教員・研究室 LABORATORIES
研究室紹介
- 矢島 潤一郎教授
|
16号館630B
Tel. 03-5454-6745
E-mail: yajima@bio.c.u-tokyo.ac.jp |
- 研究内容
|
生命の基本単位である細胞の分裂には、モータータンパク質や細胞骨格タンパク質が3次元空間で協同的に働くことが必要です。これらのナノマシーンにより3次元空間に構築された分子ネットワークは、その構造や状態をダイナミックに変えながら、分裂装置として巧みに機能します。当研究室では、生体から単離・精製した生体分子の挙動を、最先端の光学顕微鏡により3次元空間で観察し、同時に、生体分子間の相互作用に起因する力を計測します。さらに、構成的アプローチによってタンパク質を基盤とした分裂可能な人工細胞を創製し、細胞型生命システムの再構成を行います。「みて・ふれて・つくる」ことにより、細胞分裂を進行させる分子モーターの動作原理や、細胞骨格タンパク質などのソフトマター分子によって制御される分裂・運動装置の仕組みを明らかにし、生命システムがもつ普遍的特徴を探求します。
研究テーマ;1分子のタンパク質からタンパク質分子集団・細胞個体に及ぶさまざまな階層で「生命とは何か?」を考えます。
●ナノマシーン・キネシンの作動機構の解明 (1分子レベル)
細胞が分裂する際、複数種の分子モータータンパク質がそれぞれ特有の役割を果たしています。これらのタンパク質は、ATPなどの化学エネルギーを仕事に変換する、進化の過程で生じた巧妙な力発生素子とみることができます。この素子1分子および集団での挙動や力学特性を物理化学的な側面から明らかにしています。
●構成的アプローチによる分裂可能な人工細胞の創製 (分子集団レベル)
細胞が分裂するのに必要最低限の構成分子を人工膜内に封入し、人工細胞が分裂するのに必要な因子や分子ネットワークを検証します。動的非平衡な集団運動を行うソフトマター分子から人工細胞をつくることで、生物の普遍的特徴の抽出を目指します。
●細胞分裂装置(紡錘体・収縮環)の制御ネットワークの研究 (分子システムレベル)
精製した生体分子から自律的に紡錘体様構造や収縮環様構造を再構成し、その構造体の力学特性システムを生体分子の位置や力の測定が可能な光学顕微技術を用いて明らかにします。こうした生物物理的手法により、分裂の精巧な仕掛けを制御する実体を突き止め、普遍的な特徴を持つ生命システムの解明を目指して研究を進めます。
●行動パターンの遺伝の研究 (細胞・個体レベル)
運動性単細胞の一生涯の行動を顕微鏡下で記録して、親子関係にある個体の遺伝的行動特徴の解析・抽出を目指しています。 |