教員・研究室 LABORATORIES
研究室紹介
- 佐々木 一茂准教授
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9号館302B
Tel. 03-5454-6882
E-mail: sasaki@idaten.c.u-tokyo.ac.jp |
- 研究内容
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筋肉(骨格筋)は、身体運動の発現において必須の組織であるだけでなく、体熱産生や生理活性物質の分泌など、生命活動において様々に重要な役割を担っています。当研究室では、特に人間(ヒト)を対象とした骨格筋の機能的な評価を基本として、その規定因子や影響因子、トレーニング効果について研究することで、スポーツの競技力向上、高齢者のQOL向上、障害者の生活支援などに直接・間接に貢献することを目指しています。また、これらの目標を達成する助けとなる新しい人体特性評価法・指標の開発や各種ツール(健康器具、ウェアラブルセンサ、スポーツウェアなど)の有効性検証にも取り組んでいます。現在の主要な研究テーマは以下の通りです。
1. 骨格筋の「質」に関する研究:スポーツの現場で「筋肉の質が良い」などと言うことがありますが、質は量のように明確に評価することが難しく、また一口に質と言っても様々な観点があります。質をどのように評価すればよいか、質は変えることができるのか、質の良さは筋機能や運動パフォーマンスさらには健康とどう関係するのか、などの疑問に答えるべく筋電気刺激や磁気刺激、表面筋電図、超音波せん断波エラストグラフィを駆使して研究を進めています。
2. 運動・トレーニングのシステミック効果:運動・トレーニングは体力向上や減量を目的として行われることが多いですが、それ以外にも全身性に様々な副次的効果(システミック効果)をもたらします。これを明らかにすることで、運動の意義をこれまで以上に幅広い層にアピールできる可能性があります。そこで、現在は特に運動離れが進んでいるとされる若い女性を対象に、運動・トレーニングによる体型、ボディイメージ(自己体型に対する知覚の歪みや不満足度)、自律神経活動、睡眠の質などの変化を調べています。
3. 人体の生理・心理的特性を評価する新しい方法や指標の開発:生命とは極めて複雑かつ精巧なシステムであり、その特性を客観的に評価することは容易ではありません。また、最先端の研究現場では必然的に測定方法や測定器具が標準化されていない課題に多く遭遇します。そこで、器具を自作したり、既存の測定方法の改良や転用をしたりしながら、人体の生理・心理的特性を評価する新しい方法・指標の開発に取り組んでいます。これまでに、骨格筋の無負荷短縮速度をヒト生体内で測定する方法、脚の浮腫(むくみ)の多面的な評価系、女性のボディイメージを数値化するコンピュータプログラムなどを開発してきました。 |