制御される運動・分裂・センシング装置の仕組みを明らかにし、生命システムがもつ普遍的特徴を探求します。
<主要な研究テーマ>
▼ リバースバイオエンジニアリングによるナノマシン(モータータンパク質)の化学-力学変換機構
細胞現象には、モータータンパク質が必須です。これらのナノマシンは、ATPなどの化学エネルギーを仕事に変換する力発生素子で、人工マシンとは異なる原理を持ちます。この生命独自の化学-力学変換素子の原理解明を目指します。
▼ 構成的アプローチによる分裂可能な人工細胞の創製
細胞が分裂や運動をするのに必要最低限の構成分子を人工膜内に封入し、動的非平衡な集団運動を行うソフトマター分子から人工細胞を作ることで、分裂・運動に必要な因子や分子ネットワークを検証し、生物の普遍的特徴の抽出を目指します。
▼ マイクロバイオマシン(真核単細胞・繊毛虫)の遊泳機構
低レイノルズ数の世界に暮らす微生物は、人工潜水艇とは異なる原理で遊泳します。リバースバイオエンジニアリングにより、微生物遊泳の精巧な仕掛けを解明し、普遍的な特徴を持つ生命システムの解明を目指します。
▼ 生命システムの左右性(ホモキラリティ)の創発機構
生命はホモキラルシステムで、左右性の獲得・維持はあらゆる階層で重要です。この左右性の起源となり得るナノマシン(モータータンパク質)や細胞小器官(繊毛)に着目し、生命システムのキラリティ決定に関わる分子システムの解明を目指します。
吉本 敬太郎 准教授(分子計測化学・創薬・バイオマテリアル)

http://yoshimotolab.c.u-tokyo.ac.jp/
ckeitaro@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6580
15号館201A/B
詳細
生体分子の分子認識科学を極めて創薬・幹細胞工学分野に還元する!
吉本研究室では、“分子認識科学”を基盤として (1) 創薬化学、(2) バイオ分析科学、(3) 幹細胞工学、(4) グリーンケミストリの分野で利用できる新規分子や方法論の研究を行っています。例えば、分子標的薬や診断薬の開発では、標的分子を高選択的に認識する分子が必要となります。また、幹細胞の分化能は、細胞表面上におけるリガンドと受容体の高度且つ複雑な分子認識で制御されています。つまり、分子認識科学は医薬分野の研究における最も根幹的な学問といえるでしょう。基礎研究と応用研究を一つのラボで行うことで、例えば分子間相互作用解析を行うための (生) 化学的分析法と、細胞・個体を対象とする生物学的分析法を習得しつつ、我々の身近に存在する課題探索・設定能力に長けた人材の育成が可能となります。当研究室では基礎研究の重要性を理解しつつ、社会還元を意識した研究活動※を行っています。個々の研究内容については、説明会や見学時に口頭、またはメールなどでご説明します。
※社会還元の一例: 分子認識型核酸 “核酸アプタマー” を短時間で一度に複数個獲得する分子進化工学的手法 “MACE-SELEX” を確立し、2020年5月に創薬開発支援を目的とするベンチャー会社 LinkBIO を設立しました。
若杉 桂輔 教授(分子生命科学・機能生物化学・蛋白質分子工学)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/wakasugilab/
wakasugi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-4392
15号館205A、教養教育高度化機構
詳細
ポストゲノム時代の今日、蛋白質の研究が大変注目されています。本研究室では、「生命の不思議さ」を分子レベルで理解し、病気の治療薬開発など「医療に貢献できる新たな機能性蛋白質の開拓」を目指しています。特に、「がん」「脳卒中」「神経変性疾患」等の病気や「老化」「寿命」「アンチエイジング」などに関わる天然蛋白質が持つ新たな機能を探索し、その機能制御メカニズムを解明するとともに、より優れた機能を持つ新規機能性蛋白質を創製することを軸に研究を行っています。また、生物の進化に伴う天然蛋白質の機能獲得・進化プロセスに着目した理学的な基礎研究も行っています。
1. 病気に関わる天然蛋白質の新規機能の探索、及び、機能制御機構の解明
1-1. アミノアシルtRNA合成酵素の新規機能の解明
チロシルtRNA合成酵素 (TyrRS)とトリプトファニルtRNA合成酵素 (TrpRS)は、tRNAにそれぞれチロシン及びトリプトファンを結合させる反応を触媒する蛋白質合成において重要な酵素です。私達は、ヒトTyrRSがアポトーシスの初期段階で細胞から分泌され、余分な付加ドメインがプロテアーゼで切断された後、触媒活性ドメイン及び余分な付加ドメインが二種類のサイトカインとして働くことを発見しました。また、ヒトTyrRSの触媒活性ドメインが血管新生促進因子として働くこと、他方、ヒトTrpRSも蛋白質分解酵素により余分な付加ドメインが切断されこの触媒活性ドメインは逆に血管新生抑制因子として働くことを明らかにしました。現在、アミノアシルtRNA合成酵素のさらなる新たな機能を探索しています。
1-2. 脳内グロビン蛋白質の新規機能の解明
ヒト脳内に特異的に発現しているグロビン蛋白質であるニューログロビン(Ngb)が最近見つかりました。私達は、ヒトNgbが虚血・再潅流(酸化ストレス)時に立体構造を大きく変え、シグナル伝達蛋白質と結合し活性を制御することにより、神経細胞死を防ぐことを発見しました。この研究成果は、グロビン蛋白質は酸素結合蛋白質としてだけ働くという従来の固定観念をくつがえし、ヒトNgbは酸化ストレス応答性のシグナル伝達センサー蛋白質として機能するという全く新たな概念を打ち立てました。現在、Ngbが関わる細胞内酸化ストレス応答の全体像の解明を目指し研究を行っています。
2. 優れた機能を持つ新規人工機能性蛋白質の創製
現在、種々の生物種のゲノム解読が終了し、蛋白質レベルでの生命現象の解析が盛んになってきました。ポストゲノム時代の今後、蛋白質レベルでの理解を基にした生命現象の改変が可能な時代が到来すると考えられます。そのさきがけとして、蛋白質工学及び化学を駆使し、細胞増殖、分化、細胞死などを人工的に制御可能にする新規人工蛋白質を創製すること(ケミカルバイオロジー)を目指し研究しています。
大杉 美穂 教授 兼担教員(分子細胞生物学・発生細胞生物学)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/ohsugilab2013/
mohsugi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6639
理学系研究科生物科学専攻(本郷キャンパス)
詳細
卵と精子という特殊化した2種類の細胞が融合することにより万能性をもつ細胞である受精卵ができ、卵割分裂を繰り返し個体発生を開始します。卵割を含めた細胞分裂期(M期)はS期に複製された遺伝情報を娘細胞に均等に分配する過程です。細胞は染色体を一本も損なわず正確に分配するための巧妙なしくみとそれを制御する分子機構を備えており、その破綻は細胞死や染色体の異数化につながります。特に卵は体内で最も大きな分裂細胞であり、その中で染色体が正確に分配されるためには、体細胞とは異なる制御やしくみが必要であることがわかってきました。また、受精や卵割分裂過程についての分子生物学的な知見の多くは、カエルなどのモデル生物を用いた研究によって得られたものですが、母体内で進む哺乳動物の発生は特に時間制御が独特であり(ゆっくりと進む)、それを可能にする哺乳動物特異的な分子機構が存在します。
私たちは「分裂期における染色体の分配、核形成機構の制御機構とその多様性」の解明を目指し、マウス受精卵や培養細胞を用いた研究を進めています。
特に、発生異常となる胚でどのような染色体動態異常が生じているのか、全能性を獲得する場としての前核はどのような性質を保持する必要があるのか、について興味をもち、ライブイメージング観察などの細胞生物学的な手法で解析を行っています。
<現在進行中の研究内容>
1) 受精卵〜卵割期胚の多核化を防ぐモーター分子Kid/kinesin-10(染色体結合キネシン)の機能解析
2) 卵精子融合〜前核形成に至る過程の哺乳動物特異的な分裂後期時間制御の分子メカニズムと生理的意義の解明
3) 前核の大きさ制御の分子メカニズムと前核の大きさが発生能に与える影響の解明
4) 卵・初期胚に特異的な微小管動態の解明
※広域科学専攻の大学院生の募集は行っていません。
岡田 由紀 教授 兼担教員(エピジェネティック制御が発生・疾患に及ぼす影響の研究)

http://okadalab.iqb.u-tokyo.ac.jp/
ytokada@iqb.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5841-7831 Fax: 03-5841-7852
定量生命科学研究所(弥生キャンパス)生命科学総合研究棟B402
詳細
エピゲノムはDNAの塩基配列に依存しない生命現象の調節機構として知られ、個体発生や細胞分化、疾患など、様々な生命現象に関与することが知られています。エピゲノム/エピジェネティック調節の根幹となるのがクロマチン構造の制御で、さらにその中心的な役割を担うのが、ゲノムDNAの高次構造形成を助けるヒストン蛋白質です。ヒストン蛋白質は全てのほ乳細胞核内に普遍的に存在しますが、唯一ヒストンを失う細胞、それが精子です。
精子細胞はほ乳類細胞の中で最小の核を持ち、ここにゲノムを収納するためにヒストンを捨ててプロタミンという精子特異的蛋白質を使用します。一方で、数%のヒストンはクロマチンに残存します。当研究室では、このダイナミックなヒストン-プロタミン置換の分子メカニズムおよび残存ヒストンの生理学的意義を明らかにすることを目指しています。さらにこれらの研究から得られた知見を、男性不妊の診断に活用する研究、精子のクロマチンを試験管内で改変する研究等にも応用しています。
研究見学は随時受け付けていますので、希望される方はE-mailにてご連絡下さい。
加藤 英明 教授 兼担教員(構造生命科学・タンパク質デザイン・分子ツール、創薬シーズ開発)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hekato_lab/
c-hekato@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5452-5117
先端科学技術研究センター(駒場IIキャンパス)
詳細
タンパク質は長い時間をかけ進化してきており、驚きに満ち溢れています。それ故に、その機能の分子基盤を理解した時の興奮、その機能を改変し自然を乗り超えた時の喜びはひとしおです。
私達の研究室ではクライオ電子顕微鏡を用いたタンパク質構造解析やAI技術、電気生理、分子薬理的手法などを組み合わせることで、生命原理の理解や新規の生命操作技術・創薬シーズの開発を目指します。また既知タンパク質の研究だけでなく、自然界に眠る有用タンパク質を発見し、その構造機能解析を通じてこれを研究ツールへ昇華させる試みも行っています。
【現在の主要研究テーマ】
1. 生物が持つ光や磁気の新規受容タンパク質探索と構造機能解析
2. 生物が持つ化学シグナル(GPCRシグナル)の時空間解析
3. 新規光遺伝学・磁気遺伝学・化学遺伝学ツール開発
4. 創薬シーズ開発
上記以外でも、scientificに面白いテーマの持ち込みはいつでも歓迎します。
※広域科学専攻の大学院生の募集は行っていません。
白髭 克彦 教授 兼担教員(染色体の構造と機能のゲノム学による解析)

https://www.iqb.u-tokyo.ac.jp/chromosomeinformatics/
kshirahi@iqb.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5841-0756 Fax: 03-5841-0757
定量生命科学研究所(弥生キャンパス)生命科学総合研究棟B404-1
詳細
生物の生存・増殖のためには染色体(=遺伝情報)が子孫細胞へ間違いなく受け継がれてゆくことが不可欠です。生命はこの目的のために染色体を複製し、生じた損傷を修復、倍加した染色体を子孫細胞へと分配する分子機構を生み出してきました。染色体は遺伝情報の発現の場であるとともに、これら遺伝情報維持に関与する数百のタンパク質因子が活動する場でもあります。白髭研究室では染色体の構造と機能がどのように連携し、転写、複製、分配、といった必須機能の制御が達成されているのか、ゲノム学、生化学、遺伝学を動員して解析し、顕著な業績を上げてきました。
我々の現在の興味はSMCタンパクと呼ばれるタンパクファミリーが染色体機能制御に果たす役割を解明することにあります。SMCタンパクの中でもコヒーシンと呼ばれるタンパク複合体は姉妹染色分体間接着因子として二本のDNAを束ねる役割を持つ、染色体分配に必須の因子として長い間、酵母を用いて研究されてきました。一方で、同じ複合体がショウジョウバエ、ヒトでは分化、発生段階での転写制御に関わると言う報告がなされていましたが、この一見、異なる機能がどのように同じ複合体により制御されているのかは謎でした。我々は独自のゲノム学を駆使することでコヒーシンが転写に寄与することを2008年に発見しました。以降、転写制御と染色体高次構造を連動する重要な因子としてコヒーシンは幅広い分野で取り上げられるようになりました。特に、ヒトではコヒーシン関連因子の変異によりCohesinopathyと呼ばれる一群の疾患が引き起こされる事や、近年では急性骨髄性白血病のドライバー変異がコヒーシン関連因子に蓄積している事も明らかにし、疾患とコヒーシン変異の密接な関係を相次いで報告してきました。現在、我々が答えを見出したい問の一つは「コヒーシンがどのように染色体の構造制御と転写機能を連携し、正常な分化プログラムを実行しているのか?」です。この問に答えるべく、最新のゲノム技術、一細胞解析技術、情報解析技術、ヒト患者細胞やノックアウトマウスを用いた遺伝学、そして古典的な生化学による試験管内転写再構成系を駆使した研究を行っています。これはほんの一例ですが、多彩な染色体機能の謎を解き明かすべく日夜、研究を進めています。
【主要な研究テーマ】
1. ヒト、マウスを用いたコヒーシンによる分化プログラム制御機構の解明
2. 染色体構造変換と機能制御の連携機構のゲノム学、遺伝学、生化学を用いた解析
3. 一細胞ゲノム解析、染色体高次構造解析、メタゲノム解析等、新たなゲノム解析手法の開発
竹内 昌治 教授 兼担教員(培養肉・バイオハイブリッド工学)

http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp/
takeuchi@iis.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5841-6488
情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 (本郷キャンパス) 工学部2号館
詳細
生物学と工学を融合させたバイオハイブリッド工学ー
本研究室では、生物学、情報工学、マイクロ・ナノマシン工学が融合した生命科学を行なう。ウェットやソフトに加えてハードの知識と技術をフルに活用し、DNAから細胞、組織、行動まで、生命のあらゆるスケールにおける謎を解明し、応用することを目指す。自分のバックグラウンドに固執せず、幅広い研究分野を吸収したいという意欲のある学生を募集している。
1. 培養肉
組織工学の技術を利用して筋組織を体外で作ろうという試みが培養肉研究である。具体的には、家畜から採取した少量の筋細胞を細胞培養技術で何倍にも増殖させ、それらを用いて本物の肉に似せた形態や機能をもつ大きな筋組織を作ることを目指している。
2. バイオハイブリッドロボット
モノづくりが進化し、これまでになかったデバイスやシステムが次々と現れる一方で、生体に見られる分子認識能や物質産生能、自己組織化能などの機能を人工的に作り出すことは依然難しい。人工的に実現することが難しい機能素子に関しては、分子や細胞など生物材料を直接用いることで解決するという考えのもと、生物と機械のそれぞれ優れた機能や構造を組み合わせたバイオハイブリッドロボットに関して研究している。
3. 人工細胞
リポソームと呼ばれる球状の人工細胞膜を作成し、その内部に、DNAやタンパク質、マイクロナノデバイス等を導入できるようになってきた。これら構造体の内部状態を制御することによって、物質認識、伝達、運動など、細胞のような挙動を示す人工細胞づくりに取り組む。これらの構成的なアプローチを通じて細胞機能の理解に迫る。
4. 膜タンパク質チップ
細胞と外界とのやりとりに不可欠なのが、細胞膜中に存在する膜タンパク質である。薬の効果を調べる場合、この膜タンパク質の機能(物質輸送、認識、交換等)の解明が重要な課題である。ここでは、マイクロアレイ上に人工細胞膜を再構成し、各種の膜タンパク質を導入し、それらの機能を解明する。また、これらのチップを、創薬スクリーニングやバイオセンサへ応用する研究も行なっている。
上記以外でも、既存の分野の垣根を越えた新規テーマは、いつでも歓迎する。
林 勇樹 准教授 兼担教員(社会に役立つ生体高分子(タンパク質・核酸)の創出・進化分子工学)

https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/hayashi-lab/
hayashi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6643
アドバンストリサーチラボラトリー203(1)
詳細
タンパク質や核酸を研究対象としたバイオテクノロジー
私たちの研究室では、産業や医療に役立つタンパク質や核酸を研究対象とし、産業や医療に役立つ革新的な生体高分子の創出を目指しています。学生の居室・実験室は駒場キャンパスとなります。
1.サステイナブル、カーボンニュートラルな物質生産を目指した酵素の開発
石油の枯渇は地球規模の問題であり、石油に依存しない、サステイナブルな物質生産は必要不可欠となっています。石油に含まれる炭化水素は、脂肪族炭化水素(鎖状の炭化水素)と芳香族炭化水素に分けられます。脂肪族炭化水素は主に燃料といったエネルギーとして利用されており、芳香族炭化水素はプラスチックに代表される化学工業製品の原料として利用されています。しかしながら、芳香族炭化水素を生成する酵素は世界での一例しかなく、微生物を利用して物質生産されたことはありません。本研究では世界に先駆け、芳香族炭化水素を生成する新規酵素の創出も目指しています。独自に開発している革新的なバイオセンサーを組み合わせた進化分子工学により、微生物の代謝中間産物から芳香族炭化水素を生産する酵素の開発を目指しています。
2.新規バイオセンサーの開発
アルデヒドは、医療分野では医薬品原料として、また食品分野では香料として利用されています。一方で、生体内では酸化ストレスによる活性酸素による毒性のアルデヒドも生成されており、疾患との関連も明らかとなってきています。アルデヒドは反応性が高い分子であるため、生体内では、他の分子と反応、あるいは変換されるため、その検出は困難です。本研究では、アルデヒドを直接発光基質として利用できるバイオセンサーを開発しています。本ツールは、有用なアルデヒドの物質生産研究への利用や、生体内での毒性のあるアルデヒド生成の時空間的追跡を可能にし、アルデヒドと酸化ストレスによる疾患との関係解明に役立つツールとしての利用を目指しています。
3.次世代型進化分子工学的手法の開発
目的の触媒活性をもつタンパク質(酵素)創出する進化分子工学では、活性を評価できる変異体の数(ライブラリサイズ)に限りがある。本研究では、108種を超える大規模な変異体酵素の活性を迅速・簡便に、評価・選択できる次世代型進化分子工学手法の開発を進めている。
この他に、新規の研究テーマの希望も受け付けます。特にこんな生体分子を創ったら「おもしろい」といった希望は大歓迎です。
研究室の見学はいつでも受け付けています。見学を希望される方は、E-mailにご連絡の上、お越しください。
深谷 雄志 教授 兼担教員(個体発生における遺伝子発現ダイナミクスの解析)

https://sites.google.com/view/fukayalab/home
tfukaya@iqb.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5841-1453 Fax: 03-5841-1469
定量生命科学研究所(弥生キャンパス)生命科学研究棟404, 414号室
詳細
私たちは転写制御の基本的なメカニズムの解明に挑みます。転写制御において中心的な役割を担っているのはエンハンサーと呼ばれる非コードDNAです。エンハンサーは配列特異的な転写因子との結合を介して、標的遺伝子の転写活性を時空間的に緻密に制御しています。現在、ヒトゲノム中には少なくとも40万以上ものエンハンサーが存在すると見積もられており、1つの遺伝子に対しておよそ20近くのエンハンサーが働いていると考えられます。こうしたエンハンサーを介した遺伝子発現制御の多様化が、高等真核生物の複雑な形態形成を可能にしています。さらに近年、エンハンサー領域の変異が癌をはじめとする疾患と密接に関連していることが明らかとなりつつあります。創薬の観点からも、エンハンサーの働きを適切に制御することで、疾患の進行を抑制する試みが精力的になされています。しかし、このようにその生物学的重要性が明らかになりつつある一方で、エンハンサーによる転写制御の作用機序には未だに数多くの未解決問題が残されています。特に「時空間ダイナミクス」の理解は全くといってよいほど進んでいません。我々はショウジョウバエ初期胚をモデルとして、転写活性をリアルタイムに可視化する独自のライブイメージング法を駆使することにより、個体発生における遺伝子発現ダイナミクスを1細胞レベルで理解することを目指します。さらに、ゲノム編集や遺伝学、生化学などの手法を組み合わせることにより、新たな切り口からセントラルドグマを理解することを目指します。
【主要な研究テーマ】
1. 高次ゲノム構造を介した転写制御機構のライブイメージング解析
2. 初期発生過程におけるエンハンサー機能のゲノミクス、およびライブイメージング解析
3. 遺伝子発現動態を可視化する新規イメージング技術の創出
研究室の見学はいつでも受け付けています。希望される方はE-mailにてご連絡下さい。
船水 章大 講師 兼担教員(脳の意思決定・人工知能)

https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/funamizu-lab
funamizu@iqb.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5841-7862
定量生命科学研究所(弥生キャンパス)本館310号室
詳細
絵画や音楽の印象が、人それぞれで異なるように、私たちは、目や耳から入る情報を、脳内で修飾・変換して、知覚に結び付けています。私達の研究室は、この知覚意思決定の脳内メカニズムの解明を目指しています。特に、情報処理における脳と人工知能 (AI) の共通点や違いに注目しています。近年のAIは、画像や動画から人の位置を容易に検出し、将棋や囲碁ではプロを超える実力を持ちます。脳の情報処理はAIのように適切なのでしょうか。脳には得意だがAIに苦手なことは何でしょうか。私達は、マウスをモデル動物として、脳の神経細胞群の活動を最先端の顕微鏡技術で計測します。また、光遺伝学手法で、脳の神経活動の操作を目指します。得られた神経活動データや行動データを、人工知能に用いられる機械学習で解析・モデル化することで、脳の理解につなげます。
【主要な研究テーマ】
1. 視覚刺激や聴覚刺激といった感覚情報を知覚するための神経回路の同定。
2. 知識や経験に基づいて、感覚情報を脳内で修飾するための神経回路の同定。
3. 脳にはどのような行動戦略が実装されているのか、どの神経回路が行動戦略を実装するのかの研究。
4. 1~3の神経回路データに基づくモデル (人工知能) の構築。
5. 機械学習による行動・神経活動データの解析手法の開発。神経活動計測や操作用の顕微鏡技術の開発。
脳に興味のある方、AIに興味のある方、大歓迎です。研究室見学を希望される方は、ぜひEmailでご連絡ください。
久保 郁 客員准教授 駒場理研連携大学院(知覚システム・神経科学)

http://kubolab.jp/wp/
fumikubo@riken.jp
理化学研究所 脳神経科学研究センター
詳細
多くの動物は外界から感覚情報を取り込み、脳で処理して、目的にかなった行動を選択します。私たちは、このような行動選択の基本となる神経回路メカニズムを解明すること目指しています。私たちの研究室では、ゼブラフィッシュ稚魚の視覚系を使って、この問題に取り組んでいます。ゼブラフィッシュの脳は、脊椎動物に共通する基本的な構造を持ちながらも、細胞数が少なく、単純な神経回路を形成しています。また、脳が透明であるため、全脳に渡って神経活動を可視化したり、操作したりすることが可能です。さらに、遺伝学的手法を駆使して、特定の細胞タイプを正確に標識することができます。これらの特徴を活かし、感覚情報処理と行動制御の基盤となる神経回路の普遍的な原理を明らかにすることを目指しています。
【主要な研究テーマ】
1. オプティックフロー情報処理を司る神経回路の解析
2. 経験依存的な視覚情報処理様式の変容
3. 錯視を用いた視覚神経回路の解析
4. 神経活動依存的な神経細胞標識と遺伝子発現プロファイルの解析
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は坪井貴司教授)。
髙田 篤 客員准教授 駒場理研連携大学院(生物学的精神医学・ゲノム医科学)

https://mppd-takatalab.com
atsushi.takata@riken.jp
理化学研究所 脳神経科学研究センター
詳細
統合失調症、気分障害、自閉スペクトラム症等の精神神経疾患は、いずれもありふれた疾患で、かつ患者さんやそのご家族の人生に大きな影響を与えうるものです。しかしながら、その根本原因は未解明であり、現代においても「精神病理学」は、責任臓器の病的変化ではなく、精神症状の観察・記述とその解釈に依拠します(また、概してその方が実利的であるというのが現状です)。一方、近年の分子生物学、分子遺伝学、コンピュータ科学等の著しい発展に伴い、精神神経疾患の「病理」を分子レベル、一細胞レベル、DNA配列一塩基レベルの解像度で探索することが可能になってきています。私達の研究室では、最新鋭のテクノロジーを駆使して、精神神経疾患の分子病理を解明し、その「病理学」を再定義するとともに、疾患メカニズムの理解に基づいてデザインされた診断・治療・予防法を開発することを目指します。
具体的には、下記のような研究プロジェクトが進行中です。
1)大規模ヒトゲノムシーケンスデータの解析
数万人以上のヒトゲノムシーケンスデータを、エピゲノム修飾・遺伝子発現パターン等の情報と紐づけながら、機械学習や種々の統計手法を用いて解析しています。精神神経疾患と関連する遺伝子・変異を同定することや、疾患リスク予測法の構築を目指しています。
2)精神神経疾患動物・細胞モデルの解析
大規模ヒトゲノム研究の成果に基づいて、妥当性が高い精神神経疾患モデルを作出し、病態解明や治療・予防法創出を目指した研究を行っています。一細胞シーケンス・空間オミクス等の先端技術を活用するとともに、神経回路・行動レベルの解析を共同研究等を通じて進めるなど、多角的な検討を行っています。
3)患者さん由来サンプルの解析
精神神経疾患の脳分子病理を明らかにすべく、患者さん由来の死後脳サンプルを使用したオミクス解析等を行っています。
4)バイオインフォマティクスツール・データベース開発
精神神経疾患の生物学的研究の発展に資するようなリソースの開発を行っています。
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は坪井貴司教授)。
増田 建 教授 系間協力教員(植物分子生物学・葉緑体色素の分子生理学)

http://webpark.1435.sakura.ne.jp/wp/
cmasuda2@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6627 Fax: 03-5454-4321
16号館305B(広域システム科学系)
詳細
本研究室では植物の光合成器官である葉緑体の形成や植物細胞の機能的システムの形成について、葉緑体色素の解析を通して研究を行っています。葉緑体色素であるテトラピロール分子は、光合成の光エネルギー受容を行うクロロフィル、酸化還元や電子伝達反応を担うヘム、また光受容体の発色団であるビリンなど、植物細胞内で必須な役割を果たしています。さらに、テトラピロール分子は核の光合成遺伝子の発現を制御する、色素体からのシグナル因子であると考えられています。テトラピロールの生合成に関わる遺伝子などについては明らかになってきましたが、植物細胞内におけるその動態については未だ不明な点が多く、その機構を明らかにすることは重要です。
私たちの研究室では、これまで主に植物生理学・分子生物学・分子遺伝学的な手法を用いて、テトラピロール合成系の制御機構を明らかにするとともに、生合成に関わる各アイソザイムが果たす機能について詳細な解析を行ってきました。また、網羅的にテトラピロール生合成系の遺伝子を発現解析することにより、代謝系の制御に関わる酵素が協調的な遺伝子発現制御を受けることを明らかにしています。今後も、植物細胞におけるテトラピロール代謝の研究を通して、植物の機能的な細胞システムの構築機構を明らかにしていきたいと考えています。
現在、主に行っている研究内容は、
1.植物細胞におけるヘム輸送機構の解明
2.レドックスを介したクロロフィル生合成制御機構の解明
3.被子植物の葉緑体形成機構についての実験進化学的検証
研究室の見学はいつでも受け付けています。所属希望あるいは見学を希望される方は、E-mailにて事前に連絡の上お越し下さい。
身体運動科学グループ
今井 一博 准教授(スポーツ医学・運動器障害)

https://sites.google.com/view/utokyo-sports-medicine-lab/
imai@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6861 Fax: 03-5454-4317
9号館212
詳細
スポーツ医学には、競技スポーツ医学と健康スポーツ医学があります。競技スポーツ医学では、競技スポーツ選手の身体能力の強化・競技力向上およびケガ予防に向けた身体の使い方・スポーツ関連の病気やケガに対する治療などを取り扱います。健康スポーツ医学では、子供から高齢者まで一般の人々の体力向上・健康増進・生活習慣病や運動器障害の予防および治療などを取り扱います。競技スポーツ医学と健康スポーツ医学の対象者は異なりますが、多くの共通点があります。当研究室では、骨・関節・筋肉などの運動器を中心にスポーツ・運動がヒトにおよぼす影響をテーマとしています。対象は競技スポーツ選手・一般の人の両者ですが、小児期・成長期・青年期・中壮年期・高年期における問題、女性の問題についても合わせて対象としています。
研究内容としては以下のものが進行中あるいは計画中です。
1 スポーツ・運動が骨におよぼす影響
・わが国では超高齢社会となり、骨粗鬆症を基盤とした骨強度低下が原因の骨折が急増しております。骨強度評価法を用いて身体運動における骨折リスク・骨力学特性の評価、骨強度低下に対する薬剤・運動・力学的環境などの介入効果の評価を行っています。
・成長期や競技スポーツにおける使い過ぎ(オーバーユース)症候群である疲労骨折につき、リスク評価・予防・治療などを研究する予定です。
2 ロコモティブシンドロームに対する運動療法
変形性関節症や脊椎変性疾患などを基盤とするロコモティブシンドロームに対する運動療法の効果と限界を研究しています。重症度や各人の状態に応じた最適な運動・強度・頻度についても検討する予定です。
3 不良姿勢(マルアライメント)とスポーツ障害
・下肢マルアライメント(Knee in Toe out)および脊椎マルアライメント(側弯・後弯・前弯)とスポーツ障害の関連を調査し、さらにマルアライメントを改善する介入プログラムによりスポーツ障害が予防できるかを検討する予定です。
・野球肘などの使い方(マルユース)症候群に対しても、介入プログラムにより予防できるかを検討する予定です。
4 運動による健康増進
・小児から高齢者まで年代を通じて運動習慣を持つことの意義について研究する予定です。
・女性における運動習慣と健康の問題に対しても、各年代を通じて研究する予定です。
具体的な研究内容
・閉経後女性の骨粗鬆症に対して、骨粗鬆症治療薬が骨強度、骨力学特性、骨折リスクにどのような影響をおよぼすかを研究しています。
・変形性膝関節症に対して運動療法を行うことで、歩行能力改善にどの程度効果があるのかを研究しています。
工藤 和俊 教授(運動神経心理学・運動学習/制御論・認知-行為ダイナミクス)

http://www.dexterity-lab.c.u-tokyo.ac.jp/
kudo@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6854 Fax: 03-5454-4317
9号館214
詳細
一流のアスリートや,ダンサーや,音楽演奏家は,日々の弛まぬ練習によってきわめて高度な技(スキル)を体得します。本研究室では,このような高度熟練パフォーマンスに代表される運動の巧みさ/上手(うま)さについて,以下のような素朴な疑問に答えるための研究を推進します。
・上手なひととそうでないひとはどこが違うの?
さまざまな運動スキルにおいて,熟練者と初心者の比較を行い,両者の違いを明らかにします。これまでの研究では,単なる運動の巧拙だけではなく,その背後にある運動制御方略に着目することにより,初心者が固有の制約条件のもとで運動の(何らかの意味での)最適化を試みていることが明らかになってきました。また一方で,熟練者は複数の高いレベルのスキルを統合して,より高いパフォーマンスを実現していることも明らかになりつつあります。今後は,さまざまなスキルにおける固有の制約条件と運動組織化の関係を明らかにしていく予定です。
・どうすれば運動が上手になるの?
運動スキルは単なる画一的な反復練習だけで体得できるものではありません。 多様な状況において発揮可能なスキルを身につけるためには,多様な練習が不可欠になります。制御対象としての身体の特異性と環境の多様性に着目するとき,運動の学習は単なる刺激-反応の結合ではなく,環境/文脈の認知と予測を含む複雑な認知-行為のダイナミクスとして記述できるはずです。このことを,神経生理学的/行動科学的な計測および数理科学的手法を用い,具体的な運動スキルを対象とした短期的/長期的な学習実験から明らかにしたいと考えています。
・スランプはどうして起こるの?
上達の道のりは決して平坦ではなく,山あり谷ありの波乱に満ちた道中です。 運動スキルを体得しようとするときには,その途上でしばしば躓きや後退,あるいは突然の飛躍を経験します。私はこれらの変化を,通常の上達経路からの逸脱ではなく,上達過程において不可避的に出現する出来事であると考えています。実際にこれらの出来事に直面すると,そこで心理的な変動が生じます。本研究室では,従来心理学的に捉えられてきた運動学習における「こころの問題」を認知-行為ダイナミクスの観点から捉えなおし,実験的研究および力学系理論(数理モデル)を用いた理論的研究によってこの現象の解明を目指します。
・練習でできていたことが試合でできなくなることがあるのは何故?
あがりやプレッシャーは,パフォーマンスに大きな影響を及ぼします。これらの状況下で生じる生理的/心理的変化とパフォーマンスの関係を明らかにし,これらへの対処法を開発することが研究目標となります。 これら一連の研究により,ヒトにおける熟練行為の学習/制御原理を解明するととともに,研究成果を運動指導やコーチングに役立てることが本研究室の目標です。
久保 啓太郎 教授(筋・腱複合体の可塑性)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kubokeitaro/
kubo@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6864 Fax: 03-5454-4317
9号館219
詳細
これまで研究対象としてあまり注目されてこなかった「腱」の機能的役割や可塑性を通じて、新たな視点からスポーツパフォーマンス向上や健康増進を図ることを目指しています。現在すすめている研究テーマは、以下のとおりです。
1)筋および腱の力学的特性(いわゆるバネ)の機能的役割
これまでは「腱」のみを研究対象としてきましたが、最近では「収縮条件下での筋の力学的特性」も含めて、いわゆる『バネ』について多角的に検証を重ねています。跳躍、スプリント、長距離走などの伸張ー短縮サイクル運動における「筋および腱の力学的特性」の影響を検証し、いわゆる『バネ』の機能的役割を明らかにすることを目指しています。
2)筋および腱の力学的特性(いわゆるバネ)の可塑性
・成長および加齢に伴う「筋および腱の力学的特性」の横断的および縦断的変化
・様々なトレーニングに伴う「筋および腱の力学的特性」の変化とパフォーマンスへの影響
・「筋および腱の力学的特性」に及ぼす先天的要因(遺伝子多型)の影響
3)腱の障害予防
競技選手およびスポーツ愛好家における使いすぎによる腱障害は、トレーニング継続を妨げる最大の要因です。スポーツ現場では様々な対処法(温熱療法、鍼治療、高気圧酸素療法、ストレッチング、など)が導入されていますが、それらの大部分は経験に基づいた処方に留まっています。腱の血液循環やその他様々な因子への影響を考慮に入れた最適な腱のメンテナンス法の確立を目指しています。
4)ヒト生体の筋および腱に関する新たな測定法の開発
ヒト生体を対象にした非侵襲的な測定法は、スポーツ科学および健康科学分野において新たな知見を創出するために必須なものと言えます。これまでに以下に挙げる幾つかの測定法を開発してきましたが、今後も新たな研究が展開できるような測定法の開発を目指しています(私自身は最も重要だと感じています)。
腱ステイッフネス(Kubo et al 1999 J Appl Physiol)およびヒステリシス(Kubo et al 2001 J Appl Physiol)、腱の血液循環(Kubo et al 2008 Acta Phyiol)、血中マーカからの腱コラーゲン代謝の推定(Kubo et al 2012 Res Quart)、収縮条件下での筋ステイッフネス(Kubo 2014 J Appl Physiol)、腱のコラーゲン配列(Ishigaki et al 2016 J Biomech)
佐々木 一茂 准教授(筋生理学・トレーニング科学・応用健康科学)

https://bio.c.u-tokyo.ac.jp/lab_sasaki.html
sasaki@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6882
9号館302B
詳細
筋肉(骨格筋)は、身体運動の発現において必須の組織であるだけでなく、体熱産生や生理活性物質の分泌など、生命活動において様々に重要な役割を担っています。当研究室では、特に人間(ヒト)を対象とした骨格筋の機能的な評価を基本として、その規定因子や影響因子、トレーニング効果について研究することで、スポーツの競技力向上、高齢者のQOL向上、障害者の生活支援などに直接・間接に貢献することを目指しています。また、これらの目標を達成する助けとなる新しい人体特性評価法・指標の開発や各種ツール(健康器具、ウェアラブルセンサ、スポーツウェアなど)の有効性検証にも取り組んでいます。現在の主要な研究テーマは以下の通りです。
- 骨格筋の「質」に関する研究:スポーツの現場で「筋肉の質が良い」などと言うことがありますが、質は量のように明確に評価することが難しく、また一口に質と言っても様々な観点があります。質をどのように評価すればよいか、質は変えることができるのか、質の良さは筋機能や運動パフォーマンスさらには健康とどう関係するのか、などの疑問に答えるべく筋電気刺激や磁気刺激、表面筋電図、超音波せん断波エラストグラフィを駆使して研究を進めています。
- 運動・トレーニングのシステミック効果:運動・トレーニングは体力向上や減量を目的として行われることが多いですが、それ以外にも全身性に様々な副次的効果(システミック効果)をもたらします。これを明らかにすることで、運動の意義をこれまで以上に幅広い層にアピールできる可能性があります。そこで、現在は特に運動離れが進んでいるとされる若い女性を対象に、運動・トレーニングによる体型、ボディイメージ(自己体型に対する知覚の歪みや不満足度)、自律神経活動、睡眠の質などの変化を調べています。
- 人体の生理・心理的特性を評価する新しい方法や指標の開発:生命とは極めて複雑かつ精巧なシステムであり、その特性を客観的に評価することは容易ではありません。また、最先端の研究現場では必然的に測定方法や測定器具が標準化されていない課題に多く遭遇します。そこで、器具を自作したり、既存の測定方法の改良や転用をしたりしながら、人体の生理・心理的特性を評価する新しい方法・指標の開発に取り組んでいます。これまでに、骨格筋の無負荷短縮速度をヒト生体内で測定する方法、脚の浮腫(むくみ)の多面的な評価系、女性のボディイメージを数値化するコンピュータプログラムなどを開発してきました。
高橋 祐美子 准教授(運動生理生化学)

https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/y-takahashi-lab/
y.takahashi@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6865
9号館201
詳細
当研究室では、運動時の疲労の低減や疲労回復の促進、トレーニング効果の獲得、パフォーマンス向上を図る方法について、糖を中心としたエネルギー代謝に着目して検証を行います。人間の活動には、代謝でエネルギーを生み出し、骨格筋を収縮させることが不可欠です。スポーツに限らず、Ⅱ型糖尿病などの代謝性疾患や加齢による筋萎縮などの予防・進行抑制など、健康を考える上でも代謝は重要な視点となります。
実験対象はマウスやラットといったモデル動物が中心となります。運動・トレーニング、栄養摂取などの介入効果の検証は、動物を使わせて頂く方が行いやすいためです。
基本的に、研究テーマは運動生理生化学の範囲内で自身の興味を発展させる形で決めてもらいたいと考えています。参考までに、私が取り組んできたテーマは下記の通りです。
1. 運動後の疲労回復の促進に向けた糖を中心とした代謝の改善方法の探索
試合が連続して続く状況や、合宿など短期間に繰り返し練習を行う際には、疲労回復の促進は競技成績や練習の質を左右します。特に、骨格筋に貯蔵されるグリコーゲンは筋収縮の際に重要な役割を果たすこと、さらにはグリコーゲン貯蔵の低下と疲労の発生・パフォーマンスの低下との関係も示されています。そのため、運動後のグリコーゲンの回復を主眼に置いて、栄養摂取や回復期の過ごし方など介入の影響を検証しています。
2. 骨格筋の代謝適応をもたらすトレーニング・介入方法の探索
運動を継続的に行うと、骨格筋では糖や脂質を取り込む能力や利用する能力などが向上するなど、代謝能力が高まる方向の適応が起こります。一方、怪我や様々な事情でトレーニングをできなくなったり活動量が減ったりすると、代謝能力が低下し、運動能力の低下や代謝性疾患に繋がることもあります。そこで、代謝能力を向上あるいは維持するためのトレーニング・介入方法を検証しています。
3. アスリートのコンディション把握に繋がる方法の探索
スポーツに取り組む人は、自身のコンディションを定期的に評価し、適宜対処することが必要です。代謝に関する評価は、骨格筋など組織を取り出して生化学的に分析する方法が高精度ですが、それを日常的に行える人はほぼいません。そこで、グリコーゲン貯蔵などの体内の代謝の状況を反映する可能性があり、かつ、簡便にサンプル採取や測定が可能な指標を探しています。
竹下 大介 准教授(バイオメカニクス・神経科学)

https://biomech.c.u-tokyo.ac.jp/takeshita/
dtakeshita@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6870
9号館203
詳細
身体運動は脳などの中枢神経系が筋肉に電気的な信号を送り、身体の各部位を制御することで実現されています。当研究室では、中枢神経系と筋肉や腱などの筋骨格系の相互作用に着目することで、運動のメカニズムを解明しスポーツパフォーマンスの向上に結びつけることを目標としています。手法としては、動作解析や筋電図などの実験的手法とシミュレーションや理論解析などの計算論的な手法を相補的に用いることで、身体運動の統一的な理解を目指します。
当研究室の主要な研究テーマは以下の通りですが、異なる方向性で研究を進めたいという方も歓迎します。
- 共振を利用したスポーツパフォーマンスの向上
建造物に特定の周期で外乱が加わると非常に大きく揺れることがあり、共振と呼ばれています。これまでに運動中の筋肉にも共振が起き得ることを明らかにし、効率よく運動が遂行できる可能性を示唆しました。共振という枠組みから運動を統一的に理解することを試み、スポーツパフォーマンスの向上に結びつけることを目標とします。 - 統計学的手法を用いたスポーツパフォーマンスの評価と向上
運動中の関節角度変化などのデータに主成分分析などの次元圧縮を行い、動作の本質を抽出し、スポーツパフォーマンスの評価や向上に応用することを目指します。 - 運動のシミュレーションを用いた最適な動作の探索
機械学習の手法であり、脳内の学習過程であるとも考えられている強化学習のアルゴリズムを用いて、筋骨格系モデルを用いた走行などのシミュレーションを行い、身体の最適な使い方や、脳から筋肉への最適な信号は何かを理解することを試みます。
物理学、数学、機械学習などのバックグランドがあるに越したことはないですが、そうでなくとも数理科学の知識や手法を使って運動のメカニズムを理解するというアプローチに興味があり、新しいことにチャレンジしたいという気概のある方は歓迎します。また、竹下は海外で15年以上研究活動をしてきましたので、海外でのキャリアを見据えて研究活動を行いたいという人には、英語で研究を進めるための訓練を実施することも可能です。興味のある方はお気軽にご連絡ください。
寺田 新 教授(スポーツ栄養学)

https://sites.google.com/site/shinteradalab/
terada@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6863 Fax: 03-5454-4317
9号館211
詳細
【スポーツパフォーマンス向上のための効果的な栄養学的手法の開発】
スポーツパフォーマンスを向上させるうえで、トレーニングだけではなく、食事・栄養素の摂取も重要な要因になりますが、その効果的な手法を研究する学問分野である「スポーツ栄養学」が近年注目されています。
私たちの研究室では、実際のスポーツ現場でチーム・選手をサポートしながら、その中で介入を行い、様々な栄養学的手法・機能性食品の効果・有効性を検証しています。
中澤 公孝 教授(運動生理学・ニューロリハビリテーション)

http://www.neuro-reha-sport-lab.com/
nakazawa@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6869 Fax: 03-5454-4317
9号館205
詳細
私たちの研究室ではスポーツやリハビリテーションへの応用につながる研究を行います。具体的には、運動刺激に対する神経筋系の適応に関する研究や、人間固有の基本的な運動である直立二足歩行、直立姿勢維持、高度なスポーツスキル、これらを実現する神経メカニズムに関する研究が中心となります。研究手法は、実際に人間を対象とするため、電気生理学的計測を中心に、近年の人間を対象とした神経科学で用いられている経頭蓋磁気刺激や脳(活動)画像化技術などの非侵襲的検査法を利用する方法となっています。また、スポーツやリハビリテーションの現場でのフィールド測定も数多く行っています。
現在の研究課題
1. 歩行、姿勢のニューロリハビリテーション関連研究
歩行と走行の神経基盤および学習
ロボット型歩行トレーニングの効果
新たな歩行トレーニングシステムの開発研究
ポールを利用した歩行トレーニング
2. スポーツスキルの運動制御に関する研究
高度なバッティングスキルを可能とする神経機序と適応
バッティング、ピッチングの神経基盤の発達と適応
スポーツスキルの獲得、維持と神経の適応
3. パラリンピック関連研究
パラアスリートの神経適応(パラリンピックブレイン)
パラアスリートの体力
4. 潜在アンビエント情報の取得と利活用に関する研究
各種生体信号、身体運動の非侵襲的測定
情動の解読と運動への影響の評価
福井 尚志 教授(スポーツおよび加齢に伴う関節の障害と疾患)

https://sites.google.com/view/utokyo-sports-medicine-lab/home
n-fukui@idaten.c.u-tokyo.ac.jp; naoshifukui@gmail.com
Tel: 03-5454-6866/6133
9号館213
詳細
スポーツでは靱帯や半月の損傷、腱や靱帯の炎症といった様々な障害が関節に生じます。また一方、超高齢化社会となったわが国では多くの方が加齢に伴う関節の障害で苦しんでいます。当研究室では関節のあらゆる障害をテーマに研究を展開しています。スポーツや加齢に伴う関節の障害がどのようなメカニズムで生じるのかを明らかにし、それをもとに新しく有効な治療法、予防法を見出すのが私たちの研究の目指すところです。少し具体的に述べると研究の対象は関節とその周囲の組織であり、そこに生じる外傷や疾患を細胞、組織、実験動物、実際のヒトの病態という4つのレベルで調べることで、外傷や疾患の予防・治療に役立つ知見を得ることが研究の直接の目標になります。
当研究室で現在進行中あるいは計画中の研究テーマは以下の通りです。関心のある方はお気軽にご連絡ください。
1. 靱帯の損傷と修復
・損傷された靱帯の修復機序の解明とそれに基づくより「質の良い」修復の誘導法の確立
・関節の外傷(骨折や捻挫)後の関節可動域低下の機序の解明
・膝関節前十字靱帯再建後の筋力、関節可動域の回復に関与する因子の解明
2. Overuseによる腱、靱帯、滑液包の障害
・膝蓋腱炎、アキレス腱炎、肘関節外上顆炎など繰り返しの負荷による腱や腱付着部(enthesis)に生じる障害の発生機序の解明とそれに基づいた治療法(理学療法、装具療法および薬物療法)の検討
3. 半月損傷
・半月の修復能力の検討とそれに基づいた半月修復術の成績向上の検討
4. アスリートにおける関節炎
・関節の障害や外傷、とくに靱帯や半月損傷のあとに見られる関節の腫脹(水腫)や軟骨の変性が生じる機序の解明とそれに基づいた最適な治療法の検討
5. 加齢に伴う関節疾患
・変形性関節症の病態の解明とそれを通じた新規の治療法(理学療法、装具療法および薬物療法)の開発
・変形性関節症において水腫や疼痛の生じる機序の解明
※大学院生の募集は行っていません。
柳原 大 教授(脳神経科学・運動生理学)

https://yanagiharalab.wixsite.com/home
dai-y@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6857 Fax: 03-5454-4317
9号館215
詳細
身体運動の制御、学習・記憶、予測における脳の働きについて、分子・遺伝子レベルから個体(マウス、ラットおよびヒト)における行動レベルまで幅広く関連性を持って研究しております。研究方法としては、ニューロン活動などの電気生理学、高速度カメラを用いた運動学的解析、免疫組織化学、遺伝子発現解析、神経筋骨格モデルによる動力学シミュレーションが中心になります。現在の主要な研究テーマを以下に記しております。
1: Split-belt Treadmillを用いた歩行の適応制御機構の解明
ヒトや動物は様々な環境や状況に合わせて巧みに歩くことができますが、それを実現可能としている脳神経系のメカニズムが解明されることで、脳機能障害に由来する歩行障害の治療やロボットでの高度な踏破性を有する歩行・走行の実現などに有用な知見を提供することが期待されます。研究室ではSplit-belt Treadmillという左右2つのベルトが別々の速度で動くことによって左右非対称な歩行環境を作り出すことができる機器をラット用に開発し、歩行環境の変化に対する応答を電気生理学的及び運動学的に計測することで歩行の適応・学習機能を調べています。また、トレッドミルの周囲に設置した半球ドームを用いて仮想現実空間を構築し、歩行・走行における適応・学習機能についても調べています。さらに、実験データと解剖学的・生理学知見に基づいてラットの神経筋骨格モデルを構築して、多様な条件で動力学的にシミュレートすることで、脳および末梢神経系が適応を生成する制御メカニズムを解明する研究を行います。
2: 予測的姿勢制御における大脳小脳連関の解明
種々の運動及びスポーツ動作の円滑な遂行においては、適切な姿勢の準備が重要であり、言うなれば予測的姿勢制御は我々が未知あるいは既知の時空間に働きかける最初の過程と言えます。予測的姿勢制御の異常・障害は、脊髄小脳変性症だけでなく、脳梗塞や認知症などにおいても認められており、座位から立位への姿勢変換の障害、歩行障害、転倒などの主要な要因となっています。そこで、ラットを用いた姿勢実験パラダイムを構築し、その際の大脳皮質及び小脳のニューロン活動における因果的依存関係を、多電極・高分解能記録解析技術や光遺伝学など最新の方法を駆使して解明する研究を行います。
3: 脳梗塞の予防や発症後の機能回復に対する習慣的運動及び抗酸化物質摂取の影響についての基礎研究
脳梗塞など脳血管の障害に起因する脳卒中は、本邦において悪性新生物、心疾患、肺炎に次ぐ死亡原因となっており、脳血管疾患の総患者数は今後の超高齢社会においてはさらなる増加が予想されています。そこで、げっ歯類における脳梗塞モデルを作製し、習慣的な運動、あるいは抗酸化作用を持つポリフェノールの摂取が脳梗塞発症時におけるニューロンの生存、梗塞領域の低減やその後の回復過程に及ぼす影響について解明する研究を行います。
4: 情動及び心拍の制御における小脳の役割についての基礎研究
心拍条件づけ学習に小脳が関わっていることは我々の先行研究において明らかにされてきましたが、自律神経系の活動や情動における小脳の関与についての基礎研究を行います。
5:種々の病態モデル動物における運動機能障害の解析
脊髄小脳変性症、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋硬直性ジストロフィ、変形性膝関節症のモデル動物における運動機能の障害とそれらの治療のための基礎研究を行います。
吉岡 伸輔 准教授(スポーツバイオメカニクス、身体運動バイオメカニクス)

https://biomech.c.u-tokyo.ac.jp/yoshioka/
yoshioka@idaten.c.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6855
9号館207
詳細
当研究室ではスポーツや日常生活における身体運動について、その仕組みを力学的観点から解き明かすことを研究目標としています。また、得られた知見を社会に還元していきたいと考えております。ヒトの動作に興味ある方はお気軽にご連絡ください。
所属学生には自身の興味を研究課題に落とし込むことから始めてもらっております。また、研究課題の設定だけではなく、すべての研究段階においてその方向性をコントロールするのは院生自身であるという気概をもってくれることを期待しております。そのため、主体性を持って研究を進めていきたい方、試行錯誤が好きな方に来て頂きたいと考えております。
なお、参考までに現在教員自身が進めている研究について下記に紹介いたします。
1.日常生活動作の力学的負荷に関する研究
日本社会の超高齢化を背景に、如何にして高齢の方の運動能力を維持するか(もしくは高めるか)ということを念頭に本研究を進めております。具体的には日常生活動作の中で最も力学負荷の高い椅子立ち上がり動作を対象に、その負荷特性について調べています。また、その知見を応用して開発した“筋力余裕度計”(日常生活における筋力の余裕度合いを計測する機器)に関わる研究も進行中です。
2.運動パフォーマンスと筋の力学特性の関連性についての研究
運動パフォーマンスを考える上で、筋の力学特性は必ず考慮しなければならない要素です。しかしながら、筋の力学特性は非線形である上、筋の配置や骨格形状が複雑なため、パフォーマンスと筋の力学特性との関連性は洞察しにくいものとなっております。この研究ではコンピュータシミュレーションを活用して、その関連性の明確な理解およびコーチングや運動処方への応用を目指しております。これまでに、筋力の左右差とパフォーマンスの関連性について明らかにしました。
3.スキー(アルペン、クロスカントリー)に関する研究
この研究ではスキー動作の基本技術のメカニズムや怪我の発生メカニズムなどを明らかにすることを目標としています。スキーは計測自体が難しい動作です。そのため、研究そのものだけではなく、計測器の開発も行っています。
バイオメカニクスは生理学、神経科学、医学、工学などと密接に関わる領域です。そのため、上記の研究や既存の研究にとらわれず、別領域とバイオメカニクスを横断した学際的なテーマも歓迎します。
風間 北斗 客員教授 駒場理研連携大学院(知覚神経回路)

https://cbs.riken.jp/jp/faculty/h.kazama/
hokto.kazama@riken.jp
理化学研究所 脳神経科学研究センター
詳細
人は,外界からの様々な入力を知覚し,それに基づいて思考・行動します.しかしながら,知覚を生み出す神経メカニズムはまだ良く分かっていません.当研究チームは,感覚情報が脳内にある多数の神経細胞群によってどのように表現され,そしてどのように処理されることで知覚が形成されるのかを理解することを目標とします.
我々は,様々な利点を備えたショウジョウバエの成虫をモデル動物として用いています.脳内の細胞数が少ないので,各個体で全く同じ細胞を見つけ,調べられます.電気生理やイメージングの手法を用いて,生きた個体内において,感覚刺激に対する神経応答を記録できます.遺伝学を用いて,細胞を標識するだけでなく,その活動を変化させられます.一方では,仮想空間における個々の動物の行動を詳細に記録することで,間接的に動物の知覚を読み取れます.ゆえに,神経活動と行動の関係を系統的に調べることが可能なのです.両者の関係性が,経験や生理条件依存的にどのように変わるかも検討します.この解析を通して,神経活動を解読し任意の刺激に対する行動を予測するモデルを構築します.更に,これらの神経活動を生み出すメカニズムを,細胞,シナプス,回路レベルで理解することを目指します.
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は柳原大教授)。
ジョシュア・ジョハンセン 客員教授 駒場理研連携大学院(記憶神経回路)

https://cbs.riken.jp/jp/faculty/j.johansen/
joshua.johansen@riken.jp
理化学研究所 脳神経科学研究センター
詳細
私たちが日々経験する出来事は、脳内に生理的な変化をもたらし、その結果として記憶が形成されます。しかし、私たちは日常生活において絶え間なく感覚的情報を浴び続ける中で、そのほとんどを覚えていません。それでは「多くの経験が忘れ去られてしまう一方で,なぜ特定の経験だけが記憶として脳内に貯蔵されるのでしょうか?」その問いに答えることが当チームの最終目標です。 快い経験や不快な経験は、脳に対して、いつその経験が記憶され、そして思い出されるべきであるのかを伝え、記憶の貯蔵が生じる強力なきっかけを作ります。その際、快・不快に関する体験は記憶の形成をもたらす脳内変化を引き起こす、「神経教師信号(teaching signal)回路」を活性化させるのです。感覚や運動に関する神経回路に比べて、嫌悪的経験が神経教師信号へと変換される脳内回路およびそのメカニズムについては、現在のところ全く研究が進んでいません。
私たちは連合学習とその記憶の神経回路メカニズム一般に関心がありますが、特に嫌悪的経験が行動的恐怖条件づけを引き起こす神経プロセスについて検討することで、教師信号の研究に焦点を当てています。そのため、我々は哺乳類における嫌悪的記憶を行動レベルで研究するのに最適なモデルであり、よって嫌悪的な教師信号回路とそのメカニズムについて調べるための理想的なシステムである恐怖条件づけを行動課題として用います。当研究チームでは、教師信号回路を直接操作するための最先端のオプトジェネティクス(光遺伝学)法、そして学習中に回路内のニューロンによって行われる情報処理計算について調べるためのin vivo (生体内)電気生理学的手法を含む複合的アプローチを用います。
私たちの研究目標は、嫌悪的記憶の形成をもたらす神経回路、回路を形成する各部位の神経細胞による情報処理の計算論、神経回路活動とその計算論の関係性、そして嫌悪的経験が記憶貯蔵領域における神経可塑性をもたらすメカニズムを明らかにすることです。このような研究を通して、私たちは適応的行動に関与する神経回路機能の一般原理、そして神経における情報コードや可塑性を明らかにすることを目指し、その成果を不安障害や慢性疼痛症に対する新しい治療法の提案に繋げていきたいと考えています。
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は柳原大教授)。
トーマス・マックヒュー 客員教授 駒場理研連携大学院(行動生理学)

https://cbs.riken.jp/jp/faculty/t.mchugh/
thomas.mchugh@riken.jp
理化学研究所 脳科学総合研究センター
詳細
私達の脳は、日々経験する出来事から様々な情報を記憶として保存しています(記銘)。記銘された記憶は、多様な条件下で呼び出すことが可能です(想起)。例えば、過去に訪れたことのある場所について思い出すのに、わざわざその場所まで再度訪れる必要はありません(同じ入力を必要としません)。また、数十年前に経験した古いエピソードを詳しく思い出すこともできます。さらには、保存された記憶どうしの関連性から、知識として情報に構造を持たせることすらやってのけます。脳は、高度な情報処理装置であると同時に、極めて優秀な記憶装置であるとも言えるでしょう。
ところが面白いことに、脳は動物の体内で最もダイナミックな組織でもあります。中でも記憶に重要な部位である海馬は、神経細胞どうしのつなぎ目(シナプス)が高い可塑性を示します。記憶の記銘/想起には、関わった神経細胞におけるシナプスの可塑的変化を伴います。その構造に高い不安定性を内包しているシステムが、安定に記憶を保存し続け、しかるべきタイミングで想起することができるのは何故なのでしょうか?
私達の研究室では、マウスを用いて海馬やその関連脳領域が記憶を記銘/想起するメカニズムの研究を行っています。この問題に挑戦するため、以下のような多分野横断的なアプローチをとっています。
- 遺伝学:生物学的側面が強いアプローチです。単に任意の遺伝子をノックアウトするだけでなく、光遺伝学や化学遺伝学の登場により、高い時間精度で任意の神経細胞の活動をコントロールすることができるようになりました。また、その操作対象を「海馬内外の任意の回路」や「任意の時間枠において記憶の記銘に関わった細胞群」「任意の細胞群へと入出力する細胞群」といった条件で指定することが可能です。
- 生理学:物理、情報学的側面の強いアプローチです。自由行動下マウスにおいて神経細胞の活動を記録/観察します。マウス脳内へと電極を埋め込んで神経細胞一つ一つの電気的活動を記録する方法や、頭部装着型ミニスコープを通してカルシウム活動を観察する方法など、複数の方法を駆使しています。
- 動物行動学:心理学的側面の強いアプローチです。記憶は直接観察することができません。そこでマウスに課題を遂行させて、その行動の変化から記憶を評価します。
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は柳原大教授)。
宮本 健太郎 客員准教授 駒場理研連携大学院(記憶神経回路)

https://www.kentaromiyamoto-lab.com/
https://cbs.riken.jp/en/faculty/k.miyamoto/
kentaro.miyamoto.wg@riken.jp
理化学研究所 脳科学総合研究センター
詳細
わたしたちは日常生活において、たえず変化する環境と人間関係のなかで、未来の行動のための意思決定を繰り返しています。その意思決定をより良いものにするために、自身の思考に対する意識的な評価(内省・メタ認知)と、他者の意図の理解(社会的メタ認知)が欠かせません。当チームは、わたしたちの「自己意識」と「他者への想像力」がどのようにして生み出されるかを、人間やマカクサルを含む霊長類の行動や脳の活動を調べることによって研究しています。
※理化学研究所に所属の客員教員の指導を希望する方へ
本系の常勤指導教員の監督のもと、理化学研究所で研究指導を受けることができます(学内連絡先は柳原大教授)。
認知行動科学グループ
本吉 勇 教授(認知心理学・心理物理学)

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/motoyoshilab/
motoyosilab@gmail.com
Tel: 03-5465-7054
3号館103B
詳細
本研究室では,主に心理実験や脳波解析を通して,人間が外界の事物を目で見て認識し判断をくだす情報処理の原理を解明することを目指しています.また,その原理を応用して他の感覚や社会的認知を説明する研究も進めています.
最近特に集中して進めているのは以下のようなトピックです.
- 映像や音の豊かな質感・クオリアが生まれる仕組み (意識の科学)
- 映像や音の美醜を感じる仕組み (感性の科学)
- 映像や音から現実世界の物体・光景・材質を認知する仕組み (視聴覚認知の基礎)
- 繰り返し見る・聞くことにより深い認識をする仕組み (注意と意思決定)
- 脳波から知覚内容を読みとり映像や音を合成する技術 (脳情報解読)
- 絵画の情報処理モデルとそれに基づく西洋美術史の解析 (計算論的神経美学)
奇妙な映像や音が好きで,かつ「このリアルな世界を脳がどのように作り出すのか」といった哲学的な疑問を抱いている人にとっては実験そのものを楽しみながら研究することができる分野です.
博士課程への進学を前提とする学生を格別に歓迎・厚遇しています.
詳しい研究内容はホームページで紹介しています.
四本 裕子 教授(知覚心理学・脳科学)

https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/yotsumotolab/home
cyuko@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6114
2号館105A
詳細
さまざまな情報が脳内で処理され統合されて「知覚・意識」となる過程を、行動実験や脳活動の測定を通して明らかにすることを目指します。自分自身が日常的に知覚し感じていることが、研究内容に直結していることが、この学問の面白さです。現在進行中のプロジェクトは以下の4つです。
- 視覚や聴覚と異なり、「時間」の知覚には、特定の感覚器がありません。時間知覚がどのような神経活動に基づいて実現されるのか、行動実験、シミュレーション、脳機能計測などを用いて検証しています。
- 局所的な機能に限らない、ネットワークとしての脳のはたらきを検証しています。例えば、頭蓋から脳の一部への電気刺激が、刺激された脳部位とそれ以外の脳部位のコネクティビティに及ぼす効果を測定する実験をおこなっています。
- 視覚や聴覚の知覚が、それまでの経験にいかに影響を受けるかを、ベイズ理論を用いて検証しています。
- 複数の知覚情報を同時に処理する際、それらの情報は並列的に処理された後、統合されます。その並列処理の速度比較や、処理間の相互作用、統合のタイミング等を検証する研究をおこなっています。
香田 啓貴 准教授(認知生物学・人類進化論)

https://researchmap.jp/koda_hiroki
hkoda@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel: 03-5454-6301
3号館215
詳細
私の研究室では,ヒトを含む動物の行動の心理学・認知科学的な行動発現の原理(行動発現の神経基盤やその生物学的基盤などメカニズム)を実験的に探究するとともに,その行動が個体同士のコミュニケーションなどの社会的な相互作用をする文脈においてどのような役割を持ち,そしてどのように進化してきたかを考察する生態学的な側面といった,原理と進化の両面を生物学的に研究することを目指します.(おそらく)ヒトのみに確認できる言語や意識といった複雑な心理現象は,進化の連続性の上で成立したと考え,その生物学的な由来をヒト以外の動物を調べることで,実証的に議論します.また,東南アジアをはじめとして熱帯雨林で生息する霊長類の社会を行動生態学的視点で研究することで,ヒトの高度に発達した社会の生態学的基盤を考察し,人類社会の由来を生物学的に探究します.どのような動物にも,こうした人類進化の手がかりが潜んでいることを前提に,新しい研究を学生諸君とともに構築します.昨年度の主なテーマを列挙します.
- ヒトの発話と動物の発声の比較行動学・比較心理学的研究
- 動物の描画運動における視覚的表象の成立とその進化的考察
- 霊長類社会集団の社会行動・コミュニケーションの完全記録と機械学習による予測
- 東南アジア産霊長類の社会とコミュニケーションの長期調査と広域観測調査
石垣 琢麿 教授 兼担教員(臨床心理学・精神医学)

https://bio.c.u-tokyo.ac.jp/lab_ishigaki.html
cisigaki@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Tel/Fax: 03-5454-4438
1号館161C
詳細
◆研究の対象・理論・技法
人の精神機能を生物-心理-社会という3つの構成要因から捉え、神経症・パーソナリティ障害・精神病などに分類されてきた心理状態を、認知行動理論に基づいて再検討しています。特に専門としているのは、統合失調症の症状に関する心理学的研究と、心理学的介入法の開発で、臨床現場での実践を重視しています。臨床技法としては認知療法・認知行動療法を主に採用していますが、クライアントに応じて柔軟に対応するよう心がけています。
◆現在進行中のプロジェクト
- メタ認知トレーニング(MCT)日本語版の開発と実践
- 精神疾患に関するスティグマ認知と有効な心理教育技法の開発
- 統合失調症の認知障害の心理学的研究
- 中高生における妄想的観念の発達的検討
- 大学生の妄想的観念と他の心理学的要因との関連についての実証的研究
- 統合失調症の症状に対する認知行動療法の実証的検討
- 抑うつ・不安に関する心理教育プログラムの開発と臨床実践
※大学院生の募集は行っていません。
