セミナー・講演会 SEMINARS
セミナーのお知らせ
第221回生命環境科学系セミナー
- 日時: 2024年12月5日(木)15:00〜17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館107会議室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:吉本 敬太郎)
- 共催: 科研費・学変B “アプタマー生物学の創成”、“精密高分子による次世代医薬開拓”
講演1: 塚越 かおり 助教 (東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門)
グアニン四重鎖構造を形成するDNAアプタマーの改良・開発戦略
- 要旨: 核酸リガンドであるDNAアプタマーは完全化学合成で入手可能であることや、蛍光やビオチンなどの活性基修飾の容易さから、抗体とは異なる原理のバイオセンサー開発に資するリガンドとして注目されている。DNAアプタマーが形成する主要な立体構造に、グアニン四重鎖構造(G4構造)がある。G4構造とは、4つのグアニン塩基のフーグスティーン塩基対によりできたGカルテット平面がスタッキングすることで形成する立体構造である。G4構造はテロメアやプロモーター上にも存在し、周辺の分子環境に応じてその核酸フォールディングが容易に変わることが知られている。
演者は、αシヌクレイン・アミロイドβオリゴマー結合アプタマー(Anal. Chem. 2012; Chem. Commun. 2016)や、ミオグロビン結合アプタマー(Nucleic Acid Res. 2021)の開発を通して、G4構造を骨格とするDNAアプタマーを複数獲得してきた。得られたG4構造形成アプタマーは、唯一無二の特性を発揮する一方で、フォールディングの変化に応じて結合能・機能が変化しうることを見出している。そこで、円二色性スペクトル解析や低分子リガンドを駆使した分析で、アプタマーとしての機能を高めるためにG4構造を制御するという観点で、アプタマーの改良研究を進めてきた。本セミナーでは、これまでに実施してきたG4構造形成アプタマーの改良・開発研究の成果についてお話ししたい。
講演2: 坂本 泰一 教授 (千葉工業大学 先進工学部 生命科学科)
構造生物学とアプタマーの作用機序
- 要旨: 近年、様々な創薬基盤技術を用いた研究開発によって、様々な創薬モダリティが期待されている。その中でも、抗体医薬品に続く次世代の分子標的薬として期待されているものとして、核酸医薬品がある。核酸医薬品には、mRNAに作用するもの、タンパク質に作用するものなど様々なものがあるが、タンパク質に作用するものはアプタマーとよばれている。アプタマーは、SELEX法とよばれる進化分子工学的な手法を用いてつくられた後、化学修飾などにより加工されるが、研究者の経験に基づく試行錯誤が行われている。
現在のところ、アプタマーを自由自在に設計することはできないが、アプタマーの構造情報や物性は、将来。それらの加工や設計のための重要な情報となると思われる。本セミナーでは、核酸の基本的な性質や構造から、アプタマーの立体構造や物理化学的特性について紹介したい。
第220回生命環境科学系セミナー
Prof. Maxim V. Berezovski (University of Ottawa, Canada)
Cancer Diagnostics and Therapy with DNA Aptamer Nanotechnology
- 日時: 2024年11月22日(金)14:00〜15:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館107会議室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:吉本 敬太郎)
- 共催: 科研費・学変B “精密高分子による次世代医薬開拓”
- 要旨: In the presentation, Dr. Berezovski shows how cancer-specific DNA aptamers can be developed and applied for tumor localization, margin assessment, circulating tumor cell detection, and adjuvant treatment of cancer. He presents several new aptamer nanotechnologies like Aptamer-assisted Fluorescence-Guided Surgery (AptaFGS) and Aptamer-guided MagnetoDynamic cell disruption (AptaMD). In ApaFGS, a tumor-specific aptamer spray is formulated and applied for glioblastoma neurosurgery. The procedure does not require systematic administration of the drug into the circulatory system and involves a few simple steps with no waiting time after the spray application. These bring significant help for a surgeon who needs to distinguish tumors and healthy tissues during surgery. In AptaMD, aptamer-modified gold-coated magnetic nanoparticles are exposed to an alternating magnetic field to destroy tumor sites selectively. The magnetic field of a low frequency causes the nanoparticles to oscillate and kill cancer cells without additional heating of the tumor and saving adjacent healthy cells and tissues. Berezovski’s study demonstrates the power of synthetic affinity ligands targeting tumors and supplies new opportunities for intraoperative tumor imaging and postoperative eradication of cancer cells. The presentation is to the broad audience in chemical biology, cancer biology, pathology and medicine.
Maxim V. Berezovski is a Full Professor of Bioanalytical Chemistry at the University of Ottawa in Canada. He received an MSc in Biochemistry from Novosibirsk State University (Russia, 1994) and a Ph.D. from York University (Canada, 2005) and did an NSERC postdoctoral fellowship at the University of Toronto (Canada). Before going to academia, he worked in the pharmaceutical industry as CEO for six years. Now, Maxim leads the Laboratory of Molecular Diagnostics and supervises the Proteomic Mass Spectrometry Core Facility at uOttawa. His research focuses on bioanalytical chemistry, biological mass spectrometry, and molecular diagnostics. He develops analytical methods for studying biomolecular interactions with capillary electrophoresis and mass spectrometry, discovers protein biomarkers of extracellular vesicles, and makes aptamer-based sensors for tumour cells, viruses, and exosomes. Prof. Berezovski published over 113 articles, 5 book chapters, and 3 patents (h-index 44). For many years, he has served as a Section Editor for Molecular Therapy-Nucleic Acids (the American Society of Gene & Cell Therapy), Subject Editor for Analytical and Biomolecular Chemistry at FACETS (Canadian Publishing Group) and Editor for Cancers (MDPI) and Scientific Reports (Nature Research Journal).
セミナーの記録
第219回生命環境科学系セミナー
Professor Matin Clayton(Durham University)
Interpersonal Entrainment in Music Performance
- 日時: 2024年10月4日(金)16:00〜17:30
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 12号館1224教室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:工藤和俊・筒井和詩)
- 要旨: The scientific concept of entrainment has proved a useful tool to researchers seeking to understand how musicians, dancers and other participants in musical events get and remain ‘in time’ with one another. Just as mechanical systems can synchronise with each other if connected by a coupling force, biological systems can become synchronised through the exchange of sensory information, and in this view human beings use auditory, visual and other modalities to coordinate their musical actions.
Temporal coordination between individuals can be studied quantitatively and different events, ensembles or musical genres compared, as in the Interpersonal Entrainment in Music Performance (IEMP) project. In IEMP we distinguished two aspects of entrainment: synchronisation, which we studied through statistical analysis of onset timing information in instrumental music, and coordination, which we explored through analysis of body movement. The former approach allows synchronisation to be compared on a like for like basis between very different musical genres (e.g. Afrogenic drum ensembles, Indian instrumental duos, Tunisian stambeli groups), and allows us to speculate on the factors which may influence the precision of alignment between sound events. We have more recently extended this approach to Japanese gagaku performance. The latter approach draws attention to another dimension of interpersonal coordination, taking place over longer time-spans, which includes both deliberate and unconscious processes through which individuals manage the course of performances.
In this presentation I will outline some of the methods used in these studies of real-life musical performances and results obtained, as well as reflecting on the wider theoretical context and implications.
- 問い合わせ先:筒井和詩(工藤研:内線46868 tsutsui@idaten.c.u-tokyo.ac.jp)
第218回生命環境科学系セミナー
深澤 歩 博士(テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター)
末梢感覚神経の機械受容における TRPV4 の役割と機能変容
- 日時: 2024年8月30日(金)16:00〜17:30
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:寺田 新)
- 要旨: 身体運動時における自律神経を介した循環調節機構として、末梢感覚神経は重要な役割を担う。とりわけ筋機械受容器反射は、筋細径求心神経の軸索末端に発現する機械受容チャネルが筋収縮に伴う物理的な歪みを感知し、交感神経を賦活することにより、血圧を上昇させる反射機構である。この反射機構は、活動筋への酸素需要を迅速に満たすために重要な役割を担う一方で、糖尿病や心臓血管疾患等ではその応答が余剰になることが知られている。過剰な循環応答は心血管イベントの発生リスクを高めるため、筋機械受容器反射を制御する機械チャネルを同定し、病態による変容機序を明らかにすることは、学術的のみならず臨床的な意義が大きい。しかしながら、現在に至るまで、機械受容チャネルの同定には至っていない。そこで、我々研究グループは、骨・筋肉・神経細胞などに発現し、温度刺激や機械刺激等で活性化される TRPV4チャネルに着目し、筋機械受容器反射への関与の是非を in vitro(全細胞パッチクランプ法)、 ex vivo(神経筋標本単一神経記録)、in vivo(無麻酔除脳モデル)を用いて網羅的に検討を行った(Fukazawa et al., J Physiol,2023)。さらに、各種病態で増減することが知られているタンパク質(e.g., インスリン、アミロイド β)に対する TRPV4チャネルの機械感受性の変容について検討を行っている。本セミナーでは、未発表データを含む現在進行中のプロジェクトを中心に紹介したい。
第217回生命環境科学系セミナー
中村 和昭 博士(成育医療研究センター研究所)
培養ヒト肝細胞の機能維持と生体模倣
- 日時: 2024年5月21日(火)15:30~17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:坪井 貴司 )
- 要旨: これまでの細胞培養は主に培養ディッシュ上での平面培養が主流でしたが、培養条件下で生体により近い機能あるいは形態を求めて、三次元培養や共培養などの培養方法が探求され、最近では生体模倣システム(MPS)のような、微小な空間の中で生体に近い環境を再構築することも試みられています。このような培養技術の流れは、その黎明期においては生体内の細胞を取り出して観察したいという要求であったものが、現在ではin vitroでin vivoを再現したいという要求へと変遷してきていることを示しています。
本セミナーでは、私たちの研究テーマの一つである肝細胞の培養系についてご紹介しながら、in vitroでの細胞培養について、考察したいと思います。
体内での薬物代謝は主に肝細胞の薬物代謝機能に依存しています。薬物代謝は種差が大きく、動物実験での薬物動態・毒性検討の結果がヒトに外挿できない場合が多いため、ヒトを対象とした検討が欠かせません。従って、ヒト初代培養肝細胞は薬物代謝・毒性研究などのin vivo評価系において必須のツールとなっています。しかし、ヒト初代培養肝細胞は培養により肝機能が急速に減衰してしまいます。また初代培養肝細胞はロット間差(個体差)が大きく、しばしば結果が安定しません。一般的にヒト肝細胞株の肝機能は著しく低く、生体反応を反映しているかの判断には留意する必要があります。
私たちはこれまで培養肝細胞の機能維持・亢進を目指して研究を行ってきました。本セミナーでは、細胞の播種密度や培養基材のコーティングが細胞の機能に与える影響などについて研究成果を紹介します。
第216回生命環境科学系セミナー
四方 明格 博士(自然科学研究機構 基礎生物学研究所)
植物の外部環境に応答した細胞極性の変化
- 日時: 2024年5月8日(水)15:30~17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:末次 憲之 )
- 要旨: 地上に固着して生育する陸上植物は、光や温度、風雨などの刻々と変化する周囲の環境に合わせて自らの成長を調節している。たとえば光は方向性をもつため、茎や葉は光合成促進のために光の来る方向に向かって成長する。光と同様に重力も植物の成長に影響を与える環境要因である。重力は地球の中心に向かうほぼ一定の力であり、植物の地上部は天に向かって成長し、地下部(根)は重力方向に向かって成長する性質をもつ。重力の感知は沈降性のオルガネラ(アミロプラストと呼ばれる)を有する特殊な細胞群で行われる。細胞内におけるアミロプラストの沈降を何らかの仕組みにより認識することで、植物は重力方向を感知すると考えられてきた。一方で動物では、重力の感知は神経系と接続した耳石器と呼ばれる器官において行われる。耳石器内(細胞外)には炭酸カルシウムの結晶が存在し、それが重力方向に沈降している。その動きを耳石器内に多数存在する有毛細胞が機械刺激として受容し、その信号を神経細胞へと伝達することで重力の感知が行われる。このように重力方向の感知に沈降性の物体を利用するという点で植物と動物は共通性をもつが、それぞれの物体が細胞の内と外に位置するという大きな違いがある。細胞内でのアミロプラストの沈降が如何にして認識されているかが、ここ100年近く謎であった。
私たちはこれまで、重力情報伝達に働くタンパク質LZYに着目し、その機能解析をおこなってきた。そして最近、LZYタンパク質は重力方向に沈降したアミロプラストからその近傍に存在する細胞膜へと局在が移行することを証明した(Nishimura, Mori, Shikata et al., Science 2023)。このことは、細胞内におけるアミロプラストの位置情報が、細胞膜上のLZYタンパク質の偏った(極性)局在に変換されることを示しており、この極性に従って植物ホルモン・オーキシンの細胞外への輸送方向が規定されると示唆される。本発表ではこの発見に加えて、植物の成長を人為的に操作する取り組み等についても紹介したい。
第215回生命環境科学系セミナー
井上 晋一郎 博士(埼玉大学大学院理工学研究科)
「植物の光に対する応答〜気孔の開口〜」
- 日時: 2024年5月1日(水)15:30~17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:末次 憲之 )
- 要旨: 植物は太陽の光をエネルギー源として利用し、光合成を行って生命活動を営んでいる。そのため光は植物にとって最も重要な環境要因の一つであり、植物はいくつかの光受容体を利用して様々な光応答を誘導することで、刻々と変動する周囲の光環境に光合成と成長を最適化させて生きている。太陽光に含まれる青色光は、光受容体フォトトロピンによって受容され、これが光屈性、葉緑体光定位運動、葉の運動、気孔開口等の光応答を誘導する。我々はこれまでに、フォトトロピンの活性化メカニズムや青色光応答の生理学的意味について研究を進めてきた。さらに近年では、フォトトロピンが誘導する青色光応答の中でも「気孔開口」に対象をしぼり、運動メカニズムや生理学的意味を明らかにするために研究を進めてきた。
植物体表に多数存在する気孔は、青色光に応答して開口し、光合成基質であるCO 2 の取込みを促進して植物の成長に貢献する。気孔を構成する孔辺細胞において、フォトトロピンはカリウムチャネルを活性化して細胞内の浸透圧を高め、膨圧を上昇させることで気孔を開口させると考えられている。ところが、この開口メカニズムを完全に説明する構成因子は出揃っておらず、気孔開口の分子機構は未だ不明な点が多く残されている。我々は、気孔開口を仲介する新規シグナル伝達構成因子を明らかにするため、フォトトロピンと直接相互作用するプロテインキナーゼの生化学スクリーニングや、気孔開口が損なわれた変異株の遺伝学スクリーニングを行ってきた。その結果、カリウムチャネルを活性化するプロテインキナーゼや新たなイオン輸送体など、気孔開口メカニズムの理解を前進させる新たな構成因子を見出した。本セミナーでは、これらの研究成果を発表するとともに、我々が考える新たな気孔開口メカニズムについて紹介したい。
第214回生命環境科学系セミナー
下薗 哲 博士(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
蛍光タンパク質性バイオセンサー
- 日時: 2024年4月23日(火)15:30~17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:坪井 貴司 )
- 要旨: 本セミナーでは、講演者らが開発した光安定性の高い蛍光タンパク質、StayGoldを中心に、蛍光タンパク質、蛍光タンパク質を利用したバイオセンサーについてお話する。StayGoldはタマクラゲからクローニング・開発された緑色蛍光タンパク質である[1]。StayGoldは非常に高い光安定性(EGFPの約20倍)と、高い蛍光輝度(mNeonGreenと同程度)を併せ持つ新世代の蛍光タンパク質である。一方で、StayGoldは、2量体を形成する性質が残っており、機能タンパク質や生体膜の可視化は困難であった。今回、我々は2量体StayGoldの欠点を2つのアプローチにより解決した[2]。1つ目は2分子のStayGoldを融合することによるtdStayGold (td: tandem dimer)の作製である。光安定性が高く明るいtdStayGold 変異体を複数、開発することに成功した。2つ目は、StayGoldを単量体化するアプローチである。構造情報を元に2量体の界面に複数のアミノ酸変異を導入することにより、単量体の開発を目指した。数多くの変異の組み合わせを検討することにより、StayGoldと同等の光安定性および蛍光輝度を示す単量体StayGold(mStayGold)を開発した。mStayGoldを用いてミトコンドリアの内膜の動態を高時空間分解能において長時間にわたり追跡することに成功した。
文献
[1] Hirano, M. et al., Nat. Biotechnol. 40: 1132–1142 (2022).
[2] Ando, R. et al., Nat. Methods (2023). In press
第213回生命環境科学系セミナー
Prof. Pascal Mamassian(CNRS and Ecole Normale Supérieure, Paris, France)
コンフィデンスの科学 : 人間は自己の決定の正しさをどのように知覚するのか?
Distinguishing serial from parallel confidence processing
- 日時: 2024年4月4日(木)15:00~17:00
- 場所: 駒場Ⅰキャンパス 16号館126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:本吉勇)
- 要旨: Visual confidence refers to our ability to predict the correctness of
our perceptual decisions. Knowing the limits of this ability, both in
terms of biases (e.g. overconfidence) and sensitivity (e.g.
blindsight), is clearly important to approach a full picture of
perceptual decision making. In recent years, we have explored visual
confidence using a paradigm called confidence forced-choice. In this
paradigm, observers have to choose which of two perceptual decisions
is more likely to be correct. I will review some behavioural results
obtained with the confidence forced-choice paradigm, together with a
theoretical model based on signal detection theory. In particular, I
will argue that the confidence forced-choice paradigm offers the
possibility to distinguish serial from parallel confidence processing.
Finally, I will present an extension of the theoretical model for
experiments using confidence ratings, and discuss the conditions under
which serial and parallel confidence processing can be distiguished
using this latter paradigm.
第211回生命環境科学系セミナー
太田 啓示 先生(ロンドン大学クイーン・メアリー校 心理学科 博士研究員)
人間の意志と自律的行動
- 日時: 2023年12月20日(水)10:00~11:30
- 場所: 駒場キャンパス1号館1階118教室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:工藤和俊・宮田紘平)
- 要旨: 人は、環境的な刺激に支配されることなく、自分の意志により目標志向的な行動を生み出すことができる。自律性(Autonomy)とは、内発的に開始される制約のない行動を意味する。人間の意志(Volition)と自律性は、人の心の機能の中核をなすものであり、現代の社会生活において不可欠である。しかしながら、実験環境の設定に基づき、外的なトリガーによって行動を誘発してしまうと、自律的・内発的な行為を生みだすために必要な認知神経的基盤を検討することは難しくなる。本講演では、新たな実験パラダイムを構築し、外的なトリガーと固定的・習慣的な行動という2つの制約から逃れ、行動を自由に選択する際の認知的・計算神経的過程を検討する。例えば、じゃんけんやサッカーのペナルティキックなど多くの対戦課題において、我々は、無作為かつ新たな行為を内発的に生み出そうとしている。本研究では、適応的自律性(Adaptive autonomy)という新しい理論的構成要素を提案し、新奇な行動を迫られたときに、人がどの程度、固定的・習慣的な行動パターンから自由になることができるかを測定する。その上で、人が持つ適応的自律性の能力とその計算神経的過程を紹介する。本講演では、人間の意志や自律性という測定困難な心理概念の一端として、固定観念を回避しつつも環境と協調するような、内発的で柔軟な行動選択の適応過程を提案する。
第210回生命環境科学系セミナー
三戸 芳子 先生(マウントサイナイ医科大学遺伝ゲノム科)
米国での研究留学から考えるコミュニケーションとこれからのキャリアの組み立て方
- 日時: 2023年10月24日(火)10:30~
- 場所: 駒場キャンパス3号館1階113教室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:竹下大介)
- 要旨(世話人の視点から):三戸先生は、本学卒業後米国で博士号を取得、その後も米国で活躍されています。ご専門は遺伝子診断とゲノム科学です。今回のセミナーでは、前半に遺伝子検査が実際に診断や治療の選択に有効に利用されている例や、ゲノム医療の話題のトピックをお話し頂きます。後半には、ご自身の研究や学生を指導された経験をもとに、コミュニケーションやキャリアパスについて日本と米国での違いを中心にお話頂きます。また、質疑の時間を多く設ける予定です。学会発表等で英語が話せなくて困っている人、留学に興味がある人、複合領域的なキャリアパスに興味がある人、などなど多くの方のご参加をお待ちしております。
第209回生命環境科学系セミナー
三嶋将紀 准教授 Masanori Mishima
(Centre for Mechanochemical Cell Biology/Division of Biomedical Sciences
Warwick Medical School, University of Warwick, UK)
力学的機構による細胞質分裂シグナル
- 日時: 2023年9月7日(木)16:00〜
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階119/129号室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:加納純子)
- 要旨:
細胞分裂において、染色体の分離と細胞質分裂が時間的・空間的に協働することは、ゲノムの安定性に重要である。動物細胞の分裂後期において、分裂装置(紡錘体+星状体)は、染色体分離を駆動すると同時に、細胞表層のアクトミオシンネットワークを制御することで、分裂面を決定する。分裂装置による分裂面決定の機構は、シグナルの正負によって、赤道面における収縮促進 (equatorial stimulation) と極領域における収縮抑制 (polar relaxation) が考えられてきた [1]。Polar stimulation については、分裂細胞の中央に形成される逆平行微小管束に局在する centralspindlin を起点とした Rho GTPase の活性化が、進化的に保存された主要な機構であることが解明されてきた。一方、polar relaxation の機構については不明な点が多く残されている。私たちは、線虫 C. elegans の初期胚において、染色体分離の開始後、星状体微小管とダイニンが、細胞表層収縮の動力源であるミオシンを細胞両極の表層から引き剥がすことを見出した [2]。この結果、両極から赤道面へのアクトミオシンネットワークの流れが誘導され、収縮環の形成、細胞のくびれにつながると考えられた。このいわば直接的力学作用によるシグナル伝達の意義、他のグループによって提唱されている生化学的機構との関係などを議論したい。また、更なる高精度の細胞骨格の動態の観察を目指した、退色しにくい蛍光タンパク StayGold の単量体化の試みについてもふれたい [3]。
1. Mishima, M. (2016) Semin Cell Dev Biol. 53:45-56. Centralspindlin in Rappaport's cleavage signaling. PMID:26964770, doi: 10.1016/j.semcdb.2016.03.006
2. Chapa-y-Lazo et al. (2020) J Cell Biol 219:e201903080. Polar relaxation by dynein-mediated removal of cortical myosin II. PMID: 32497213, doi: 10.1083/jcb.201903080.
3. Ivorra-Molla et al. (preprint) A monomeric StayGold fluorescent protein. doi:10.21203/rs.3.rs-2684100/v1
第208回生命環境科学系セミナー
Professor Peter E. Keller(Center for Music in the Brain, Aarhus University)
Music as Skilled Action and Social Interaction
- 日時: 2023年8月22日(火)11:00〜12:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 9号館1階セミナー室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:工藤和俊・宮田紘平)
- 要旨:
Collective music making showcases the remarkable human capacity for precise yet flexible interpersonal coordination. I will present the results of studies investigating the behavioural and brain bases of this ability using controlled laboratory paradigms and naturalistic musical tasks, as well as related computational modelling, neuroimaging, and brain stimulation approaches. Findings are informative about links between basic sensory-motor mechanisms that enable co-performers to anticipate and adapt to each other’s actions, aspects of personality including empathy, and social-cognitive processes that regulate the balance between psychological representations of ‘self’ and ‘other’.
Reference
Keller, P.E., Novembre, G., & Hove, M.J. (2014). Rhythm in joint action: Psychological and neurophysiological mechanisms for real-time interpersonal coordination. Philosophical Transactions of the Royal Society B, 369, 20130394.
D’Ausilio, A., Novembre, G., Fadiga, L., & Keller, P.E. (2015). What can music tell us about social interaction? Trends in Cognitive Sciences, 19, 111–114.
Lenc, T., Keller, P.E., Varlet, M., & Nozaradan, S. (2018). Neural tracking of the musical beat is enhanced by low-frequency sounds. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115, 8221-8226.
Fiveash, A., Ferreri, L., Bouwer, F. L., Kösem, A., Moghimi, S., Ravignani, A., Keller, P. E., & Tillmann, B. (2023). Can rhythm-mediated reward boost learning, memory, and social connection? Perspectives for future research. Neuroscience and Biobehavioral Reviews, 149, 105153.
Foster Vander Elst, O., Foster, N. H. D., Vuust, P., Keller, P. E., & Kringelbach, M. L. (2023). The neuroscience of dance: A conceptual framework and systematic review. Neuroscience and Biobehavioral Reviews, 105197.
Harry, B. B., Margulies, D. S., Falkiewicz, M., & Keller, P. E. (2023). Brain networks for temporal adaptation, anticipation, and sensory-motor integration in rhythmic human behavior. Neuropsychologia, 183, 108524.
第207回生命環境科学系セミナー
秋吉文悟 先生(Senior Research Fellow, Wellcome Centre for Cell Biology, University of Edinburgh)
トリパノソーマのもつ型破りな動原体タンパク質の発見とその最新研究
- 日時: 2023年7月18日 (火) 16:00-
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階 119/129号室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 加納純子)
- 要旨:
動原体は真核生物のセントロメアDNAに形成される巨大なタンパク質複合体であり,細胞分裂において染色体とスピンドル微小管とを結びつける役割をはたす。数十年におよぶ研究から、すべての真核生物は同じタイプの動原体タンパク質をもつだろうと、これまで広く信じられていた。しかしながら、私たちはキネトプラスト類に属するトリパノソーマ (Trypanosoma brucei)から25個の動原体タンパク質を同定し、これらのタンパク質がキネトプラスト類では保存されているが、ほかの生物の動原体タンパク質との相同性が見られないことを発見した。このことから、キネトプラスト類の動原体はこれまで知られていたものとは異なる可能性が示唆された。トリパノソーマはアフリカ睡眠病などの疾患をひき起こすことから、これらの異なる動原体タンパク質はトリパノソーマに対し特異的な薬剤を開発するうえで有望な標的となる可能性をひめている。またこの発見は、キネトプラスト類が真核生物の進化の歴史のなかで、もっとも早く分岐したのではないかという仮説を支持する。本講演では、トリパノソーマがこれらの型破りな動原体タンパク質を用いどのように染色体分配を行っているかどうか、そして、なぜ型破りな動原体タンパク質持っているのか、などについて解明しようと試みる私たちの最新の研究を紹介したい。
Reference
Akiyoshi B and Gull K (2014) Discovery of unconventional kinetochores in kinetoplastids. Cell 156 (6): 1247–58
Tromer EC, Wemyss TA, Ludzia P, Waller RF, and Akiyoshi B (2021) Repurposing of synaptonemal complex proteins for kinetochores in Kinetoplastida. Open Biology 11: 210049
Ishii M, Ludzia P, Marcianò G, Allen W, Nerusheva OO, Akiyoshi B (2022) Divergent polo boxes in KKT2 bind KKT1 to initiate the kinetochore assembly cascade in Trypanosoma brucei. Molecular Biology of the Cell 33(14):ar143
第206回生命環境科学系セミナー
宮崎雅雄 先生(岩手大学農学部)
「イエネコに特化した脂質代謝機構」
- 日時: 2023年7月12日 (水) 14:00-16:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階 第一会議室 107号室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 坪井貴司)
- 要旨:
「問題です。人間・イヌ・ネコを2つのグループに分類してください」と言われたら、あなたはどのように答えますか? 大部分の方が、人間とイヌ・ネコのグループに分類すると思います。人間は霊長類でイヌとネコは食肉目、外見から判断すれば、人間は二足歩行で肌はつるつる、一方イヌとネコは、四足歩行で毛むくじゃら、鼻は黒くて口は耳元まで裂けている、一目瞭然ですよね。しかしこれは、あくまでも進化系統樹や外見から判断した時の分類です。視点を変えてみると、人間とイヌを同じグループにまとめてネコを分けることもできます。「なんで?」と思われるかもしれませんが、例えば脂質代謝に着目してみると、ネコは他の哺乳類とは大きく変わった特性を持っています。本講演では、私達の研究で明らかになってきたネコに特化した二つの脂質代謝についてご紹介致します。
最初の話題は、コレステロール生合成を抑制するネコに特化した代謝経路についてです。完全肉食動物に進化したネコは、高脂肪食の摂食を続けても高コレステロール血症になりません。この現象に着目してネコの脂質代謝を調べたところ、コレステロール生合成を抑制する新たな脂質代謝経路が見つかりました。興味深いことに、この代謝経路は、コレステロールの原料をネコの尿に特有なにおい物質に変換して排泄していました。つまり健康維持と縄張り確保、異なる二つの機能を持つ脂質代謝経路だったのです。
二つ目の話題は、脂肪腎の話です。ネコの腎臓には、若く健康な個体でも大量の脂肪滴が蓄積しています。一般に正常細胞に脂肪滴が大量に蓄積する状態は、例えば脂肪肝のように異常な状態です。私達は、この脂肪滴の生合成経路を研究する過程で、他の哺乳類には見られない分岐を持つ新たな脂肪酸群を同定し、その尿中機能も明らかにしました。
第205回生命環境科学系セミナー
Dr Sebastian Schornack (Sainsbury Laboratory University of Cambridge, UK. )
“Structurally similar effector proteins of symbiotic and pathogenic fungi”
- 日時: 2023年6月2日 (金) 15:10-16:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 晝間敬)
- 要旨:
Pathogenic fungi use secreted effector proteins to suppress immunity and support their infection, but effectors have also been reported from fungi that engage in nutritional symbioses with plants. Sequence based effector comparisons between pathogens and symbiotic arbuscular mycorrhizal (AM) fungi are hampered by the huge diversity of effector sequences even within closely related microbes. To address whether AM fungi and plant pathogens share sequence-divergent but structurally similar effectors we determined the protein structure models of the secretome of the AM fungus Rhizophagus irregularis and compared them all to known pathogen effectors. We identified secreted proteins with high structural similarity to previously reported Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici dual domain (FOLD) effectors, which occur in low numbers in the genomes of several fungal pathogen genomes. Contrastingly, genes encoding FOLD proteins from R. irregularis and other AM fungal species (MycFOLDs) are found in enlarged and diversified gene families with higher levels of positive selection in their C-terminal domains.
Our structure-model comparison suggests that MycFOLDs are similar to carbohydrate binding motifs. Different MycFOLD genes are expressed during colonisation of different hosts and MycFOLD-17 transcripts accumulate in plant intracellular arbuscules.
The exclusive presence of MycFOLDs across unrelated plant-colonising fungi, their inducible expression, lineage specific sequence diversification, and transcripts in arbuscules support the hypothesis that FOLD proteins act as effectors during plant colonisation of both, symbiotic and pathogenic fungi.
第204回生命環境科学系セミナー
菊池義智 先生 (産業技術総合研究所北海道センター 生物プロセス研究部門)
“共生進化における細菌の”うごき”の役割”
- 日時: 2023年3月23日 (木) 15:15-16:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 晝間敬)
- 要旨:
共生細菌や病原性細菌について感染に関わる遺伝子群を解析すると、ほとんど漏れなくべん毛のような運動装置が必須の感染因子として取れてくる。このことは、感染の成立において細菌の運動性が極めて重要な役割を果たしていることを意味している。確かに宿主の体内に取り込まれてから共生部位や患部へ到達するまでの道のりを想像すれば、受動的に待つよりは、能動的に目的地を目指した方が早そうだ。それでなくとも、宿主の体内には共生相手を選別するために、あるいは病原微生物を排除するために、様々な障壁が用意されている。しかし、共生や病原性の成立における細菌の“うごき”の重要性は認識されてはいるものの、ほとんどの場合、宿主体内における細菌の”うごき”はブラックボックスであり、ましてやその“うごき”が共生や寄生・病原性の成立においてどれほどの役割を果たしているのか、ほとんど分かっていないのが現状である。 ダイズの害虫として知られるホソヘリカメムシはBurkholderia属細菌を土壌中から取り込み、消化管に発達する袋状組織(盲嚢)に共生させることが知られている。土壌には数10万種を超える細菌が生息していることを考えると、その共生特異性は驚異的ともいえる。我々は、その共生特異性のメカニズムを研究する中で、ホソヘリカメムシは消化管に発達する狭窄部(Constricted Region)によって細菌の選別を行っていることを明らかにしてきた。この狭窄部は、直径わずか数μmの管状構造をしており、その内腔は多糖から構成される粘液で満たされている。面白いことに、この粘液で満たされた関門を突破するために、共生細菌はべん毛をその体に巻き付け、あたかもドリルのような形態となって狭窄部内を突き進むことが分かってきた。本発表では、共生特異性を担保するために宿主カメムシと共生細菌それぞれにどのような進化が起きたのかについて議論を行い、共生進化に果たす細菌の“うごき”の重要性について考えたい。また本発表では、最近我々が立ち上げた学術変革領域B「微生物が動く意味」について、その目的や目指すところを紹介する。
第203回生命環境科学系セミナー
Prof. Stefan Hoppler (Institute of Medical Sciences, University of Aberdeen, Scotland, UK)
"Wnt signalling in early vertebrate embryogenesis and human heart muscle differentiation”
- 日時: 2022年11月24日 (木) 17:00-18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 道上達男・山元孝佳)
- 要旨:
The Wnt pathway is a conserved cell-to-cell signalling mechanism, which is important for embryonic development, stem cell-mediated regeneration and diseases, such as cancer. We study how the same Wnt pathway is used repeatedly in different cellular contexts to instruct different and specific cellular responses.
We use early Xenopus embryos as a model to investigate the molecular mechanisms of tissueand stage-specific Wnt signalling. We have used a high-throughput sequencing approach combining RNA-seq and ChIP-seq to identify tissue-specific direct Wnt target genes; and now test proposed Gene Regulatory Networks with molecular modelling.
We have recently established hESC culture to study the role of Wnt signalling in human heart muscle (cardiomyocyte) differentiation. We are currently carrying out a single-cell RNA-seq analysis to uncover how Wnt signalling guides human heart muscle development towards striated cardiomyocyte differentiation.
Relevant research articles from Hoppler group:
・Torres N.P., Salonna M., Hoppler S. and Ferrier D.E.K. (2022). Evolutionary Diversification of the canonical Wnt signaling effector TCF/LEF in chordates. Development, Growth & Differentiation, http://doi.org/10.1111/dgd.12771.
・Afouda, B.A., Nakamura, Y., Shaw, S., Charney, R.M., Paraiso, K.D., Blitz, I.L., Cho, K.W.Y., Hoppler, S. (2020). Foxh1/Nodal defines context-specific direct maternal Wnt/β-catenin target gene regulation in early development, ISCIENCE, doi: https://doi.org/10.1016/j.isci.2020.101314.
・Nakamura Y., Alves E., Veenstra GJ, Hoppler S (2016). Tissue- and stage-specific cellular context regulates Wnt target gene expression subsequent to β-catenin recruitment to cis-regulatory modules. Development 143, 1914-1925. doi:10.1242/dev.131664
・Mazzotta S., Neves C., Bernardo AS, Docherty K, Hoppler S (2016). Distinctive Roles of Canonical and Noncanonical Wnt Signaling in Human Embryonic Cardiomyocyte Development, Stem Cell Reports (2016), 7, 1-13. doi:10.1016/j.stemcr.2016.08.008
Research articles from Hoppler and Michiue group:
・Yamamoto T., Kambayashi Y., Otsuka Y., Afouda B.A., Giuraniuc C., Michiue T., Hoppler S. Positive feedback regulation of frizzled-7 expression robustly shapes a steep Wnt gradient in Xenopus heart development, together with sFRP1 and heparan sulfate. eLife, https://doi.org/10.7554/eLife.73818
問い合わせ先:山元孝佳(道上研;内線46665、tyamamoto@bio.c.u-tokyo.ac.jp)
第202回生命環境科学系セミナー
後藤 栄治 先生 (九州大学大学院農学研究院)
“植物の光環境適応戦略 ―葉緑体の配置―”
- 日時: 2022年12月8日 (木) 16:00-17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 末次憲之)
- 要旨:
地球上の70%以上の植物は、樹木などの他の植物によって光が遮られた林床に生育している。林床に生育する植物は、日なたの数百分の1の弱光から、木漏れ日によって生じる太陽光の直達光のような強光に至るまで、広い範囲の光強度の変化にさらされる。植物にとって光は、光合成反応のエネルギー源として必要である一方で、過剰な光は有害となる。そこで植物は、光の向きや強度を感知し、オルガネラ、細胞、組織・器官レベルの応答を通して、変動する光環境に適応している。この光環境への応答の一つに、葉緑体光定位運動がある。葉緑体光定位運動とは、光合成の場である葉緑体が、周囲の光環境に応じて最適な光合成を行うために細胞内を移動する現象のことである。葉緑体は、弱光下では光受容を最大にするため葉の表面側に集まり、強光下では直射光を避けるために細胞の縁に移動する。申請者らは、モデル植物であるシロイヌナズナの変異株を用いた解析により、葉緑体光定位運動は植物の生育において重要な役割を担うことを明らかにしてきた1)。また、シロイヌナズナの変改株および野生イネを用いて、植物は周囲の光環境に適した葉の細胞構造と葉緑体光定位運動を制御することにより、生育光環境における光合成反応を最適化していることを明らかにしてきた2,3)。
一方で、実際の野外で育つ植物の生長解析では、葉緑体光定位運動の寄与はほとんど考慮されてこなかった。そこで申請者らは、南は西表島(沖縄)から北は足寄町(北海道)に至る日本広域の林床を対象として、250種以上の植物を採取し、葉緑体光定位運動の有無と葉緑体の細胞内配置を網羅的に解析した。その結果、柵状組織細胞の形状が光環境に適応していることを発見した。本発表では、野生植物の網羅的な解析により得られた柵状組織細胞細胞の形状変化の生態学的・生理学的意義とその分子機構について最新の知見を紹介したい。
References:
1. Chloroplast accumulation response enhances leaf photosynthesis and plant biomass production.
Gotoh E, Suetsugu N, Yamori W, Ishishita K, Kiyabu R, Fukuda M, Higa T, Shirouchi B, Wada M. (2018) Plant Physiol. 178: 1358-1369
2. Light-Induced Chloroplast Movements in Oryza species.
Kihara M, Ushijima T, Yamagata Y, Tsuruda Y, Higa T, Abiko T, Kubo T, Wada M, Suetsugu N, Gotoh E. (2020) Journal of Plant Research 133(4):525-535
3. Palisade cell shape affects the light-induced chloroplast movements and leaf photosynthesis.
Gotoh E, Suetsugu N, Higa T, Matsushita T, Tsukaya H, Wada M. (2018) Scientific Reports 8(1):1472
第201回生命環境科学系セミナー
Antonio Di Pietro 先生 (University of Córdoba)
“Adaptation strategies in a clonally evolving fungal pathogen”
- 日時: 2022年11月1日 (火) 14:00-15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人: 晝間敬)
- 要旨:
A hallmark of fungal pathogens is the ability to dynamically re-shape their growth and metabolism during the interaction with the host. The infection process is driven by rapid responses in cell signaling and gene expression as well as by long-term changes in genome structure. Understanding the molecular basis of this remarkable cellular and genetic plasticity is critical to control fungal disease.
Our lab studies host adaptation in Fusarium oxysporum, a soil-inhabiting fungus that causes vascular wilt in more than a hundred different crops and life-threatening infections in humans. Strikingly, a single isolate of F. oxysporum can kill tomato plants, immunodepressed mice and the insect host Galleria. We use a combination of experimental evolution and reverse genetics to follow the dynamics of host adaptation and to identify the underlying molecular mechanisms, with a particular focus on MAPK-regulated invasive growth and on the role of transposons in the generation of genetic variation.
References:
1. Conserved secreted effectors contribute to endophytic growth and multi-host plant compatibility in a vascular wilt fungus. Redkar A, Sabale M, Schudoma C, Zechmann B, Gupta YK, López-Berges MS, Venturini G, Gimenez-Ibanez S, Turrà D, Solano R, Di Pietro A. The Plant Cell 34:3214-3232.
2. Marchantia polymorpha model reveals conserved infection mechanisms in the vascular wilt fungal pathogen Fusarium oxysporum. Redkar A, Gimenez Ibanez S, Sabale M, Zechmann B, Solano R, Di Pietro A. New Phytol 234:227-241.
3. A bacterial endophyte exploits chemotropism of a fungal pathogen for plant colonization. Palmieri D, Vitale S, Lima G, Di Pietro A, Turrà D. Nat Commun 11:5264.
4. Autocrine pheromone signalling regulates community behaviour in the fungal pathogen Fusarium oxysporum. Vitale S, Di Pietro A, Turrà D. Nat Microbiol 4:1443-1449.
5. Fungal pathogen secretes plant alkalinizing peptides to increase infection. Masachis S, Segorbe D, Turrà D, Leon-Ruiz M, Fürst U, El Ghalid M, Leonard G, López-Berges, MS, Richards TA, Felix G, Di Pietro A. Nat Microbiol 1:16043.
6. Fungal pathogen uses sex pheromone receptor for chemotropic sensing of host plant signals. Turrà D, El Ghalid M, Rossi F, Di Pietro A. Nature 527:521-524. Link
第200回生命環境科学系セミナー
大石 基 先生 (筑波大学数理物質系物質工学域・准教授)
「DNAサーキットを基盤としたナノシステムによる酵素および装置フリーな「その場」バイオセンシングへの挑戦」
北村 裕介 先生 (熊本大学大学院先端科学研究部・助教)
「核酸の連鎖的鎖交換反応を利用した情報変換・増幅 〜血中循環腫瘍細胞の高感度検出を目指して〜」
- 日時: 2022年8月9日(火)13:10~13:50, 13:50~14:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 21KOMCEE West K001レクチャーホール
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 共催: バイオ分析研究懇談会・科研費/学術変革領域研究B「高分子進化工学」
- 要旨:
(大石先生)
わが国は世界一の超・高齢化社会であり、高齢者による生活習慣病(ガン、心疾患、脳疾患など)の増加および新型コロナウイルスの蔓延にともなう国民医療費の増大が大きな社会問題になっている。その解決策の一つとして期待されているのが、医療現場や在宅において医療従事者もしくは自らが簡便な検査を実施する「その場」診断である。しかし、体液中に含まれている生活習慣病に対するバイオマーカー(細胞外に存在する遊離核酸など)は、極めて微量であるため「その場」で検出するのは困難な状況である。したがって、「その場」診断を普及させるためには、高感度かつ簡便なバイオセンシングシステムの開発が必要不可欠である。本セミナーでは、DNAによりプログラムされたDNAサーキット(酵素および装置フリーなシグナル増幅法、または核酸増幅法)を解説し、このDNAサーキットに基づいた核酸検出のナノシステムの事例(ナノ/マイクロ粒子、ナノマシン、ゲルなど)について紹介する。このようなナノシステムは、核酸の「その場」診断の基盤技術となり、超高齢化社会における病気の予防(未病)を通じて医療費の削減に役立つことが期待される。
References:
1) M. Oishi and S. Sugiyama Small (2016) 12, 5153.
2) M. Oishi ACS Omega (2018) 3, 3321.
3) M. Oishi and K. Nakatani Small (2019) 15, 1900490.
4) M. Oishi and K. Saito ACS Nano (2020) 14, 3477.
5) M. Oishi and S. Juji ACS Applied Materials & Interfaces (2021) 13, 30, 35533.
(北村先生)
近年における核酸科学の進歩によって、核酸構造の非平衡ダイナミクスのデザイン(動的構造のプログラミング)も容易になってきており、核酸を基体とした分子デバイスや分子マシンが次々と創出されている。それらの動的構造のプログラミングに広く利用されているのが一本鎖突出(トーホールド)領域を利用した鎖交換反応である。二本鎖形成反応の平衡を支配する環境パラメーター(塩濃度、pH、温度)を変化させることで動作する核酸デバイスとは異なり、鎖交換反応を原理として動作する核酸デバイスは、一定環境下において、インプット(標的)分子に応答して動作するのが特徴である。
我々は、連鎖的な鎖交換反応(DNAサーキット)を介して発光シグナルや電気化学シグナルを増幅するようなシステムを構築してきた。近年は、標的細胞を検知すると自発的に発光を増幅するシステムの開発を進めている。本セミナーでは、同システムを利用した臨床サンプル(がん患者の血液)中に存在する極微量な腫瘍細胞の検出結果を紹介したい。原発腫瘍細胞組織から一部の腫瘍細胞が剥離し、血液やリンパ液の流れに乗り、体内の別の臓器に移動することでがんの転移が起こっている。このように血流に乗って体内を循環している腫瘍細胞は、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)と呼ばれている。画像診断では確認されない微細ながんや、CEA等の腫瘍マーカーでは捉えるのが難しいとされる初期フェーズのがん患者においてもCTCが確認されており、有用な診断マーカーとして着目されている。しかしながら、1 mLの血液中には約50億個の血液細胞が存在するのに対し、CTCはわずか数個〜数十個程度しか含まれていないため、CTCの検出は極めて困難である。別途開発したフィルターを用いて患者の血液1 mLから捕集した数個程度のCTCに対し、同システムを動作させたところ、30分程度で目視可能な増幅発光が得られることがわかった。興味深いことに、画像診断では確認できなかった微細な腫瘍を有する患者の血液サンプルからも目視可能な発光が得られることがわかった。また、発光強度は治療の奏功に応じて変化する様子も確認された。当日は今後の展望も含めてお話ししたい。
第199回生命環境科学系セミナー
Damien Hall 先生 (金沢大学ナノ生命科学研究所)
“New biological concepts from multi-scale biophysical simulations”
- 日時: 2021年11月8日(月)16:00~17:00
- 場所: ハイブリッド (Zoom & 16号館107号室)
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨: This talk presents some recent insights into the processes of protein folding, chaperone action, amyloid formation, yeast division, virus infection and high-speed atomic force microscopy measurements that have come from multi-scale biophysical simulation pitched at different levels of time and distance scales. Presented as a set of five 10-minute research vignettes this seminar also serves to describe recent research progress made by the speaker over the last three years.
References:
[1] D Hall, A Kinjo, Y Goto (2018) A new look at an old view of denaturant induced protein unfolding. Anal. Biochem. 542, 40-57.
[2]Ando, S., Matsuzawa, Y., Tsurui, H., Mizutani, T., Hall, D., Kuroda, Y. (2021) Stochastic modelling of the effects of human-mobility restriction and viral infection characteristics on the spread of COVID-19. Scientific Reports, 11, 1-10.
[3]Hall, D. (2020) On the nature of the optimal form of the holdase-type chaperone stress response. FEBS Lett. 594, 43-66.
[4]Hall, D. (2020) A simple method for modeling amyloid kinetics featuring position biased fiber breakage. Biophys. Physicobiol. 17, 30-35.
[5]Hall, D., Foster A.S. (2021) Practical considerations for feature assignment in high-speed AFM of live cell membranes. (submitted)
[6]Hall, D., Foster A.S. (2021) A multi-scale kinetic and spatial model of yeast replication and prion transmission. (submitted)
2021年度新任教員セミナー
永田 賢司 先生 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
「脂質-転写因子複合体による植物表皮分化制御」
末次 憲之 先生 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
「葉緑体光定位運動の分子メカニズムの研究」
- 日時: 2021年5月18日(火)17:00~18:00
- 場所: オンライン
- 主催: 生命環境科学系
- 詳細: 参加ご希望の方は学年・所属を書いてご連絡ください。折り返し、zoomのアドレスをお知らせいたします。
- 連絡先:永田賢司(阿部研) kenji_nagata@bio.c.u-tokyo.ac.jp
2020年度後期生物部会新任教員セミナー
晝間 敬 先生 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
「植物微生物相互作用の制御を通じた病原性の抑制および共生効果の最適化に向けて」
宇野 好宣 先生 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
「非モデル動物を用いた脊椎動物におけるゲノム染色体進化の解明」
- 日時: 2020年12月8日(火)18:00-18:30,18:30-19:00
- 場所: オンライン
- 主催: 生命環境科学系(世話人:原田一貴)
- 要旨:
- 詳細:セミナーの形式はZoomを用いたオンラインセミナーという形を取ります。参加ご希望の方は、原田(ckharada@g.ecc.u-tokyo.ac.jp)までメールにてご連絡いただきたく思います。その際に、件名には「新任教員セミナー参加希望」、ご所属、ご役職(学年)、お名前をお書きください。こちらから折り返しZoomのリンクをお送りいたします。
2020年度前期生物部会新任教員セミナー
加納 純子 教授 (東京大学総合文化研究科広域科学専攻)
「染色体末端がコントロールする様々な生命現象」
- 日時: 2020年9月29日(火)16:00-16:30
- 場所: オンライン
- 主催: 生命環境科学系(世話人:都筑正行)
- 要旨:
- 詳細:セミナーの形式はZoomを用いたオンラインセミナーという形を取ります。参加ご希望の方は、都筑(mtsuzuki@bio.c.u-tokyo.ac.jp)までメールにてご連絡いただきたく思います。その際に、件名には「新任教員セミナー参加希望」、本文には参加希望の回(第199回、第200回もしくは両方)とご所属、ご役職(学年)、お名前をお書きください。こちらから折り返しZoomのリンクをお送りいたします。
第198回 生命環境科学系セミナー
渡邉 肇 教授 (大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻)
「環境変化に応答したミジンコの生殖戦略」
- 日時: 2019年11月15日(金)15:00-16:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:渡邊雄一郎)
- 要旨:淡水性の動物プランクトンであるミジンコはよく知られ日本人には身近な存在でもあるが,その巧妙な生殖戦略についてはまだ不明な点が多い.
基本的にミジンコは環境がととのっている場合には単為生殖により繁殖し,個体数を急激に増やす.水中に泳ぎだした仔虫は1週間で成熟し3日に1回,20-30個の卵を産み,この卵は3日で孵化することから,この単為生殖は限られた資源と期間内に自己の遺伝子のコピーを増やすには非常に適した方法である.一方,日照時間の短縮,個体密度の増加,エサの不足などにより,ミジンコはオスを産む.このオスによる有性生殖によって産みだされた卵は耐久卵とよばれ乾燥や寒冷に耐性があり,年単位の生存が可能であり,冬期を経験した耐久卵は温度上昇と日光照射によって,発生を開始し,メスの個体になる.
こうした現象は古くから知られており,かのダーウィンも興味をもっていたが,ようやくそのメカニズムがわかりつつある.私たちのグループは,ミジンコにおいてCRISPR/Cas9を用いた遺伝子編集技術などを世界で唯一確立し,遺伝子レベルからこの問題にアプローチしてきている.その結果,オスの産生には通常は脱皮とその抑制に関与している幼若ホルモンが関与していること,メスが単独でオスのクローンを産むためには,dsx1遺伝子のスイッチが必須であること,このdsx1の制御にはlncRNAが関与していることなど,興味深い事実を明らかにしてきている.ミジンコの生殖戦略を遺伝子レベルで見ると何が起きているのか,関連した興味深い現象を含めて紹介する.
第197回 生命環境科学系セミナー
西井 淳 教授 (山口大学大学院創成科学研究科)
「関節間シナジーに着目した二足歩行のコツの発見」
- 日時: 2019年11月19日(火)17:00-18:30
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンストラボラトリー410室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:柳原大)
- 要旨:20世紀初頭に活躍したロシアの生理学者Bernsteinは,熟練した鍛冶屋の運動計測を行い,打ち下ろされた槌先は毎回正確に目標点を打つにもかかわらず,腕の軌道は1回毎に異なることを発見した。このことは,ヒトの運動制御においては精密に制御されている点とそうでない点があることを示唆する。では,二足歩行の運動制御において精密に制御されている点はどこであろうか。本研究室では,歩行中において足先位置のばらつきを抑制する下肢関節間の相補的協調運動(関節間シナジー)の時間推移を解析することで,神経系による歩行運動制御様式を探ってきた。本セミナーではその成果とともに,関節間シナジーを形成する神経回路モデルについても紹介する。
第196回 生命環境科学系セミナー
井上 昌俊 博士 (Stanford University, Department of Bioengineering, Karl Deisseroth lab)
「神経活動を可視化する超高速の多色Ca2+センサーの開発とその応用」
- 日時: 2019年7月30日(火)16:00-17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 10号館3階301会議室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:加藤英明)
- 要旨:カルシウム(Ca2+)は神経機能や筋収縮をはじめとして、さまざまな細胞機能を制御する重要な分子であることから、これまで生きた細胞においてCa2+動態を可視化するさまざまなセンサーが作成されてきた。脳機能の発現には複数の異なる神経細胞種による協調的な発火が必要である。しかし旧来の電気生理学的手法では、生きた動物の脳において複数の神経細胞種の関係を単一細胞レベルで検討することは困難であった。近年、神経発火に伴いCa2+が上昇することから、蛍光Ca2+センサーを用いた神経活動イメージング法が急速に普及している。しかし、これまでの実用的な蛍光Ca2+センサーは計測波長域が緑色域に限定されており、生体において神経活動を高感度かつ高速に計測できる赤色Ca2+センサーの開発が望まれていた。そこで、私たちは,2015年に哺乳類生体内で神経活動計測可能な赤色Ca2+センサー“R-CaMP2”を開発した。さらに発展させて、2019年に高頻度の神経発火の計測に可能な超高感度かつ超高速の多色(青、緑、黄、赤色)Ca2+センサー“XCaMP”を開発した。これらのCa2+センサーを開発したことにより、これまで計測困難であった高頻度発火細胞の活動計測や同時3種類神経細胞腫活動計測を可能にしたので、これらの応用例を紹介したい。
本講演では、これまでのCa2+センサーの歴史を振り返ることで、我々のCa2+センサーの意義と今後Ca2+センサーを使用する際の一助となれば幸いである。
Reference:
1. Inoue M et al., “Rational design of a high-affinity, fast, red calcium indicator R-CaMP2.” Nature Methods 1, 64-70, 2015.
2. Inoue M†, Takeuchi A†, Manita A† et al., “Rational engineering of XCaMPs, a multicolor GECI suite for in vivo imaging of complex brain circuit dynamics”. Cell 177, 1346-1360. 2019.
第195回 生命環境科学系セミナー
伏見 圭司 (静岡大学 理学部生物科学科 特任助教)
「光スイッチの開発を目指したシアノバクテリオクロムの分子基盤」
- 日時: 2019年7月8日(月)16:00-17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨:光は光質(波長)、光量(強度)、照射場所、照射時間という4つのパラメーターを自由に制御することが可能なツールであり、数多くの分析技術に利用されています。近年では、光合成生物を始めとする様々な生物のゲノム情報から光を感知する色素タンパク質の一種である「光受容体」が単離・同定され、その諸性質が明らかにされています。光受容体は、特定の波長光を吸収することによって光変換(可逆的な分子構造の変化)を示します。この特性を利用し、光操作によって生物活性を制御する「光スイッチ」の開発を目指す光遺伝学(オプトジェネティクス)が急速に発展しています。本研究室では、シアノバクテリアのみがもつ光受容体である「シアノバクテリオクロム(CBCR)」に焦点を当て、光スイッチの基盤となる分子の創出を行っています。これまでに国内・国外の研究グループが生化学的、光化学的、タンパク質工学的手法を組み合わせた CBCR の機能および構造を解析しており、多彩な光変換を示す分子が発見、開発されてきました。本セミナーでは、これまでの知見を基にして、本研究室で行ってきた CBCR の機能改変とその分子基盤についてお話します。
(1)哺乳類内在性色素を結合する近赤外光感知型分子:CBCR の分子構造とアミノ酸配列の比較から、哺乳類内在性色素・ビリベルジンを結合する CBCR に保存された特異的なアミノ酸残基を抽出し、生化学的および光化学的解析を繰り返すことで、最終的に4つのアミノ酸残基(BV4)が重要であることを特定しました。さらに、この BV4 を導入した変異型 CBCR の結晶化に成功し、X 線結晶構造解析を行うことで、その分子機構を明らかにしました。
(2)多段階的機能改変による8種類の可視光感知型分子:これまでに多種多様な光変換を示す CBCR が単離・同定され、その諸性質が解明されています。その中で、色素の結合に重要な Cys 残基(1st Cys)とは別に、色素の異性化反応と光変換過程で重要な機能をもつ Cys 残基(2nd Cys)が保存されているサブファミリーが存在します。本研究室では、このサブファミリーの中に属するにも関わらず、2nd Cys をもたない CBCR を発見しました。そこで、この分光的解析を行うとともに、合理的な変異導入による吸収波長の改変を行い、「Cys 残基の脱着」、「色素の異性化反応の有無」、「色素の環構造の高度な捩れ」を制御することに成功しました。これらの機能改変を組み合わせることで、最終的に、1つの分子を基に、8つの光変換を示す分子の創出に成功しました。
第194回 生命環境科学系セミナー
畠 星治 (ハイデルベルク大学・分子生物研究所 博士)
「正確な染色体分配を担保する紡錘体形成のタイミング制御」
- 日時: 2019年7月3日(水)16:00-17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 要旨:紡錘体によって担われる染色体の正確な伝達は、がんなどの疾患の原因となる染色体異常を防ぐために必要不可欠である。分裂期における紡錘体の形成は、 間期の細胞において2つの中心体を結びつけている中心体リンカーが、解離することから始まる。その後、4量体として機能するプラス端キネシンであるEg5 が、中心体から伸びる微小管を介して中心体を分離させる。分離した2つの中心体ならびに微小管により、2極紡錘体が形成されて、染色体分配へと至る。これまでに、中心体が適切なタイミングで分離されないと、染色体分配 に異常をきたすことが知られている。しかしながら、このタイミングがどのように制御されているのかについては不明な点が多い。最近の我々の解析から、中心体リンカー非依存的に、2つの中心体を接着させる機構の存在が明らかになった。我々は、この新たな機構が微小管を介したものであることを報告しているが、その分子機序ならびに、なぜ2種類の中心体接着機構が存在するのかについては不明なままであった。本セミナーでは、マイナス端キネシンである IFC3が、微小管依存的な中心体接着機構において主要な役割を担うことを新たに報告する。また、分裂期の前に、中心体の主要な接着機構が中心体リンカーから微小管依存的な機構へと代わることで、タイムリーな中心体分離が可能になるというという新たな概念を提示する。
第193回 生命環境科学系セミナー
茂木 文夫 (国立シンガポール大学・メカノバイオロジー研究所・テマセク生命科学研究所 准教授・主任研究員)
「細胞極性プログラムの脱構築と再構築」
- 日時: 2019年4月1日(月)16:30-17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:大杉美穂)
- 要旨:多細胞生物が分化・機能の多様性を得るには、 個々の細胞が空間的な非対称性「細胞極性」を獲得する必要がある。 また細胞極性の欠損は、癌化・神経変性などの疾患を引き起こすことから、細胞極性プログラムの理解は、様々な疾患の予防・治療に必須と考えられる。本セミナーでは、線虫 C. elegans をモデル生物として、受精卵が非対称性を獲得する分子機構の解析(細胞極性プログラムの脱構築)と、極性化プログラムを再構成するシステム(細胞極性プログラムの再構築)について紹介したい。私達のグループは、(1) 精子により持ち込まれた中心体が、受精卵のアクトミオシン細胞骨格の非対称性を生み出す仕組みと、(2) 細胞表層における力学的張力が、PARタンパク質複合体を非対称に局在させるメカニズムを明らかにしており、(3) 更にPARタンパク質複合体の空間的非対称性を非動物細胞内で再構成するシステムを開発した。以上の結果を踏まえて「細胞極性プログラムの素過程」について議論したい。
第192回 生命環境科学系セミナー
三好 大輔 (甲南大学フロンティアサイエンス学部生命化学科 教授)
「核酸構造安定性に及ぼす細胞の分子クラウディング効果の定量解析とその展開」
- 日時: 2018年12月11日(木)10:30-11:30
- 場所: アドバンストリサーチラボラトリー 4F:410大会議室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 要旨:生体分子は、生命の誕生から数十億年にわたり、その機能を発揮するように進化を遂げてきた。核酸やタンパク質の構造や機能は周辺の分子環境に大きく依存する。故に、細胞内に存在する生体分子は、細胞内環境で本来の機能を示す。核酸が存在する細胞内の分子環境はどのようなものであろうか。細胞内部には、タンパク質や核酸などの生体高分子が存在する。代謝産物や浸透圧調節分子のような低分子化合物も高濃度に存在する。これらの分子の総濃度は、200 ~ 400 g / Lに達する。また、細胞体積の約40 %を占有する。ダイヤモンド結晶の空間充填率は34 %である。細胞内部の分子環境は、溶液というよりも、むしろ固体に近い。この高濃度に存在する分子環境が、「分子クラウディング」である。さらに細胞内には、多種多様な生体分子が局在して存在している。近年では、細胞内でRNAやタンパク質が、液-液相分離により幕のないコンパートメントを形成していることも注目されている。生体分子の濃度や局在は、細胞周期や細胞の状態に依存して大きく変化する。このように、細胞内の分子環境は、「分子夾雑」であるといえる。 本講演では、核酸が形成する構造とその熱力学的安定性に対する分子クラウディング効果について紹介する。次に、このような核酸構造安定性に対する周辺環境効果に関する知見を基にした機能性分子の合理的設計方法について議論したい。 (1)分子クラウディング環境における核酸構造安定性 核酸の標準構造は二重らせん構造である。しかし、核酸は塩基配列と周辺環境に依存して多様な非標準構造を形成できる。非標準構造の代表例が染色体末端のテロメアでみられるグアニンに富んだ核酸鎖が形成する四重らせん構造である。これまでの研究から、分子クラウディング環境は二重らせん構造が熱力学的に不安定化するのに対し、四重らせん構造は安定化することが分かった。講演では、他の構造に対する分子クラウディング効果と、我々が提唱している安定化摂動機構を紹介し、分子クラウディング効果の生物学的意義について議論する。 (2)分子クラウディング環境でも機能する分子の設計とその応用 薬剤やバイオプローブなどの機能性分子の開発においては、試験管内での結果と細胞を用いた実験系での結果が一致せず、試行錯誤が必要であることが多い。その要因として、機能性分子や標的分子に及ぼす分子クラウディング効果ある。本講演では、核酸構造に対するリガンドを例に、分子クラウディング環境でも標的分子に結合するために有用な相互作用様式について、これまでに得られた知見を基に議論する。最後に、このような取り組みから合理設計された分子を用いて、がん関連のmRNAを選択的に破壊する分子標的型光線力学療法の構築に向けた取り組みについて紹介する。
第191回 生命環境科学系セミナー
Dr. Subhankar Paul (Department of Biotechnology and Medical Engineering, National Institute of Technology Rourkela, India)
"Biomolecules-based therapeutic approaches in cancer therapy: Current status and future prospects”
- 日時: 2018年11月30日(金)16:00-17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館6階621室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨:Cancer is now one of the leading causes of death globally. As far as the therapy is concerned, it has primarily been limited to chemotherapy, specifically in metastatic condition. Since chemotherapy-based side effects have long been a matter of great concern, there has been a search for target based alternative biocompatible and inherently selective therapeutic agent. Recently, biomolecules, particularly proteins have been demonstrated to fight against cancer cells in various forms. Proteins have gained special importance due to its advantages such as biocompatibility, biodegradability, non-antigenicity, as well as the extraordinary binding capacity to various drugs, having an easily modifiable structure according to the applications. Hence, they are used in various industrial applications as biocatalyst, therapeutic agent, and drug carriers. The cytotoxicity of proteins alone (inherent cytotoxicity of bovine α-lactalbumin) and the complex with lipid molecules (BAMLET or HAMLET) has also been explored in cancer therapy for obtaining a realistic therapeutic approach. Proteins such as lysozyme and bovine α-lactalbumin and their self-assembled nanostructure also recently demonstrated potential cytotoxicity to cancer cells sparing the healthy cells. Moreover, proteins can also be used to load high amount of anticancer drug and pH sensitive drug delivery system. Thus, proteins possess great potential to be used as a suitable therapeutic agent as well as drug delivery system.
第190回 生命環境科学系セミナー
柿澤 昌 (京都大学大学院薬学研究科 生体分子認識学分野 准教授)
「記憶の維持・消去そして老化-成熟後の神経回路網における機能制御とシグナリング機構」
- 日時: 2019年1月25日(金)14:00-15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 9号館1階セミナー室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:柳原大)
- 要旨: 神経回路網が機能的に形成され、さらに個体の経験や環境変化に応じてシナプス結合の強度や形態を変えることは、生体が環境変化に適応したり合理的な行動をとるために必要不可欠である。この様な記憶・学習の記銘に加え、獲得した情報(記憶)を維持したり、必要に応じて書き換えたり消去することも、生体が環境に適応し続けるためには重要である。しかし、神経回路網の発達形成や、記憶・学習の記銘過程の基盤とされるシナプス可塑性についての研究が大きく進展する一方で、機能的に形成された神経回路網の維持や記憶の書き換え・消去学習などについては、不明な点が少なくない。 この様な背景に基づき、演者は、比較的少数の細胞種からなる規則的な回路網を有し、運動学習という客観的・定量的な解析に適した記憶・学習に関与するマウスの「小脳」を対象として、活動依存的な神経回路網の機能制御とシグナル系に関する研究を行ってきた。本セミナーでは、演者が近年同定した、新規細胞内カルシウム動員機構である一酸化窒素依存的カルシウム放出と言う現象にも触れながら、活動依存的なシナプス機能の維持、運動学習における消去学習、及び加齢に伴う可塑性の低下と、それらのシグナリング機構について紹介したい。
第189回 生命環境科学系セミナー
山本 雅哉 (東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻 教授)
「In vitro tissue engineeringのための生体機能性ハイドロゲルの設計」
- 日時: 2018年7月26日(月)14:30-15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎・吉冨徹)
- 要旨: 生体機能性とは、体内や細胞で発現する機能、およびバイオミメティックスなどを含めた生体を模倣した機能、少なくともこの二つの側面がある。さらに、機能する環境をin vitroとin vivoとに大別することができる。本講演では、主として、in vitroで機能させることを目的とした生体機能性ハイドロゲルの設計とその応用について、①幹細胞のための三次元培養環境に関する研究、ならびに②疾患研究のための体外モデルに関する研究を例に述べる。
第188回 生命環境科学系セミナー
Dr. Betsy Pownall (Department of Biology, University of York)
"The role of a heparan sulfate endosulfatase on Wnt and FGF signalling using frogs and fish"
- 日時: 2018年5月7日(月)17:45-18:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:道上達男・山元孝佳)
- 要旨:
第187回 生命環境科学系セミナー
Prof. Stefan Hoppler (Institute of Medical Sciences, University of Aberdeen, Scotland, UK)
"Context-specific Wnt Signalling in Embryonic Development and Heart Muscle Differentiation"
- 日時: 2018年5月7日(月)17:00-17:45
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:道上達男・山元孝佳)
- 要旨:
第186回 生命環境科学系セミナー
山本 佳奈 (ときわ会常磐病院 内科医、ナビタスクリニック 内科医、医療ガバナンス研究所 研究員)
「若年の男女が真剣に向き合うべき問題について 貧血と性感染症を中心に」
- 日時: 2018年4月16日(月)16:30-17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:坪井貴司)
- 要旨: 10代や20代が抱えている問題について、医療の現場での実情を交えてお話させていただきたい。貧血は、女性だけでなく男性も発症する。世界を見渡すと貧血対策がなされている一方で、日本ではなんら対策はない。さらに貧血は、自分だけでなく次世代にも影響を及ぼすことがわかっている。外来での一コマを交え、わかりやすくお伝えしたい。性感染症も深刻だ。性感染症はエイズや梅毒だけではない。最も罹患率の高い性感染症はクラミジアだ。これら性感染症は、不妊症の原因となることが知られている。だが、初期症状は気づきにくく、またパートナーと共に治療しなければ、完治は不可能だ。性をタブー視せず、男女共に理解し、予防しなければ、罹患率は増加し続けるだろう。外来でのデータや、日本における調査、さらには世界のデータを出しながら、性感染症について正しく知っていただき、自分の体を自分で守ることができる知識を得てほしいと思う。
参考文献:貧血大国・日本(光文社)、教科書にみる世界の性教育(かもがわ出版)、不妊治療を考えたら読む本(ブルーバックス)
第185回 生命環境科学系セミナー
Dr. Kyungmin Baeg (Institute of Molecular and Cellular Biosciences, Graduate School of Frontier Sciences, The University of Tokyo)
"Biochemical analysis of RNA-DEPENDENT RNA POLYMERASE6 in post-transcriptional gene silencing"
- 日時: 2018年3月9日(金)16:00-17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:渡邊雄一郎)
- 要旨: In order to eliminate exogenous aberrant RNAs or regulate endogenous transcript levels, plants take advantage of post-transcriptional gene silencing (PTGS). PTGS is initiated by RNA-DEPENDENT RNA POLYMERASE6 (RDR6) mediated double-stranded RNA (dsRNA) synthesis. RDR6 converts exogenous aberrant RNAs or cleaved microRNA targets into dsRNAs, which are processed into small interfering RNAs (siRNAs) by DICER-LIKE proteins. These siRNAs are incorporated into Argonaute to form RNA-induced silencing complex, which catalyzes the cleavage of complementary target RNAs. However, it remains unclear how PTGS distinguishes exogenous aberrant RNAs or cleaved microRNA targets from canonical mRNAs.
Here, we investigated RDR6 activity in vitro using recombinant proteins. Our results show that purified RDR6 has a strong template preference for poly(A)-less RNAs. This enzymatic property of RDR6 can explain why transgene-derived aberrant poly(A)-less RNAs triggered PTGS in vivo.
Recently, we succeeded in recapitulation of trans-acting siRNA (tasiRNA) biogenesis pathway in vitro, which is one of the endogenous PTGS mechanisms. In this talk, we will present our latest insights into tasiRNA biogenesis pathway.
参考文献:Kyungmin Baeg, Hiro-oki Iwakawa, and Yukihide Tomari, "The poly(A) tail blocks RDR6 from converting self mRNAs into substrates for gene silencing", Nature Plants (2017) doi: 10.1038/nplants.2017.36.
第184回 生命環境科学系セミナー
Dr. Damien Hall (Group Leader, Research School of Chemistry, Australian National University/ Associate Professor, Institute for Protein Research, Osaka University)
"Physical biochemistry of disease"
- 日時: 2018年3月9日(金)11:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨:My research program involves the application of physical chemistry / biophysics type theoretical and experimental approaches to the study of three disease states (i) cancer, (ii) virus infection, and (iii) amyloidosis proteopathies. In this talk a brief introductory survey of these three areas will be made before focussing on recent research progress related to the amyloidosis diseases.
第183回 生命環境科学系セミナー
松本 光晴 主幹研究員 (協同乳業株式会社研究所)
"腸内常在菌の代謝産物 複雑代謝系の制御を目指した機能性食品開発"
- 日時: 2018年3月13日(火)15:45-16:45
- 場所: 駒場Iキャンパス 18号館ホール
- 主催: 生命環境科学系(世話人:坪井貴司)
- 要旨: 腸内常在菌の研究は、長年、菌種構成の解析を中心に発展し、近年はそれにゲノム情報を含めたmicrobiome解析が主流となっている。一方、腸内常在菌の代謝産物の研究は殆ど行われてこなかった。しかしながら、低分子代謝産物は、吸収され血中に移行すれば、全身の細胞を直接的に刺激する可能性があり、健康/疾病との関連性は無視できない。演者らは約10年前よりメタボロミクスを駆使した腸内細菌の代謝産物の研究に着手し、腸内常在菌の影響を受ける代謝産物が多数存在し、その一部は生体内に移行している可能性を見出してきた(1,2)。中でも、全生物の細胞内に普遍的に存在し腸管バリア充実化作用、オートファジー促進作用等の多機能を有するポリアミン(PA)に注目し、腸内PA濃度を適正化すれば、疾病予防の軽減に繋がり健康寿命伸長効果が得られると仮説を立案し検証してきた。例えば、中高齢マウスにビフィズス菌を投与し、腸内PA濃度の上昇と共に寿命伸長効果を認めている(3)。更に個体差の大きい腸内菌叢に安定的にPA産生を誘導させる物質としてアルギニンを見出し、マウスにアルギニンとビフィズス菌の混合投与を行い、寿命伸長効果と共に20ヶ月齢時点での空間学習記憶力の成績が対照群と比較し高いことを見出した(4)。本講演では、PA増強物質としてのアルギニンを得るまでのユニークなアプローチ法も含めて紹介する。 参考文献(1)Sci. Rep. 2:233, 2012 (2)Front. Syst. Neurosci. 7: 9, 2013 (3)PloS One 6: e23652, 2011 (4)Sci. Rep. 4: 4548, 2014
第182回 生命環境科学系セミナー
Dr. Nathan C. Rockwell (Department of Molecular and Cellular Biology, University of California, Davis)
"Cyanobacteriochromes: a rainbow of sensors and possibilities"
- 日時: 2018年2月5日(月)13:30-15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:池内昌彦)
- 要旨: Human civilization depends on agricultural cultivation of crop plants. Such photosynthetic organisms use photosensory proteins to adapt their biology to changing natural light environments. For example, land plants use phytochrome photoreceptors to measure the ratio of red and far-red light, allowing a plant to detect shading from neighboring plants. Cyanobacteria contain both phytochromes and distantly related cyanobacteriochromes (CBCRs). Like phytochromes, CBCRs photoconvert between two states with distinct spectral and biochemical properties. However, CBCRs are much more diverse than phytochromes and are able to sense near-ultraviolet and visible light. More recently, we reported CBCRs able to detect far-red and even near-infrared light. An ongoing survey of these proteins has demonstrated that far-red sensing has evolved multiple times using different protein-chromophore interactions and is associated with a broad range of photoproducts. CBCRs thus seem poised to become useful tools in synthetic biology, imaging applications, and beyond.
第181回 生命環境科学系セミナー
阿部 光知 先生 (東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻 准教授)
「花成ホルモン・フロリゲン ~つくって・はこんで・うけとって?」
- 日時: 2017年12月20日(水)17:00-18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:渡邊雄一郎)
- 要旨: 植物の栄養成長から生殖成長への相転換(花成)は、葉の篩部伴細胞でつくられた花成ホルモン・フロリゲンが茎頂へとはこばれることによって調節されている。シロイヌナズナにおいては、フロリゲンの分子的実体はFTタンパク質が担っている。一方、bZIP型転写因子をコードするFDは、茎頂でのフロリゲン機能発揮における最重要な鍵因子である。これまでの遺伝学的解析や生化学的解析から、葉から運ばれてきたFTをFDがうけとり、フロリゲン複合体を形成することによって、花メリステムアイデンティティー遺伝子群の転写が活性化されることが示唆されている。 本セミナーでは、葉の篩部伴細胞においてフロリゲンの「産生」と「輸送」の調節に関わっている花成制御因子FEの機能について紹介する。また、フロリゲン複合体のin vivo イメージングによって明らかになった、茎頂メリステムでのフロリゲン複合体のダイナミクス、FTの細胞間移行に重要なアミノ酸配列についても報告する。植物がもつ「環境情報を利用して最適なタイミングで花を咲かせる」巧妙な仕組みを、是非とも知ってもらいたい。
第180回 生命環境科学系セミナー
小黒 -安藤麻美 先生 (エクセター大学医部、神経科・精健康(イギリス))
「自閉症候補遺伝子の機能解析 ~ヒト遺伝子研究からモデルマウスまで~」
- 日時: 2017年11月29日(水)13:15~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉田奈摘)
- 要旨: ヒトの行動表現型の生物学的基盤は脳の回路にあるが、多数の遺伝子と様々な環境因子(胎児期環境、生後発達期の環境、栄養状態やストレス刺激など)が相互に影響し合い、複雑に絡み合って、それらが最終的に行動に反映されている。ヒトの行動表現型を理解するにあたって、まずは行動異常を伴う複数の発達障害・精神疾患のビッグデータから遺伝子網羅的解析を行い、行動との関連が見いだされている遺伝子に着目するのは一つの重要な手法である。 本研究では、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、拒食症、統合失調症、双極性障害、アルコール依存症という行動異常を伴う多岐の発達・精神疾患において遺伝子異常(コピー数多型、単一遺伝子欠損、点突然変異など)が報告されている細胞接着分子・Contactin4に着目している。脳の発達過程では、神経細胞の移動や分化、軸索の伸長などは胎生期にほとんど完成し、生後は主にシナプスやミエリンの形成が起こる。行動に関わる脳の高次機能が働く過程においては、神経細胞同士が結合している部位であるシナプスの形態が変化する。これら神経細胞はシナプス膜表面に細胞間分子のやり取りの補佐や接着を司る細胞接着分子群を発現しており、この細胞接着分子達が神経突起の伸長やシナプス形成に重要な役割を果たすことがこれまでの研究で示されている 。この神経細胞の接点であるシナプスでは、シナプス前膜から神経伝達物質が放出され、シナプス後膜にある受容体を介してイオンチャネルの働きを調節し、神経回路を制御している。 本発表では、このシナプス膜表面に局在する細胞接着分子であるContactin4遺伝子の欠損により引き起こされる恐怖条件付け行動の異常について、電気生理学、解剖形態学などの様々な手法を用いて分子、細胞、ネットワーク、個体の各レベルから探求することにより、脳の機能や発達の仕組み、行動表現型について明らかにしようとしている。
第179回 生命環境科学系セミナー
斧 正一郎 博士 (Dept. Pathology & Dept. Cell Biology, Emory University
School of Medicine, Atlanta, GA, USA.)
「線虫C. elegansの筋発生におけるアクチン調節タンパク質の機能と制御:Actin-interacting protein 1 を中心として.」
- 日時: 2017年11月21日(火)17:00~18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:松田良一)
- 要旨: 斧 正一郎博士は、Emory Universityにおいて、線虫を用いた筋肉の発生の研究を行っています。線虫の体壁筋細胞の収縮構造は、脊椎動物の横紋筋細胞のものと類似しており、筋原繊維形成や筋収縮調節のメカニズムの解明のために重要なシステムです。斧 博士はこれまで、筋発生におけるトロポニンの動態、アクチン調節タンパク質ADF/cofilin, gelsolin, calponin, actin-interacting protein 1(Aip1、図), tropomyosin, tropomodulinなどの役割について優れた研究を発表してこられました。特に最近、Aip1が収縮装置にアクチンが規則正しく組み込まれるのに必要であること、Aip1 にはアクチン繊維の切断活性があることを明らかにしました。本セミナーでは、これらの調節タンパク質の紹介、Aip1の働き、そしてAip1を調節する可能性のある新たな遺伝子に関する研究を紹介していただきます。
第178回 生命環境科学系セミナー
徳永 万喜洋 教授 (東京工業大学・生命理工学院)
「1分子イメージング超解像解析による生体分子の動態定量と機能」
- 日時: 2017年10月13日(金)15:00~16:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
- 要旨: 生命の働きが、分子のどのような動きや変化、分子間相互作用によって実現されているのかを、光学顕微鏡の1分子イメージングと超解像解析を中心に研究している。1分子イメージングの定量解析では、1分子軌跡追跡法が重要な手法であった。しかし、これまでの解析法では、分子の動きの時間的変化や分子間相互作用の定量情報が十分には得られなかった。我々は、分子1個1個の軌跡追跡から、分子の動きばかりでなく、他の分子との相互作用も、時間的・空間的な変化を定量的に解析できる新しい方法を開発した(Sci Rep, 2017, PMID: 28765585)。この方法により、免疫T細胞の情報伝達分子が2段階で活性化されること、分子集合体の周囲で活性化が調整されていることがわかった。核内分子の動態に関しては、ヒストン、核小体の区画による違い、クロマチン再構成複合体INO80などについてふれ、機能との関連を議論したい。
第177回 生命環境科学系セミナー
Dr. Luigia Santella (Research Director, Department of Biology and Evolution of Marine Organisms, Stazione Zoologica Anton Dohrn, Napoli, Italy.)
"FERTILIZATION OF STARFISH AND SEA URCHIN EGGS: A REVISITATION OF THE PROCESS"
- 日時: 2017年9月25日(月)17:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:松田良一)
- 要旨:Most of our knowledge on oocyte maturation and fertilization comes from studies on starfish and sea urchin, which reproduce by external fertilization. Classical studies on the maturation of starfish oocytes have provided a large body of information on the structural and activity changes that that enable mature oocytes to produce a normal Ca2+ response and monospermy at fertilization. The most dramatic change is the elevation of the fertilization envelope that results from the exocytosis of the cortical granules which release their contents in the perivitelline space to form a mechanical barrier to the entry of supernumerary spermatozoa. We have re-examined the fertilization process using more powerful imaging methods. Rapid changes of the surface of the eggs upon its interaction with the spermatozoon were also captured by scanning and transmission electron microscopy. Imaging of Ca2+ and visualization of the actin cytoskeleton in sea urchin and starfish eggs have shown that the reorganization of the cortical actin cytoskeleton is essential for a successful monospermic fertilization. Indeed, the perturbation of the fine architecture of the actin cytoskeleton of the surface of starfish and sea urchin’s egg by several agents induces multiple sperm-egg interactions and deregulation of the pattern of Ca2+ release. At variance with the prevailing view, F-actin, and not the Ca2+-linked regulation of the elevation of the fertilization envelope, is the major determinant of monospermy in both starfish and sea urchin eggs.
第176回 生命環境科学系セミナー
近藤 徹 博士 (マサチューセッツ工科大学・MIT-Harvard Center for Excitonics)
「単一タンパク質光物性解析から見えた光合成反応を支えるタンパク質構造ダイナミクス」
- 日時: 2017年9月25日(月)13:30~15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:池内昌彦)
- 要旨:太陽から降り注ぐ光は地球上の生命活動を駆動する。太陽光の吸収窓口となるのが光合成タンパク質である。ナノメートルスケールの微小空間に色素分子が複数配置されており、吸収した光エネルギーを使って効率よく電子を生み出す。これまでに様々な光合成タンパク質の構造が解かれ、それらを基に反応メカニズムが議論されてきた。一方で、刻一刻と変化する生体環境下ではタンパク質構造は静止しているわけではなく常に揺らいでいる。そのような構造揺らぎが反応にどう影響するか、また逆に反応自体が揺らぎにどう影響するか、などの微小構造変化と機能の相関関係については理解が進んでいない。通常の測定では1017個に及ぶタンパク質粒子を一度に観察するため、不規則に揺らぐ各々の特性は平均化されて見えない。そこで我々は単一タンパク質のみを取り出して分光学的な解析を行っている。本講演では、過剰光エネルギーの熱散逸(光保護)機能や高効率励起エネルギー輸送機能を制御するタンパク質ダイナミクスについて発表する。また、最近研究を進めているフェムト秒時間分解単一タンパク質分光についても紹介する。
第175回 生命環境科学系セミナー
Prof. Zsolt Radak(University of Physical Education, Budapest)
"Exercise and brain function"
- 日時: 2017年7月27日(木)15:00~16:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 9号館1階セミナー室
- 主催: 生命環境科学系 (世話人:寺田新)
- 要旨:運動と脳機能の関連性について、Radak先生ご自身の研究(下記参考文献)の内容を含めてご講演いただきます。
参考文献:
The rate of training response to aerobic exercise affects brain function of rats. Neurochem Int 2016, 99:16-23.
Physical exercise, reactive oxygen species and neuroprotection. Free Radic Biol Med 2016, 98:187-196.
Aerobic endurance capacity affects spatial memory and SIRT1 is a potent modulator of 8-oxoguanine repair. Neuroscience 2013, 252:326-336.
The redox-associated adaptive response of brain to physical exercise. Free Radic Res 2014, 48:84-92.
Does exercise reduce brain oxidative stress? A systematic review. Scand J Med Sci Sports 2013, 23:e202-212.
Exercise plays a preventive role against Alzheimer's disease. J Alzheimers Dis 2010, 20:777-783.
第174回 生命環境科学系セミナー
尾崎 省吾 博士 (Focal Area of Infection Biology, Biozentrum, University of Basel, Switzerland)
「バクテリアセカンドメッセンジャーによる細胞周期の時空間制御」
- 日時: 2017年9月7日(木)15:00~16:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:榎本元)
- 要旨:バクテリアの環状ジグアニル酸(cyclic di-GMP)は細胞外の環境と連係して細胞内の遺伝子機能を調節するセカンドメッセンジャーである。cyclic di-GMPは細胞内の様々な受容体と結合し、バイオフィルム形成・鞭毛運動・細胞分化などのプロセスをグローバルに制御する。しかしながら、このセカンドメッセンジャーの細胞増殖における役割はよくわかっていない。ごく最近、我々はαプロテオバクテリアのカウロバクター・クレセンタスをモデルとし、cyclic di-GMPが細胞周期オシレーターとしてゲノム複製を駆動することを発見した。さらにcyclic di-GMP受容体の構造解析より、cyclic di-GMPの作動機序を分子レベルで明らかにした。これらを総合し、本セミナーでは細胞周期において時空間的に働くcyclic di-GMPシグナリングについて、細胞・分子レベルで論じる。
第173回 生命環境科学系セミナー
小林 淳一 先生 (北海道大学 名誉教授/北海道大学薬学研究院 招聘教員)
「生物活性天然分子のケミカルバイロジー」
- 日時: 2017年7月28日(金)13:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 3号館1階113号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:浅井禎吾)
- 要旨:これまで30数年にわたり、沖縄産の海洋生物(海綿、ホヤ、渦鞭毛藻、など)、陸上の植物(イチイ,ユズリハ、ヒカゲノカズラ、オトギリソウ、など)、海洋微生物(海洋細菌、海洋由来真菌、など)と陸上微生物(放線菌など)から、1000を超える新規生物活性天然物質(アルカロイド、マクロライド、ポリケタイド、テルペノイド、など)を単離、構造決定しており、これらの化合物の中には、新しい医薬品のリード化合物、あるいは生体機能解明のためのバイオプローブ(研究用試薬)として期待されるものが数多く含まれている。それらの中から代表的な研究例を紹介したい。
第172回 生命環境科学系セミナー
中西 淳 先生(物質・材料研究機構・メカノバイオロジーグループグループリーダ)
「光応答材料を用いる細胞集団移動現象の探究」
- 日時: 2017年7月21日(金)15:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 要旨: 細胞集団移動は複数の細胞が細胞間の接着を維持しながら移動する運動形態であるが,単なる一細胞から外挿される以上の興味深い現象が内在するために,研究者の注目を集めている。例えば,一部の上皮細胞の先導端には,集団を先導するリーダー(チップ)細胞とそれに追随するフォロワー細胞とに分類され,超細胞体としての機能が創発する。一方で,通常は集団的にふるまう上皮細胞も,さまざまな環境変化に応じて上皮間葉転換(EMT)が誘導され,間葉系細胞のように単独で移動する運動形態を獲得する。しかも,EMTやその逆反応のMETは原発巣からのがん細胞の転移および二次がん形成で中心的な役割を果たす。このように細胞が集団であるがゆえに生まれる現象や,集団であるために必要となる環境条件を理解するために,我々は独自に開発した光応答材料を用いるアプローチで研究を進めている。本発表では最新の成果を中心にその一端を紹介したい。
第171回 生命環境科学系セミナー
岩﨑 泰彦 先生 (関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授)
「糖鎖改変技術を利用したセルベースバイオマテリアルの創出」
- 日時: 2017年1月31日(火)14:30~15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンスドラボラトリー棟4F 410
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 要旨: 我々は新たなシアル酸前駆体としてメタクリロイルマンノサミンを合成し,細胞膜表面にメタクリロイル基を誘導することに成功しました.現在,この糖鎖改変技術を癌の免疫細胞治療に応用することを検討しています.癌の免疫細胞治療は外科療法・放射線療法・化学療法に次ぐ第4の治療法として注目されていますが,免疫原性の低い自己の癌細胞を免疫細胞に効率よく認識させるための方策が求められています.本講演では,上記技術を利用して核酸アプタマー修飾型免疫細胞(マクロファージ)を作製する方法、さらに作製したマクロファージの機能について紹介します.
第170回 生命環境科学系セミナー
跡見順子 先生 (東京農工大学 工学府 材料健康科学寄付講座 客員教授/東京大学名誉教授)
「体育学とは何か?まだ道半ば?」
- 日時: 2016年11月9日(水)16:30~18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 3号館1階113号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:深代千之)
- 要旨: 人間の可能性を引き出すトータルな学の樹立を目指しておられた恩師、渡邊俊男・猪飼道夫・宮下充正のそれぞれの魂に感応し触発されて生きてきたように思う。全体性が壊れた障害者への全体性復帰の治療のための方策が全体性の回帰につながることを、分子生物学者鍋島陽一、理学療法士で脳科学者の長男友章に学んだ。音楽に習字、ダンス、テニス、エアロビクス、バドミントン、太極拳、合気道などの経験は、自らの暗黙知を醸成し、高齢者、スポーツ選手と対象は異なってもともに人間の全体性の誘導・評価を核にする体育学の道?身心を一体化する学創成に向かう道かもしれない。
第169回 生命環境科学系セミナー
松崎 典弥 先生 ( 大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 准教授/JST-さきがけ)
「3D-Organ on a chipの構築と創薬分野への応用」
- 日時: 2016年9月30日(金)14:45~15:45
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンスドラボラトリー棟 410
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 要旨:山中教授によるヒト人工多能性幹(iPS)細胞の樹立により、iPS細胞の再生医療や創薬・化粧品分野の効果・毒性判定への応用が期待されています。これらの応用を実現化するためには、生体外でヒト組織・臓器に類似した三次元組織体を構築する必要がありますが、iPS細胞技術だけでは不可能です。つまり、iPS細胞技術とは別に、様々なヒト細胞を三次元的に組織化する「三次元組織構築技術」を確立することが重要です。米国では、既にハーバード大学Wyss Instituteにアメリカ食品医薬品局(FDA)と国立衛生研究所(NIH)の巨額の研究費が投じられ、「Organ on a chip」という、動物実験に代わるヒト細胞のチップを用いた医薬品評価を実現するプロジェクトが進行しています。iPS細胞で優位に立った日本がそのリードを維持して激しい国際競争に勝つためには、国際競争力に優れた普遍性の高い三次元組織構築技術の確立が急務となります。 このような背景のもと、松崎先生は細胞膜表面のマイクロ環境を制御して機能発現に重要な役割を果たしている細胞外マトリックス(ECM)に着目し、ナノ薄膜による細胞界面の制御と三次元組織体を構築する革新的手法構築に関する研究を精力的に行われています。具体的には、細胞膜表面に数nm~数十nmのナノECM薄膜を形成する手法で、フィブロネクチン(FN)-ゼラチン(G)薄膜を細胞表面にわずか6 nm形成することで、細胞間の接着を誘起し、複数種類の細胞で構成される三次元組織体の構築法である「細胞積層法」(下図・左)を世界で初めて考案しました。また、粒子状態の細胞表面にFN-Gナノ薄膜を形成して細胞間接着を三次元的に誘導することで、1日で20層以上(>100 μm)の組織体構築を実現した「細胞集積法」を着想し、血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞をサンドイッチ培養することで毛細血管・リンパ管構造の構築にも成功しています(下図・中央)。さらに、インクジェットプリントを用いた細胞プリントによる三次元組織チップ構築の基礎技術の確立に取り組み、400個のマイクロ三次元組織体を1枚のチップに集約した「三次元組織チップ」(下図・右)を構築し、薬剤応答評価に有用であることを見出しています。本細胞プリント技術をさらに改善することで1.6 ± 0.7個/滴という極めて高い精度で細胞の三次元配置を制御することに成功し、「1細胞レベルでの精密な立体構造制御」の基礎技術を確立しています。
第168回 生命環境科学系セミナー
難波 啓一 先生 (大阪大学大学院生命機能研究科/教授)
「生体超分子モーターの高効率なエネルギー変換のメカニズム」
- 日時: 2016年9月21日(水)15:00~16:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
- 要旨: 生体超分子はタンパク質や核酸など生体高分子の複合体で、構成原子の精密な立体配置により様々な機能を発現して生命機能を支えるナノスケールの分子機械すなわちナノマシンである。特に分子モーターは現在の工学技術をはるかにしのぐ高い精度や桁違いに小さなエネルギーで効率よくしなやかに動作する。細胞膜を横切る水素イオンの流れをエネルギー源とする細菌べん毛の回転モーターや、ATP加水分解のエネルギーにより筋収縮を駆動するアクトミオシンモーターについて、クライオ電子顕微鏡の画像解析やX線結晶構造解析による生体分子構造解析技術の進歩によって詳細に見えるようになった立体構造や、最先端の光学顕微ナノ計測法により計測可能になった分子の高速動態から、ブラウン運動のエネルギーをうまく活用した高効率なエネルギー変換の仕組みが見えつつある。
第167回 生命環境科学系セミナー
深谷 雄志 先生 (プリンストン大学・分子生物)
"Enhancer Control of Transcriptional Bursting"
- 日時: 2016年8月1日(月)10:30~11:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107号室(第1会議室)
- 主催: 生命環境科学系(世話人:渡邊雄一郎)
- 要旨: Transcription is episodic, consisting of a series of discontinuous bursts. Using live-imaging methods and quantitative analysis, we examine transcriptional bursting in living Drosophila embryos. Different developmental enhancers positioned downstream of synthetic reporter genes produce transcriptional bursts with similar amplitudes and duration but generate very different bursting frequencies, with strong enhancers producing more bursts than weak enhancers. Insertion of an insulator reduces the number of bursts and the corresponding level of gene expression, suggesting that enhancer regulation of bursting frequency is a key parameter of gene control in development. We also show that linked reporter genes exhibit coordinated bursting profiles when regulated by a shared enhancer, challenging conventional models of enhancer-promoter looping.
第166回 生命環境科学系セミナー
Prof. Arp Schnittger & Dr. Shinichiro Komaki (Department of Developmental
Biology, Biocenter Klein Flottbek, University of Hamburg, Germany)
"Control of entry and progression through meiosis"
- 日時: 2016年7月13日(水)14:00~15:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:濱田隆宏)
- 要旨: The foundation of sexual reproduction is the formation of gametes with half the genomic DNA content of a somatic cell. This reduction in genomic content is accomplished through meiosis that, in contrast to mitosis, comprises two subsequent chromosome segregation steps without an intervening S-phase. In addition, meiosis generates new allelic combinations through the compilation of new sets of homologous chromosomes and the reciprocal exchange of chromatid segments between homologs. In our team, we study how entry and progression through meiosis is controlled in the model plant Arabidopsis and maize as one of the most important crop species. Meiosis appears to rely on many of the same, or at least homologous, cell-cycle regulators that act in mitosis, e.g. cyclin-dependent kinases (CDKs) and the anaphase-promoting complex/cyclosome (APC/C). However, these mitotic control factors are often differentially regulated in meiosis. In addition, several meiosis-specific cell-cycle genes have been identified. Interestingly, plants appear to have relaxed cell-cycle checkpoints in mitosis and especially in meiosis when compared to animals and yeast. As a consequence, many meitoic mutants are viable making plants powerful models to study meiotic progression. At the same time, this special set up allows unique modifications to the plant meiotic program to develop new breeding strategies. Here, we will present the latest results on the control of the cell cycle checkpoints and the characterization of novel mutants that interfere with entry and progression through meiosis in Arabidopsis.
第165回 生命環境科学系セミナー
Claude Aflalo 先生 (Institutes for Desert Research, Ben Gurion University of the Negev (Israel))
"The need, application and results of microalgal biomass analysis to study carbon flux and its control under growth and stress conditions for biofuels production"
「バイオ燃料生産を目的とした,成長およびストレス条件下での炭素フローとその制御に関する微細藻類バイオマス解析:その必要性と応用,結果」
- 日時: 2016年7月12日(火)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:佐藤直樹)
- 要旨: Despite considerable accumulated data and collective know-how, the industrial production of alternative energy sources from algae is still predominantly hampered by limited biological knowledge focused on the metabolism and control of storage carbohydrates and lipids. A better working understanding needs to be developed and implemented to account for carbon flux from CO2 into protein, carbohydrate and lipid. This acquaintance should ideally be based on a general methodology for an accurate determination of total macromolecular classes in biomass, independent of the organism species and its physiological status. Such an approach is described, in which fresh algal biomass is hydrolyzed in acid releasing sugar monomers as well as free fatty acids and sterols that are further determined by colorimetry. The rapid method has been validated against independent procedures and optimized to account for significant cross-reactivity among species. Preliminary analysis of algal cultures under various conditions indicate an increase of the total lipid:carbohydrate ratio upon nitrogen depletion and/or increase in light intensity, or other abiotic stresses. The procedure is well suited for routine screening purposes, and data acquisition for preliminary analysis of carbon fluxes.
第164回 生命環境科学系セミナー
浅野桂 先生 (カンザス州立大学生物学科/教授)
「真核生物における翻訳制御のさまざまな様態」
- 日時: 2016年5月10日(火)10:30~11:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階126/127室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:濱田隆宏)
- 要旨: 翻訳を開始するには、リボソーム小サブユニットのPサイトにmRNA開始コドンと開始tRNAをしっかりと結合させる必要がある。真核生物ではこれを実現するために、mRNA、リボソームの両方に多くの開始因子が結合し、それぞれを活性化する。リボソームはAサイト結合因子eIF1Aと多因子複合体(multifactor complex, MFC)の結合により活性化され、厳密に開始コドンを選択する。MFCはまた、mRNAキャップ結合タンパク質を結合し、mRNAの選択に関わる事も示唆されている。私たちの研究室では最近、制御因子eIF5 mimic protein (5MP)の役割に注目している。5MPはMFC形成に重要な役割を果たすeIF5を「擬態」して阻害することで、eIF2のリン酸化の効果をまね、細胞内のmRNAの翻訳パターンを調節する事が出来る。さらに5MPは、細胞内の開始コドン選択厳密性も制御出来る事が明らかになった。不思議な事だが、5MPの存在自体が、真核生物に特有なAUGからの厳密な開始に貢献しているらしい。最後に、分裂酵母の栄養ストレス応答における翻訳制御の役割についても予備的なデータから今後の展望を論じたい。
第163回 生命環境科学系セミナー
浅見崇比呂 先生 (信州大学学術研究院理学系/教授)
「巻貝左右性の量的変異と進化: 内臓逆位が進化するのはなぜ巻貝だけなのか」
- 日時: 2016年3月4日(金)13:30~15:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館1階107室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
- 要旨: 左右逆に発生する内臓逆位は突然変異でまれにみつかる。だが、内臓逆位の種(集団、系統)がくりかえし進化したのは巻貝だけである。巻貝が左右逆に発生すると、巻き方向も交尾器の位置も左右逆になる。このため、右巻と左巻の交尾は物理的にむずかしい。だから、発生を左右逆にする遺伝子がもし集団に固定すれば、それだけで交尾前の生殖隔離(種分化)が完成する。だが、右巻と左巻の交尾が難しければ難しいほど、多数派の野生型との交尾が難しいため、逆巻変異はすぐに淘汰されてしまう。だから、交尾して繁殖する巻貝全体では、右巻と左巻が交尾しやすいグループのほうが、逆巻遺伝子が集団に存続しやすく、より頻繁に逆巻の種が進化した。それなら、放精放卵して体外受精する巻貝や、交尾器 が正中線にある動物では、交尾上の不利がないから、もっと頻繁に逆巻や内臓逆位の集団が進化してよいはずである。ところが、まったく進化して いない。内臓逆位がくり返し進化したのは、なぜ、交尾して繁殖する巻貝だけなのか。
第162回 生命環境科学系セミナー
赤池 敏宏 先生 (公益財団法人国際科学振興財団 再生医工学バイオマテリアル研究所所長 / 東京工業大学 名誉教授)
「未来を切り開く新しいバイオマテリアルの応用 ~カドヘリンマトリックス工学に基づく幹細胞の均一反応場設計と再生医工学的展開~」
- 日時: 2016年2月20日(土)16:00~17:00
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンスドリサーチラボラトリー棟4F 410大会議室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:吉本敬太郎)
- 要旨: 演者らは長年、細胞認識・制御機能性バイオマテリアルの設計とその組織工学・再生医療・DDSへの応用を中心的テーマとしてきた。2002年以来、遺伝子組み換え法により細胞間接着分子カドヘリン(E, N, VE-等々)の頭部構造(細胞外ドメイン)と抗体 分子尾部Fcとのキメラ化を実現することによりインテグリン認識に基づかない新しい細胞認識型マトリックスとしての応用に成功した。たとえばEカドヘリンFcを単層吸着固定した材料表面はnaive型細胞の典型例であるマウスES/iPSを単一細胞状態のまま均一細胞系で接着させ同じシャーレ上で増殖・脱着を繰り返させうること、あるいは培養液成分を変えることによりin situで単一細胞状態のまま分化、例えば肝細胞や神経細胞への分化誘導をおこなうことも可能になった。現在、再生医療/組織工学/DDS分野での活躍が期待される各種の臓器構成細胞やES/iPS細胞、各種カドヘリンの有する分子識別性・カルシウム依存性を生かすことにより細胞の選択的培養・分離精製(ソーティング)に、そして遺伝子/薬剤付与等々の直接的、あるいはキャリアーを生かしたDDS的処理に向けて幹細胞用まな板(Cell-cooking Plate)とも言うべき均一反応場としての応用を自由自在に行うことが可能になりつつある。カドヘリンマトリックス工学に基づく細胞認識・制御機能性バイオマテリアル設計の手法は、オートクリン、パラクリン、エンドクリンシステムの担い手としてのサイトカイン分野にも応用可能である。演者らはすでにEGF,HGF頭部、VEGF,LIF等々の各種細胞表面に認識される細胞増殖因子、サイトカイン類に抗体Fc部を遺伝子組替により導入したキメラタンパク質を設計し細胞接着マトリックスとしての応用に成功している。これらのキメラタンパク質は抗体たんぱく質、E/N/VE-カドヘリンFc分子と全く同様に細胞培養、ELISA分子等々生化学・細胞生物学・細胞工学分野で最も汎用されるポリスチレンにきわめて安定かつ活性を保持したままで吸着・固定することができる。固定された各種のサイトカイン分子では対応する細胞がそのレセプターによる認識を介して接着することが確認されている。しかもレセプターによるリガンド/サイトカイン認識と結合がなされたのちのシグナルの時空間制御が可能となる。このように、さまざまなシグナル発信力を有する細胞認識・制御機能性バイオマテリアルが設計可能となり、カドヘリンマトリックス工学とサイトカインマトリックス工学は再生医療・ガン・各種臓器線維症を対象とするDDS型医薬品開発をはじめとする21世紀医療の難問解決に貢献するものと期待される。
第161回 生命環境科学系セミナー
日比 正彦 先生 (名古屋大学 生物機能開発利用研究センター/教授)
「小型魚類を用いた体軸形成および神経回路形成機構の解析」
- 日時: 2016年2月6日(土)11:00~12:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
- 要旨: ゼブラフィッシュやメダカなどの小型魚類は、遺伝学・発生生物学・行動学の研究だけでなく、近年幅広く生物学・医学の研究に用いられるようになった。本セミナーでは、ゼブラフィッシュを用いた初期胚のパターニングと神経回路の研究に関して説明する。両生類の胚を用いた解析から、胚の背側組織の一部が神経・筋肉など背側組織を正確に誘導する活性を持つことを示した。この部分は背側オーガナイザーと呼ばれ、背側組織の形成に重要な役割を果たす。魚類・両生類では、受精卵植物極に存在する背側決定因子が、微小管依存性に胚背側に移動し、Wntシグナルを活性化し、背側特異的遺伝子の発現を誘導することで、背側オーガナイザーを誘導する。本セミナー前半では、受精後に形成される微小管形成および微小管依存性の背側決定機構に関して解説する。小脳は円滑な運動を制御する中枢神経組織であるが、近年、認識・感情・学習などの高度な神経活動にも関与することが明らかとなっている。小脳の機能は、脊椎動物で保存された神経回路構造に依存している。私達の研究室では、ゼブラフィッシュの小脳神経回路の解剖学的・発生生物学的解析、さらにその形成過程に異常を示すゼブラフィッシュ変異体の単離・解析を行ってきた。セミナー後半では、トランスジェニックフィッシュおよび変異体の解析から明らかになりつつある小脳神経回路の形成機構および機能に関して解説する。
第160回 生命環境科学系セミナー
白木 賢太郎 先生 (筑波大学 大学院数理物質科学研究科 物理工学域/准教授)
「タンパク質の状態を制御する溶液添加剤」
- 日時: 2015年12月22日(火)16:50~17:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119/129号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨: 水溶液に溶けているタンパク質は、凝集や沈殿、失活、変性、吸着などさまざまな想定外のことがおこります。近年のノーベル賞リストにこれだけタンパク質研究が並ぶ時代であっても、ちょっとした精製や保存にすら苦労しているのがタンパク質研究の隠れた面白さで、こういった状態変化に興味を持って研究をしています。低分子を使う方法では、タンパク質の加熱凝集の抑制や、吸着の抑制、難溶性分子の溶解などが実現します。かたや、高分子を用いると、抗体の濃縮や安定化、酵素の活性スイッチ、超活性化などの精密な制御が可能です。このような、バルク溶液の低分子添加剤での制御法と、高分子電解質を使って包み脱がせる制御法を洗練させることで、タンパク質の利用の可能性を引き出せると考えています。今回は、タンパク質の溶液をデザインする見方の面白さと、これらの方法の産業への応用例をお話したいと思います。
第159回 生命環境科学系セミナー
田口 英樹 先生 (東京工業大学 大学院生命理工学研究科 生体分子機能工学専攻/教授)
「蛋白質ワールドの理想と現実:凝集とシャペロン」
- 日時: 2015年12月21日(月)16:50~17:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119/129号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨: 蛋白質は「理想」としてはアミノ酸配列に規定された特定の立体構造に自発的にフォールディングする。しかし、「現実」には蛋白質のフォールディングは常に凝集体形成と隣り合わせにある。凝集形成は蛋白質機能を台無しにするだけでなく、アミロイドやプリオンのように有害なので、細胞は種々のシャペロンや品質管理機構を準備して凝集形成を防いでいる。このように、蛋白質凝集は「厄介者」という捉え方が一般的であるが、はたして単に厄介なだけの存在なのであろうか?本セミナーでは我々が行ってきた凝集体形成解析やシャペロンの細胞内基質の研究から見えてきた蛋白質凝集の新たな描像について紹介したい。
第158回 生命環境科学系セミナー
Alexis Gambi 監督 (映画監督)
「"The Fly Room" の上映 & Alexis Gambi 監督講演会」
- 日時: 2015年12月11日(金)18:00~20:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 21KOMCEE-East K011
- 主催: 生命環境科学系(世話人:松田良一)
- 要旨: ショウジョウバエを遺伝学のモデル動物として初めて用いたのは米国Columbia?大学の T.H. Morgan 教授でした。彼はショウジョウバエを用いて遺伝の法則、突然変異、唾腺染色体の縞模様と遺伝子発現の相関等について大きな業績をあげ、1933年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。“The Fly Room”(2014) はMorganの弟子、C.B. Bridgesの娘の目から見た、Morgan研の様子と当時の研究者の生き様を描いた映画で、欧米の生物学者の間で大きな話題になりました。今回、この”The Fly Room”を制作したAlexis Gambis監督のご厚意で彼の来日が実現し、The Fly Roomの日本初上映と監督の講演会を駒場で開催することにいたしました。映画上映は80分間、講演は20分間、引き続き質疑討論を20分間を予定しています。この映画を通じて科学者の創造性と科学研究の面白さを感じていただければ幸いです。なお、使用言語は全て英語です。
http://www.theflyroom.com
第157回 生命環境科学系セミナー
磯野 弘三 先生 (目黒区議会議員)
「目黒区の健康・体力づくりの実際」
- 日時: 2015年10月22日(木)16:30~18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:深代千之)
- 要旨: 戦後70年、日本は復興と共に高度経済成長、そして生活様式の変化と食生活の劇的な変化をしながら今日の繁栄にたどり着いた。一方、科学技術の発達と進歩によって世界でもトップクラスの平均寿命の高い国となった今、超高齢化社会をいかに心豊かに本人も、家族も、地域社会も「健康寿命」を伸ばしていく事の重要性が社会に問われている。健康を維持するための運動と地域社会、大きく世代別の傾向と何が求められているのか、目黒区の地域の実体や健康づくり調査から話をさせていただき、科学的裏付けと行動を促す仕組みづくりを考えていただけるきっかけとなれば幸いです。
第156回 生命環境科学系セミナー
後藤 祐児 先生 (大阪大学 蛋白質研究所/教授)
「過飽和生命科学の開拓」
- 日時: 2015年9月4日(金)13:30~15:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
- 要旨: 一般的な蛋白質の特徴は凝集することである。50年代にX線結晶解析がはじまり、構造に基づく機能の理解が蛋白質研究の中心となると、凝集は研究をむしろ妨げるものと考えられた。しかし、1990年以降、凝集が生命機能に深く関わることが明らかとなり、凝集は蛋白質研究の重要な課題となっていった。講演者は2000年頃から代表的な蛋白質凝集であるアミロイド線維の研究をはじめた。当初、アミロイド線維は曖昧な構造状態と考えたが、研究を進める中で、その構造や物性のユニークさに圧倒された。アミロイド線維は、溶質である変性蛋白質の過飽和状態が解消して生じる、結晶性の析出であった。過飽和は、氷や雪の形成、さまざまな物質の結晶化などの自然現象を説明する基本的で古典的な概念である。これらが生命現象にも深く関わることは不思議ではない。過飽和は、蛋白質凝集を越え、広く生命現象を支配する重要な因子であると考えられる。
第155回 生命環境科学系セミナー
宮田 真人 先生 (大阪市大 院理・複合先端研/教授)
「最小生物、マイコプラズマの滑走運動」
- 日時: 2015年8月6日(木)16:50~17:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
- 要旨: ヒト肺炎の病原菌として知られるマイコプラズマは、宿主の組織などにはりつき、はりついたままに滑るように動く“滑走運動”をします。その速度は、最速種のマイコプラズマ・モービレで毎秒4マイクロメートル、すなわち細胞長の約5倍に達しますが、そのメカニズムは、バクテリアべん毛モーターともミオシンのようなモータータンパク質とも異なる、全くユニークなものです。私たちは1997年から、主にモービレについて研究を行い、以下のメカニズムを提唱しました。すなわち、滑走装置の表面に約50ナノメートルほどの柔らかい“あし”が数百本生えています。滑走装置内部でATPが加水分解されると動きが生じ、その動きが細胞膜を超えて“あし”に伝わります。“あし”はシアル酸オリゴ糖をつかんだり、ひっぱったり、離したりして、菌体を前に進めます。さらに最近、私たちは、このメカニズムの起源が、ATP合成酵素であることを示唆する結果を得ました。
第154回 生命環境科学系セミナー
長谷川 聖治 先生 (讀賣新聞 科学部/部長)
「火山報道と防災」
- 日時: 2015年7月29日(水)17:00~18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
- 要旨: 例年、長谷川先生に科学技術がもたらす社会問題のいくつかについて、セミナーをお願いしております。今回は、火山報道と防災がテーマです。箱根大涌谷や口永良部島などで火山の爆発が起こったが、これらについて予知はできたか、またその後の進行はどうだったかについて、多くの議論がなされています。御嶽山と口永良部島の違いは何だったか、報道と実際の違いはあるのか、そしてこれらの天災についてわが国の防災機能はどうなっているのか、などについてお話をいただきます。科学と社会、そして科学報道に興味のある院生の皆さん(や先生方)、是非、参加して議論をたたかわせていただきたいと思います。
教員・研究員向け学内セミナー
湖城 恵 先生 (エルピクセル株式会社/技術アドバイザー)
「画像不正と疑われないための画像処理」
- 日時: 2015年7月22日(水)16:50~17:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 18号館ホール
- 主催: 広域科学専攻
- 要旨: 得られた原画像を客観的・定量的に評価するためには、画像処理を活用することは必須です。しかし適切な画像処理を行わないと、正確な研究結果が得られないばかりか、画像不正と疑われてしまう可能性もあります。本セミナーでは、自身が研究者であり画像処理のエキスパートである講師を迎えて、研究画像を処理する上でぜひ知っておきたい知識と手法を、Adobe Photoshop CCを使ったデモを交えながらお伝えしていきます。アドビ システムズ協力のもと開催となります。ぜひご参加ください。
第153回 生命環境科学系セミナー
片桐 晃子 先生 (北里大学 理学部 生物科学科/教授)
「Rap1シグナルによる免疫動態調節」
- 日時: 2015年6月4日(木)16:50~17:50
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁、澤井哲)
- 要旨: 免疫は全身性の動的監視システムで、免疫担当細胞は血流を介して全身を移動しており、時空間的に厳密に制御されています。免疫細胞の生体内移動の基盤となっているのは、インテグリンを介する接着と遊走です。リンパ球に発現するインテグリンLFA-1の接着活性は、血管内では抑制されており、血管内皮細胞上に提示されたケモカインによって活性化されると、リンパ球はそこで停止し通り抜け、目的の組織へ移動します。リンパ球上のインテグリンの接着活性が、Rap1という低分子量Gタンパク質によって制御されており、その破綻は自己免疫疾患の発症につながります。免疫動態に主要な役割を果たすRap1シグナルについて紹介します。
第152回 生命環境科学系セミナー
寺北 明久 先生 (大阪市立大学 大学院理学研究科 生物地球系専攻(生物分子機能学)/教授)
「オプシンの分子特性と光需要能」
- 日時: 2015年5月1日(金)14:00~15:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:豊島陽子)
第151回 生命環境科学系セミナー
桝 太一さん (日本テレビ/アナウンサー)
「理系のキャリア選択」
- 日時: 2015年4月21日(火)11:00~12:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第150回 生命環境科学系セミナー
Prof. Marion Eisenhut (Heinrich-Heine-University Dusseldorf, Germany)
"Giving function to the unkown - The novel protein family MNX facilitates
Manganese transport in oxygenic photosynthetic organisms"
- 日時: 2015年3月3日(火)10:30~11:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 15号館409号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:池内昌彦)
第149回 生命環境科学系セミナー
Prof. Rebecca Knight (University of Texas at Austin, USA)
"Response and regulation of xanthophyll carotenoids to pH, light,and temperature in a thermophilic cyanobacterium"
- 日時: 2015年2月6日(金)10:30~11:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:池内昌彦)
第148回 生命環境科学系セミナー
藤田 智史 先生 (Prof. Niko Geldener's group, University of Lausanne, Switzerland)
「内皮細胞に極性をもって局在するSGN1kinase は機能的なカスパリー線形性に必須である」
- 日時: 2015年2月5日(木)17:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:濱田隆宏)
第147回 生命環境科学系セミナー
大野 欽史 先生 (名古屋大学 大学院医学系研究科 神経伝達情報学/教授)
「神経筋接合部の異常」
- 日時: 2015年1月13日(火)14:00~15:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館829号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第146回 生命環境科学系セミナー
Prof. Klaas J. Hellingwerf (Swammerdam Institute for Life Sciences, University
of Amsterdam, Netherlands)
"Cyanobacterial bio-solar cell factories: Dissecting control over their Rate and level of product formation"
- 日時: 2015年1月13日(火)14:00~15:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:池内昌彦)
第145回 生命環境科学系セミナー
Prof. Enrique Lopez-Juez (School of Biological Sciences Royal Holloway, University of London, UK)
"Quiescence or growth? How to build organelles? Lessons from the analysis of leaf and chloroplast development by light"
- 日時: 2014年12月15日(月)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:和田元)
第144回 生命環境科学系セミナー
永井 信夫 先生 (長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部)
「組織再構築における線溶系の役割と病態モデル」
- 日時: 2014年12月5日(金)13:00~14:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:坪井貴司)
第143回 生命環境科学系セミナー
中村 和昭 先生 ((独)国立生育医療研究センター 薬剤治療研究部/室長)
「下垂体ホルモンの新たな機能の探索 ~脳内バソプレシン機能とmiRNAホルモンの可能性~」
- 日時: 2014年12月3日(水)13:00~14:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系生(世話人:坪井貴司)
第142回 生命環境科学系セミナー
Prof. Julian Eaton-Rye (Department of Biochemistry University of Otago,
New Zealand)
"Structure and function of extrinsic proteins in photosystem Ⅱ complex"
- 日時: 2014年12月1日(月)15時~16時
- 場所: 駒場Iキャンパス 3号館116号室
- 主催: 生命環境科学系
第140回 生命環境科学系セミナー
鈴江 奈々さん (日本テレビ/アナウンサー)
「プレゼン力を磨くⅡ」
- 日時: 2014年11月21日(金)14:50~16:20
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンスラボ410号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第139回 生命環境科学系セミナー
鈴江 奈々さん (日本テレビ/アナウンサー)
「プレゼン力を磨くⅡ」
- 日時: 2014年11月7日(金)14:50~16:20
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンスラボ410号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第138回 生命環境科学系セミナー
水上 琢也 先生 (Research Associate, Fox Chase Cancer Center, USA)
「蛋白質の構造形成に見られる反応速度論」
- 日時: 2014年10月23日(木)10:40~11:40
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:新井宗仁)
第137回 生命環境科学系セミナー
堀井 先生 (白百合女子大学/名誉教授)
「地域が有する環境ポテンシャル―健康・感性情報、そして、文学―」
- 日時: 2014年10月21日(金)16:30~18:00
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:深代)
第136回 生命環境科学系セミナー
石渡 信一 先生 (早稲田大学 理工学術院 先進理工学部/教授)
「生物運動システム(筋収縮系・細胞分裂系・細胞内物質輸送系)」
- 日時: 2014年10月2日(木)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:矢島潤一郎)
第135回 生命環境科学系セミナー
岩井 一宏 先生 (京都大学 大学院医学系研究科/教授)
「ユビキチン修飾系:その多様性と多彩な機能」
- 日時: 2014年9月2日(火)14:00~15:20
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第134回 生命環境科学系セミナー
岩脇 隆夫 先生 (群馬大学 先端科学研究指導者育成ユニット/講師)
「細胞ストレス可視化モデルマウスの開発とその性能」
- 日時: 2014年9月10日(水)16:30~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:松田良一)
第133回 生命環境科学系セミナー
長谷川 聖治 先生 (讀賣新聞 科学部/部長)
「STAP細胞と報道」
- 日時: 2014年7月30日(水)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第132回 生命環境科学系セミナー
水野 正樹 先生 (University of Texas Southwestern Medical Center, USA / Assistant
Professor)
「身体運動時における循環器系調節 ~高血圧における異常とその機序~」
- 日時: 2014年7月8日(火)15:00~
- 場所: 駒場Iキャンパス 9号館会議室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:寺田新)
第131回 生命環境科学系セミナー
長谷川 聖治 先生 (讀賣新聞 科学部/部長)
「アスリートの科学~五輪を見据えて」
- 日時: 2014年6月25日(水)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第130回 生命環境科学系セミナー
Prof. Tobias I. Baskin (University of Massachusetts Amherst, USA)
"Plant growth: Scaling up from cell to stem"
- 日時: 2014年6月13日(金)14:30~
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:渡邊雄一郎)
第129回 生命環境科学系セミナー
長谷川 聖治 先生 (讀賣新聞 科学部/部長)
「原発事故と汚染水について」
- 日時: 2014年5月21日(木)16:30~17:30
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系(世話人:石浦章一)
第128回 生命環境科学系セミナー
今井 真介 先生 (ハウス食品中央研究所/研究主幹)
「タマネギの催涙因子生成酵素(LFS)の発見からIg Nobel賞まで」
- 日時: 2014年3月7日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館829号室
- 主催: 生命環境科学系
第127回 生命環境科学系セミナー
水野 直子 先生 (マックスプランク生化学研究所/グループリーダー)
「クライオ電子顕微鏡による微小管DynamicsのDissection」
- 日時: 2013年12月21日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第126回 生命環境科学系セミナー
朝倉 淳 先生 (ミネソタ大学 医学部 幹細胞研究所 筋ジストロフィーセンター, USA / Associate Professor)
「骨格筋幹細胞の自己複製の分子機構と血管ニッチを利用した新たな筋ジストロフィー治療」
- 日時: 2013年11月29日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第125回 生命環境科学系セミナー
加藤 聖 先生 (金沢大学 大学院医学系研究科 脳情報分子学/教授)
「魚の視神経再生から学んだこと」
- 日時: 2013年12月11日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119室
- 主催: 生命環境科学系
第124回 生命環境科学系セミナー
新田 和広 先生
(Science for Life Laboratory, Department of Biosciences and Nutrition,
Karolinska Institute, Sweden)
"Conservation and divergence of transcription factor binding specificity"
- 日時: 2013年11月26日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第123回 生命環境科学系セミナー
岩崎 由香 先生 (慶応義塾大学 医学部 分子生物学教室/助教)
「PIWIタンパク質とpiRNAによる遺伝子発現制御」
小宮 玲奈 先生 (国立遺伝学研究所/特任助教)
「イネ生殖Argonauteに結合するsmall RNAの生合成経路」
- 日時: 2013年9月6日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第122回 生命環境科学系セミナー
岩脇 隆夫 先生 (群馬大学 先端科学研究指導者育成ユニット/講師)
「動物個体レベルで見る小胞体ストレス応答分子IRE1αの役割」
- 日時: 2013年9月13日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第121回 生命環境科学系セミナー
前川 文彦 先生 (国立環境研究所 分子毒性機構研究室)
「鳥類の脳の性分化機構:脳交換キメラから分かった脳の仕組み」
- 日時: 2013年8月2日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第120回 生命環境科学系セミナー
白澤 先生 (順天堂大学 医学研究科 加齢制御医学講座/教授)
「加齢の最新科学(エベレスト登頂の三浦雄一郎氏の主治医)」
- 日時: 2013年7月25日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館109号室
- 主催: 生命環境科学系
第119回 生命環境科学系セミナー
中森 雅之 先生 (大阪大学 医学部)
「リピート伸長によるRNA毒性とスプライシング障害」
- 日時: 2013年6月28日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館829号室
- 主催: 生命環境科学系
第118回 生命環境科学系セミナー
瀬尾 拡史 先生 (サイアメント)
「サイエンスを魅せ伝える。~制作の流れから日本の現状まで~」
- 日時: 2013年 6月21日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第117回 生命環境科学系セミナー
松永 先生 (東京理科大学 理工学部 応用生物科学科/准教授)
「」
- 日時: 2013年6月3日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第116回 生命環境科学系セミナー
吉田 泰二 先生 (農研機能)
「薬草の生理活性物質とその利用―アルツハイマー病の予防をめざしてー」
- 日時: 2013年5月31日
- 場所: 駒場Iキャンパス
- 主催: 生命環境科学系
第115回 生命環境科学系セミナー
川名 正隆 先生 ()
「Physician-Scientistの養成法―アメリカの医学研究者のキャリアの作り方」
- 日時: 2013年5月20日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館829号室
- 主催: 生命環境科学系
第114回 生命環境科学系セミナー
伊藤 尚基 先生 (国立精神・神経医療研究センター 遺伝子疾患治療研究部)
「一酸化窒素合成酵素により誘起されるCa2+シグナルが筋肥大を促進する」
- 日時: 2013年3月13日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第113回 生命環境科学系セミナー
広瀬 恵子 先生 (産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門)
「電顕で何が見えるか」
- 日時: 2013年2月22日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第112回 生命環境科学系セミナー
長谷川 聖治 先生 (讀賣新聞 科学部/部長)
「科学者とメディア~iPS心筋移植誤報」
- 日時: 2013年1月24日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第111回 生命環境科学系セミナー
阿部 啓子 先生 (東京大学/特任教授)
「食品研究の最前線―健康機能論と味覚分子論―」
- 日時: 2013年1月9日
- 場所: 駒場Iキャンパス アドバンストラボ410室
- 主催: 生命環境科学系
第110回 生命環境科学系セミナー
Prof. John Kennis (University of Amsterdam, Netherlands)
"Photoreactions of flavin photoreceptors"
- 日時: 2012年11月22日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第109回 生命環境科学系セミナー
Prof. Clark Lagarias (University of California, Davis, USA)
"Cyanobacteriochromes: photosensors for all seasons"
- 日時: 2012年10月31日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第108回 生命環境科学系セミナー
木下 一彦 先生 (早稲田大学 理工学術院/教授)
「夢は見ないと実現しない:1分子生理学」
- 日時: 2012年8月10日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館119号室
- 主催: 生命環境科学系
第107回 生命環境科学系セミナー
有坂 文雄 先生 (東京工業大学 大学院生命理工学研究科/教授)
「バクテリオファージの構造と感染機構」
- 日時: 2012年7月13日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
第106回 生命環境科学系セミナー
野原 恵子 先生 (国立環境研究所 環境健康研究センター 分子毒性機構研究室/室長)
前川 文彦 先生 (国立環境研究所 環境健康研究センター 分子毒性機構研究室/主任研究員)
「環境化学物質の発達期暴露による健康影響と作用機序」
- 日時: 2012年 7月26日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第105回 生命環境科学系セミナー
朽名 夏麿 先生 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻)
「顕微鏡画像マイニングによる植物細胞学へのアプローチ」
- 日時: 2012年7月19日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第104回 生命環境科学系セミナー
林 洋平 先生 (Yamanaka Lab, Gladstone Institute of Cardiovascular Disease, UCSF, USA)
「疾患特異的iPS細胞研究の展開―FOP(進行性骨化性繊維異形成症)を例としてー」
- 日時: 2012年7月2日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館126/127号室
- 主催: 生命環境科学系
第103回 生命環境科学系セミナー
阪口 岳 先生 (塩野義製薬(株) 創薬・疾患研究所 疼痛神経部門/部門長)
「創薬の現場から:鎮痛薬を創るプロセス」
- 日時: 2012年 6月29日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
101回 生命環境科学系セミナー
Prof. Christopher Pearson
(Department of Genetics, The Hospital for Sick Children, Canada / Senior
Scientist, Associate Professor)
"Genetic instability of triplet repeats"
- 日時: 2012年5月24日
- 場所: 駒場Iキャンパス 16号館107号室
- 主催: 生命環境科学系
講演会
準備中